34歳女性 バセドウ病治療中の無顆粒球症

症状と臨床経過
初期症状(5か月前?): 34歳の女性。眼痛、発汗、および動悸を自覚し、2か月前に症状が増悪したため来院しました。
診断と初回治療(2か月前): 血液検査でTSHの低下、FT3・FT4の上昇、および抗TSH受容体抗体(TRAb)陽性(3.6 IU/L)が確認され、Basedow病(バセドウ病)と診断されました。同日より抗甲状腺薬であるチアマゾール(MMI)による治療が開始されました。

  1. 現在の所見と検査結果(治療開始1か月後)
    身体所見: 意識は清明で、バイタルサインは安定(体温36.2℃、脈拍76/分、血圧118/74 mmHg)しています。甲状腺はびまん性に腫大していますが、圧痛はありません。
    血液検査結果:
    白血球減少: 白血球数が2,100/μLと減少し、好中球分画も20%(実数で420/μL)に低下しています。
    甲状腺機能: TSH 0.007 μU/mL、FT3 4.4 pg/mL、FT4 2.1 ng/dLであり、依然として甲状腺機能亢進状態が持続しています。
    その他: CRP 1.2 mg/dLと軽度上昇、肝機能(ALT 63 U/L)に軽度の異常を認めます。
  2. 診断の概要
    本症例は、Basedow病の治療のために服用していたチアマゾールの副作用による無顆粒球症と診断されます。無顆粒球症は、好中球数が500/μL未満に低下した状態を指します。本症例は無症状(発熱なし)ですが、血液検査によって治療開始から1か月という早期にこの致的な副作用が発見されました。
  3. 治療の概要
    抗甲状腺薬の中止: 無顆粒球症を発症したため、原因薬剤であるチアマゾールを直ちに中止する必要があります。
    薬剤の変更(ヨウ化カリウム): 甲状腺機能亢進状態が持続しており治療が必要ですが、抗甲状腺薬(チアマゾールやプロピルチオウラシル)は交叉性があるため、一方の薬剤で無顆粒球症を起こした場合は両薬とも禁忌となります。そのため、代替薬としてヨウ化カリウムへの変更が適切です。
    その他: 無顆粒球症への対応として、好中球数が回復するまで広域スペクトラムを持つ抗菌薬の投与などが検討されます。また、Basedow眼症の疑い(眼痛)があるため、現時点でのアイソトープ治療への変更は推奨されません。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Translate »