Calculating Diagnostic Probability Using Likelihood Ratios in Clinical Testing

第118回医師国家試験問題 令和6年2月3日・4日実施 問題C より

63 この患者の大腸に何らかの病変がある検査前確率(事前確率)を 20 % としたとき、便潜血反応陽性であった場合の検査後確率に最も近いのはどれか。 ただし、便潜血反応の感度は 80 %、特異度は 90 % とする。
a 33 %
b 53 %
c 57 %
d 67 %
e 97 %

「尤度比(Likelihood Ratio)」を用いて診断の確率を高める手法は、ベイズ統計に基づいた方法です。医師国家試験以外にも内科学会の専門医試験でもしばしば問われる問題です。以下copilotに解説してもらいました。

🔍 尤度比とは?

検査結果が陽性または陰性だったときに、病気の可能性がどれだけ高まる(または低くなる)かを示す指標です。この試験問題では陽性だったので、陽性尤度比を使用します。

  • 陽性尤度比(LR+)
    LR+=感度1−特異度LR+=1−特異度感度​ → 病気の人が検査陽性になる確率 ÷ 病気でない人が検査陽性になる確率
  • 陰性尤度比(LR−)
    LR−=1−感度特異度LR−=特異度1−感度​ → 病気の人が検査陰性になる確率 ÷ 病気でない人が検査陰性になる確率

🧠 診断確率を高める手順(ベイズの定理の応用)

  1. 事前確率(Pre-test Probability)を設定する
    医師の経験や疫学データから、検査前に病気である確率を見積もります。例:50%
  2. 事前オッズに変換する
    事前オッズ=事前確率1−事前確率事前オッズ=1−事前確率事前確率​
  3. 尤度比を掛ける
    • 検査が陽性なら:
      事後オッズ=事前オッズ×LR+事後オッズ=事前オッズ×LR+
    • 検査が陰性なら:
      事後オッズ=事前オッズ×LR−事後オッズ=事前オッズ×LR−
  4. 事後オッズを事後確率に変換する
    事後確率=事後オッズ1+事後オッズ事後確率=1+事後オッズ事後オッズ​

✅ 実例:国家試験の診断

  • 事前確率:20%
  • 感度:80%、特異度:90%
  • 検査結果:陽性

計算:

  • LR+ = 0.80 / (1 – 0.90) = 8
  • 事前オッズ = 0.2 / (1 – 0.2) = 0.25
  • 事後オッズ = 0.25 × 8 = 2
  • 事後確率 = 2 / (1 + 2) ≈ 67% (国家試験の正解とも一致)

→ 検査陽性により、診断確率が20% → 67%に上昇!


国家試験以外の事例も紹介します。

🩺 事例:急性心筋梗塞(AMI)の診断

🔹 背景情報(出典)

この論文では、ST上昇という心電図所見が急性心筋梗塞の診断において非常に有効であることが示されています。


📊 計算ステップ

① 事前確率(Pre-test Probability)

医師が患者の症状(胸痛など)から、急性心筋梗塞の可能性を**30%**と見積もったとします。

Ppre=0.30


② 事前オッズに変換

事前オッズ = Ppre / (1−Ppre) = 0.30 / 0.70 ≈ 0.429


③ ST上昇の陽性尤度比(LR+)

論文によると、ST上昇のLR+ = 13.0 


④ 事後オッズの計算

事後オッズ = 事前オッズ × LR+ = 0.429 × 13.0 ≈ 5.577


⑤ 事後確率に変換

Ppost = 事後オッズ / (1+事後オッズ) = 5.577 / (1+5.577) ≈ 5.577/ 6.577≈0.848


✅ 結果

  • 検査前の診断確率:30%
  • ST上昇を確認後の診断確率約84.8%

→ 診断確率が大幅に上昇し、急性心筋梗塞の可能性が非常に高いと判断できます。

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