MENU

  • 遺伝性白質疾患
  • 先天性大脳白質形成不全症

研究班の紹介

小坂 仁小坂 仁

自治医科大学 小児科学

東北大学医学部卒業後、神奈川県立こども医療センターレジデントを経て、横浜市立大学で大学院在学中の井上医師とPMDの研究を開始、その後20年以上も共同研究を続けています。米国サンディエゴのカルフォルニア大学に留学し、分子薬理学的研究を行ない、国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第4部での神経変性疾患の研究、こども医療センターを経て、自治医科大学に勤務しております。希少難病の研究を開始した当時は、現在のように治療を考える時代が来るとは思っていませんでした。From bedside to benchをモットーとして、研究成果を患者さんに届けるのが自分の仕事です。

井上 健井上 健

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部 室長

昭和38年生まれ、左利き。大学時代は硬式テニス部の主将として、勉学を顧みず、ラケットを振る。横浜市立大学医学部卒業後、精神科医としてトレーニングを積む。同大学院に在籍中に1年間、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校に最初の留学の機会を得る。この経験が後々の研究人生に舵を切るきっかけになる。この頃、小坂医師とPMDの研究を開始する。大学院修了後に、精神科専門病院への勤務し、臨床のトレーニングを積む傍ら、夜中に研究室に通って実験を行った成果が、PLP1重複変異の発見に繋がる。この成果を売りにして、米国ヒューストンのベイラー医科大学に留学。予定を大幅に上回る6年間余りに渡って師匠Lupski教授の指導をうけ、PMDなどの神経疾患の分子遺伝学的研究を行なう。2004年に帰国後は、現職でPMDやPCWHといった先天性大脳白質形成不全症の病態の解明や治療法の開発を目指した研究を継続している。

吉田 誠克吉田 誠克

京都府立医科大学大学院 医学研究科 脳神経内科学

平成9年京都府立医科大学医学部医学科卒。日本神経学会専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。アレキサンダー病の分子遺伝学的解析を研究テーマとして学位を取得、平成22-23年に「アレキサンダー病の診断基準および治療・ケア指針の作成、病態解明・治療法開発のための研究」班の研究代表者を務める機会に恵まれ、以後アレキサンダー病の臨床研究を継続してきました。日常臨床では成人の遺伝性神経疾患を中心に担当しています。本研究班では神経疾患の移行期医療体制の整備に貢献したいと思います。

久保田 雅也久保田 雅也

島田療育センター 院長
国立成育医療研究センター非常勤医師
東京大学大学院情報理工学系研究科 非常勤講師

1979年に九州大学工学部大学院修士課程修了、一時富士通関連に勤務の後1986年佐賀医科大学卒業。2007年から2020年まで国立成育医療研究センター神経内科に勤務。脳磁図、磁気刺激、誘発電位などによる神経生理学を専門にしています。2020年4月から島田療育センターに勤務。当センター長期入院中の患者さんは未診断の神経疾患も多く、一人ずつ病歴を洗いながら、診察を行い、遺伝子診断に持って行けたらと考えています。在宅訪問診療、短期入所など移行医療の一角も(移行のその先も含めて)担っており、課題は山積です。

山本 俊至山本 俊至

東京女子医科大学 統合医科学研究所

鳥取大学卒業後、母校の脳神経小児科という小児の神経疾患だけを診療対象としている医局に入局し、以来一貫して、主に遺伝性の小児の神経疾患の診療・研究に携わってきました。入局して4年目にPMDの患者さんと出会い、遺伝子診断に関わったところから、PMDの診断や研究を始めました。以後、オーストラリア留学、神奈川県立こども医療センターを経て、平成18年からは東京女子医科大学でマイクロアレイなどを駆使して遺伝性疾患の研究を行っています。また、私が診断に関わったPMD患者さんから、皮膚線維芽細胞をご提供いただき、疾患iPS細胞を樹立しています。今後は、このPMD患者さん由来のiPS細胞を使った病態解析、さらには治療開発を行って行きたいと考えています。

