M.S.

自律的に自己決定したい

M.S. 乳がん

私は42歳で左乳がんステージIIICと診断されました。積極的、侵襲的(負担が大きい)治療は希望していなかったのですが、主治医から「治療しないと痛みやがんの自壊(がんが増殖して皮膚を破り体表面に現れ出た状態になること)で生活の質が低下する可能性がある」と説明を受け、セカンドオピニオンも聞いた上で、手術と放射線治療を受けました。

振り返ってみると、私が治療を選択した主な理由は、痛みや自壊を避けることと主治医への配慮の2点だったと思います。私が<主治医の勧め≒医療でできる最善≒標準治療>を選択しないと、親身になってくれる主治医が(若い女医ということもあり)<患者に標準治療の選択を説得できない医師>といった不本意な評価を受けて医局内で立場を悪くするのではないか、さらに病院全体にも迷惑をかけるのではないかと考えました。<患者は医師の指示や家族の希望よりも自分の我儘を優先すると周囲に迷惑をかける>と思うと、ある程度は医師の勧めを受け入れるのは仕方ないと諦めました。治療を受けたくない理由を伝えて理解してもらえる自信も全くありませんでした。

しかし、今となっては、もっと主体的に意思決定すべきだった(したかった)と思います。本来、患者が病院の評判を心配する必要はなく、医局の内情を妄想しても仕方がありません。また、医療者に思いを伝えようとしても、状況によってはどうしても伝わらず、誤解されたり論破されたりして傷つくこともあります。それでも、希望を医療者に伝わる形で発信し続けないと後悔ばかり残ってしまいます。疾患や希望がマイノリティであればあるほど、抱え込まずに発信することが大切だと思います。

その後3年間は経過観察でしたが、右胸に新しいがんと胸骨転移が見つかりました。左胸手術後の耐え難い疼痛経験から、右胸の手術は受けず、緩和ケアクリニックに転院しました。今は日々の体調に合わせて無理のない生活を送ることができています。

 

2025年執筆

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