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アスベストでおこる健康障害

アスベスト(石綿)で起こる主な健康障害には、以下のようなものがあります。

アスベスト肺(石綿肺)

アスベスト(石綿)を含んだ埃を大量に吸ったことに反応しておこる、肺の繊維増殖性の変化。
アスベスト肺の方は、職業などで長い間たくさんのアスベスト(石綿)を吸った人がほとんどです。

肺がん

アスベスト(石綿)を吸い始めてから20~40年後にできる肺の悪性腫瘍。アスベスト肺(石綿肺)や胸膜肥厚斑が見られる場合はアスベスト(石綿)による肺がんと考えます。
タバコを吸う人も吸わない人も、アスベスト(石綿)をたくさん吸うほど肺がんのリスクは高くなります。
タバコとアスベスト(石綿)を両方吸うとリスクが相乗的に高くなるので、肺がん予防には禁煙が大切です。

悪性中皮腫

胸膜(肺を包む膜)、腹膜(腸などの腹部臓器を包む膜)などに発生する悪性腫瘍で、その原因のほとんどはアスベスト(石綿)です。
アスベスト(石綿)を吸ってから30~50年後におこります。
最も多いのは胸膜にできる中皮腫です。
アスベスト肺(石綿肺)をおこさない程度のアスベスト(石綿)を吸ってもおこることがあります。

この他に、胸膜肥厚斑(肺を包む膜が厚みを増した状態)やアスベスト小体(肺の中のアスベスト繊維がタンパク質で覆われたもの、2~5ミクロンほどの大きさ)は、アスベスト(石綿)を吸った人に特有な特徴で、診断の参考になります。


初期症状

肺がん

多くの場合、最初は無症状です。進行すると咳、痰に血が混じる、息切れなどの症状があらわれます。

悪性中皮腫

多くの場合、最初は無症状です。進行すると息切れ、胸の痛み、咳などの症状があらわれます。

※注意※
アスベストによる病気があらわれるのは、最初にアスベスト(石綿)を吸ってから10年後から数十年後です。アスベスト(石綿)を吸ったからといって、すぐに病気になるわけではありません。



発症率

どれくらい吸ったら病気になるかは予測が困難です。
 アスベスト(石綿)による肺がんは、アスベスト(石綿)を大量に長期間吸うほど起りやすく、悪性中皮腫は、もっと少ない量でもなるといわれています。
 しかし、アスベスト(石綿)を吸った人が全員病気になるわけではありません。仕事で大量のアスベスト(石綿)を長期間吸った人でも肺がんや悪性中皮腫になる人はごく一部にすぎません。 むしろ、ならない人のほうが多いのです。

(参考文献:森永謙二、「アスベスト汚染と健康被害第二版」)