関連サイト

和田 敬仁和田 敬仁

京都大学大学院 医学研究科 ゲノム医療学講座 特定教授

ATR-X症候群、および、脳クレアチン欠乏症候群(クレアチントランスポーター欠損症、AGAT欠損症、GAMT 欠損症)を中心に取り組んでいます。ATR-X症候群は、現在30名以上の患者さんが登録され、5−アミノレブリン酸による治療の有効性を確認すべく準備を進めています。クレアチントランスポーター欠損症は、もっとも頻度の高い知的障がい症候群のの一つですが、国内での診断数が少なく、疾患の周知を進めると共に、治療法の開発のため研究を進めています。

秋山 倫之秋山 倫之

岡山大学病院小児神経科

平成7年に岡山大学医学部を卒業し、小児神経科に入局しました。以来、小児神経疾患の診療にずっと携わっています。神経生理学(脳波など)とてんかんを専門に診療・研究してまいりましたが、平成19年から4年間のカナダ留学(主な目的はてんかんの外科治療を学ぶため)の際に、日本における神経代謝疾患(特に治療可能なもの)の診断体制の整備の重要性を痛感し、代謝物分析の世界に足を踏み入れました。帰国後は、難治てんかんの診療と並行して患者さんからいただいた検体の代謝物分析を行い、診断確定に役立てるための研究を行っております。「治せる病気は見逃さない」を目標に研究を進めていきたいと思います。

井上 治久井上 治久

京都大学iPS細胞研究所 教授

1992年京都大学医学部卒業、同大附属病院等で神経内科医として診療にあたる。国立精神・神経センター、ペイチ医科大学、理化学研究所脳科学総合研究センター、ハーバード大学医学部などを経て、2005年京都大学大学院医学研究科助教、2009年京都大学iPS細胞研究センター特定拠点准教授、CREST研究代表、2014年京都大学iPS細胞研究所教授、日本医療研究開発機構(AMED)の疾患特異的iPS細胞を活用した難病研究プロジェクト拠点長、2017年理化学研究所BRC iPS創薬基盤開発チームリーダー(併任)。Editorial Board of Molecular and Cellular Neuroscience。患者さん由来のiPS細胞によるヒト脳神経系の理解、病態の解明を通じ、脳神経疾患の根治療法の開発を目指している。

岩山 秀之岩山 秀之

愛知医科大学医学部小児科学講座 講師

2001年名古屋大学医学部を卒業し、名古屋掖済会病院で臨床研修を開始しました。その後、愛知県・岐阜県の病院で勤務し、2008年名古屋大学大学院、2010年名古屋市立大学で専門研修(小児内分泌)、2012年からシカゴ大学(小児内分泌)に留学し、MCT8異常症の治療法の研究に従事しました。2015年に帰国し、愛知医科大学でMCT8異常症の研究を継続しています。本研究班では、早期診断法や治療法の開発、家族会の構築を担当しています。自分は本質的には臨床家であり、治療法のない難病の治療法の開発に強い興味を持っています。患者さんとそのご家族に一刻も早く、治療法が提供できるよう一生懸命頑張ります。

好きな映画は「ロレンツォのオイル/命の詩(1992年)」。著書に「希望の薬『スピンラザ』: 脊髄性筋萎縮症の新薬とその開発」(幻冬舎)がある。

植松 有里佳植松 有里佳

東北大学病院小児科

弘前大学卒業後、岩手県立中央病院で初期研修を行い、東北大学医学部小児科に入局しました。小児神経の研修中に、先天性大脳白質形成不全症の患者さんと出会い、疾患の病態に興味を持ちました。大学院に在学中は、国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部の井上健先生にご指導いただき、Pelizaeus-Merzbacher病の細胞内病態に関する研究を行いました。疾患の臨床像と細胞内病態が深く関わっていることを知りました。現在は、小児神経科医として、神経難病だけでなく、てんかんや発達障害まで幅広く診療しています。診療では、その疾患の病態を念頭におきつつ、患者さんに寄り添った医療を心掛け、研究では、臨床の疑問に迫る、治療を目指した研究を行いたいと思っています。

