放射線専門医会AiWGの発足と今後の活動について
放射線専門医会AiWGの発足と今後の活動について
日本医師会のAi検討会が2007年に発足して以来、法医学分野以外、特に臨床の分野での活動が活発になってきている。この理由としては、大野事件に端を発した医療関連死におけるエーアイの役割が重要であるとの認識があるが、依然として解剖を中心としたモデルが構築されようとしていることに対して、救急の現場特に、監察医務院制度の無い地域の地方病院が危機感を抱き、Aiに対して積極的に関与すべきだと考えていたこともあると思う。これらの動きに触発され、2008年11月には日本放射線技師会、そのあとを追うようにして、2009年1月に放射線専門医会・医会にAiワーキンググループが発足した。
発足に関しては、専門医会理事長聖マリアンナ大学中島先生のご理解とご尽力があった。中島先生は2008年10月に行われたつきじ画像研究会でAiについて理解を深めて頂き、現在は救急医療分野との連携を仲介して頂いている(救急学会でも検討会を設置した)。
構成メンバーは以下のとおりである。
- 小熊栄二(埼玉県立小児医療センター)
- 塩谷清司(筑波メディカルセンター)
- 高野英行(千葉県がんセンター)
- 高橋直也(新潟市民病院)
- 高橋元一郎(駿河台日本大学病院)
- 中島康雄(聖マリアンナ医科大学)
- 兵頭秀樹(札幌医科大学)
- 山本正二(千葉大学医学部附属病院)
専門医会の理事である千葉県がんセンター高野先生、Ai活動の当初より深い理解を示して下さった高橋元一郎先生、救急分野を中心として多数の症例経験のある高橋直也先生、病理解剖と組み合わせ学生教育に役立てる試みを行い、文科省のGP(good practice)にも選ばれた兵頭先生など現在Aiに関与する放射線科のエキスパートが含まれていることに注目して頂きたい。
WGの活動としては、まず、2009年3月24日の内閣官房での検討会に山本、塩谷の両名が講師として呼ばれていることを念頭に置き、放射線専門医会・医会としての提言をまとめた。別途掲載する。基本的な内容としては、「Aiは画像検査が主体であり、検査の担い手である診療放射線技師、読影を行う放射線科が積極的に関与すべきである。」ということである。
今後の活動としては、日本放射線技師会と連携を取り、Aiに関するガイドラインの作成(年内発行予定)、エーアイ撮影および読影に関する教育体制の充実、千葉大学医学部附属病院Aiセンターをモデルとした遠隔読影システムを基盤としたネットワーク構築を行うことなどが考えられている。
Aiを医療のエンドポイントし、現状のマンパワーおよび体制を損なうことなくよりよい死因究明を行う体制を整えるべく、今後も活動を展開していく予定である。