言葉の育て方(1)
配信年月:2017年初頭
1. インリアル法
アメリカのコロラド大学で考え出された、ことばの発達をよりよく育てる方法に「インリアル法」というものがあります。これは、コミュニケーションの際に、聞く側がよい反応をすることによって、ことばの発達を促そうとする考え方がもとになっています。ことばの発達が遅いお子さんの指導に使われることのある方法ですが、それだけでなく、大人と子どもがよいコミュニケーションをするのに、とても役立つ方法だと思いますので、今回みなさんにご紹介したいと思います。
2. 子どもとかかわるときの基本姿勢
インリアルの基本姿勢は「SOUL(ソウル)」と言われ、S, O, U, Lの4つから成っています。まず「S(Silence)」は「沈黙」です。大人と子どものコミュニケーションでは当然、ことばが未熟な子どもより、大人の方が多く話しがちになります。また、子どもがあまり話さない場合、大人の方が何か話しかけてやらなければいけない気持ちになったりしますが、インリアルでは、大人が多く声かけをするのではなく、静かに見守ることが提案されています。子どもに「ああしなさい」「こうしましょう」と言わずに、静かに子どもの行動や目の動きを見守ることで、子どもが自分から行動する姿勢を育てるのです。次の「O(Observation)」は「観察」です。口を閉じて沈黙した後は、目を開けて子どもをしっかり観察しましょうという提案です。そうすると、顔つきから、その日の体調を読み取ったり、表情からその時の気持ちを推測できたりします。しっかり観察していると、次は何をしようとしているのかが予測できる場合もあると思います。
さて、今回はここまでです。次回に残りの「U」と「L」についてご紹介します。
3. 参考図書
- 中川信子. 心をことばにのせて. 1990. ぶどう社.
AMED研究「発達性吃音の最新療治法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」
研究代表 国立障害者リハビリテーションセンター 森 浩一