黒澤 健司黒澤 健司

神奈川県立こども医療センター遺伝科 部長

新潟大学卒業後、現在の神奈川県立こども医療センターでレジデントとして研修を受けました。専門領域は、小児科学、臨床遺伝学、臨床細胞遺伝学。小児科専門医、臨床遺伝専門医・指導医、臨床細胞遺伝学認定士・指導士として、診療および専門家の育成に関わっています。Pelizaeus-Merzbacher病の細胞遺伝学的診断や遺伝カウンセリングを担当しています。希少難病の遺伝学的検査の医療導入を考えています。Pelizaeus-Merzbacher病も含めた多くの先天異常の自然歴を明らかにし、少しでも予後改善に役立ててゆきたいと考えています。

近藤 洋一近藤 洋一

大阪医科薬科大学 解剖学教室 教授

1989年、岡山大学医学部卒業。元々は内科医だったものの、脳(神経免疫)に興味を持ち、基礎医学研究の世界に入りました。1998年から15年間ほど米国を流浪する間に髄鞘の再生研究に出会い、主に髄鞘形成細胞移植による脱髄疾患の治療を目指した基礎研究を行いました。また米国では、いくつかある白質ジストロフィー患者の家族会にて患児とその家族に触れ、研究成果を臨床へ橋渡しする必要性を強く意識するに至りました。現在は大阪医科薬科大学で学生に解剖学を教える傍ら、ペリツェウス・メルツバッハ病、アレキサンダー病、クラッベ病などの髄鞘の疾患について、治療法を開発するために研究を続けています。

才津 浩智才津 浩智

浜松医科大学医化学教室

平成10年に九州大学医学部を卒業後、産婦人科の臨床研修を経て、平成13年より京都大学で発生学の研究を行いました。大学院卒業後、平成18年より横浜市立大学の松本直通教授のご指導のもと、ヒト分子遺伝学(主に小児神経疾患)の研究に従事し、平成28年1月より浜松医科大学に異動して研究を継続しています。次世代シークエンサーの登場によって遺伝子解析は飛躍的な進歩を遂げ、海外では全エクソーム解析が臨床レベルの検査として既に実装されていますが、まだ日本では多くが研究レベルで行われているのが実情です。私は全エクソーム解析による網羅的遺伝子解析を行うだけでなく、全ゲノム解析やRNAシークエンス解析といったマルチオミクス解析を駆使して、先天性大脳白質形成不全症の遺伝要因を明らかにし、遺伝子診断と疾患メカニズムの解明の基礎研究に貢献していくことを目指します。

佐々木 征行佐々木 征行

国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科 小児神経診療部長

新潟大学医学部卒。昭和63年国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科でレジデント開始。このときにKrabbe病、副腎白質ジストロフィー、Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)などの大脳白質疾患に出会ったことから、平成4年から6年まで米国国立衛生研究所(NIH)でミエリン研究を行いました。帰国後は小児神経の臨床に専念し、大脳白質異常症を初めとする多くの小児神経疾患患者さんの診断・治療を行ってきました。当初診断できなかった特殊なMRI画像を呈する大脳白質異常症の患者さんが、その後RNAポリメラーゼ3関連大脳白質変性症やTUBB4A遺伝子関連白質低形成と世界で初めて確定診断される場面に立ち会うことができました。今後も診断レベルの向上と治療を目指した研究を進めていきたいと考えています。

高梨 潤一高梨 潤一

東京女子医科大学八千代医療センター 小児科 教授

千葉大学の学生時代は準硬式野球部に所属し、現在も高校野球(銚子商業、習志野高校)、サッカー(JEF千葉)観戦を趣味としています。卒業後は千葉大学小児科に入局し、小児神経疾患の診療にあたってきました。その中でもPelizaeus-Merzbacher病患者さんとの出会いは、当時臨床応用間もないMRIの威力をみせつけ、私が神経画像を専門とする契機となりました。カルフォルニア大学神経放射線科で研修後は、本研究班を中心に臨床・神経画像・分子遺伝学が一体となり、患者さんに還元すべく研究を継続しております。加えて、脳代謝を測定しえるMR スペクトロスコピーによる脳病態の解析研究も進めています。研究班の成果により、早期診断が治療・予後の改善に結びつくことを願っています。現在は、東京女子医科大学八千代医療センター小児科・神経小児科で診療にあたるとともに、後進の指導に携わっています。

髙野 亨子

信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター

医学部卒業後、小児科医として市中病院に勤務。大学院在籍時に小児神経の臨床および研究に従事した。学位取得後、現国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第二部にてX連鎖知的障害の遺伝子解析に取り組んだ。米国留学から帰国後、神奈川県立こども医療センター神経内科にてvanishing white matter diseaseをはじめとした様々な小児神経疾患の臨床経験を積んだ。2013年10月より信州大学医学部遺伝医学教室、2018年8月より現所属に勤務。長野県内の小児科医と協力し知的障害を中心とした神経発達症の遺伝要因の探索、その他の遺伝性疾患の診療や遺伝カウンセリングに取り組んでいる。

松井 大松井 大

大津赤十字病院脳神経内科部長
京都大学医学部臨床教授

京都大学神経内科(木村淳教授)に入局し臨床研修後、京大大学院(中西重忠研究室)で分子生物学を学びました。留学先の米国クリーブランドクリックではRansohoff先生のもとで多発性硬化症の治療の研究を行っていました。帰国後、金沢医科大学神経内科講師等を経て、2010年より大津赤十字病院に勤務しています。

研究班の中では、主に後天性白質疾患を担当しています。救急搬送されてくる症例の中や脳神経内科の外来診療において、頭部MRIの画像上、広範な大脳白質病変を認める場合があります。治療方針を決定したり、遺伝子診断の負担を減らすためにも遺伝性と後天性の白質疾患の鑑別は重要です。また、小児科で遺伝性白質疾患として治療されていた方が成人となった場合の脳神経内科への移行期医療(トランジション)も今後の課題になると思われます。

急性期病院の脳神経内科医の立場から研究班に貢献したいと思います。

三重野 牧子三重野 牧子

自治医科大学 情報センター 准教授

2001年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒業。大学院では疫学・生物統計学を専攻し、Biostatisticianとしてのトレーニングを積んできているところです。これまで、臓器移植レジストリデータ(移植患者登録および追跡調査)や剖検データのデータベース整備と統計解析、再発を繰り返す疾患を対象とした臨床試験の方法論の研究等に携わってきました。2007年より自治医科大学情報センターに勤務しています。本研究班では主に、ガイドラインや患者データベース作成について担当させていただきます。

村松 一洋村松 一洋

自治医科大学小児科学
自治医科大学遺伝子治療研究センター

1998年に群馬大学卒業後、日本赤十字社医療センター小児科・新生児未熟児科を経て、群馬大学生体調節研究所で極性輸送・膜輸送の研究を行い学位を取得しました。
院生時代に同定した分子で動物モデルを作り、ドパミン神経疾患の病態解析のために、このモデルとともに2011年にドイツへ留学。
帰国後から縁あって、当時膜輸送の一領域であったオートファジーに起因する神経疾患の研究に従事し、オートファジー病の病態解明と治療法開発に取り組むようになりました。
2017年からは、自治医科大学に異動し、オートファジー病や先天代謝異常症の遺伝子治療開発にも新たに携わっています。
治療できる疾患を一つでも多く増やすために、遺伝性疾患の分子病態を明らかにし、治療法を開発していきたいと考えています。
今までわからなかったことがわかるようになる、誰も知らなかったことを知ることができるようになるという瞬間を大切にしたいですね。

望月 葉子望月 葉子

東京都立北療育医療センター 内科・脳神経内科 部長
日本大学医学部 病態病理学系人体病理学分野 兼任講師

1984年に日本大学医学部を卒業して神経内科に入局し、2002年から東京都立北療育医療センターに勤務しています。また、大学院、東京都立神経病院を経て、現在は母校で神経病理に携わっています。当院で2017年に調査したところ、内科患者の約半数が小児科から紹介された移行患者さんであることが判明し、それ以来、小児科と内科の医師、スタッフと共に移行医療に取り組んでいます。一方、重症心身障害児施設入所者の意思決定の問題に直面したことから、2017年より東京大学生命・医療倫理教育研究センター(CBEL)による生命・医療倫理セミナー基礎・応用コースを順次修了し、院内に臨床倫理コンサルテーションチームを設置してもらい、活動しています。「小児期医療から個々の患者に相応しい成人期医療への移り変わり」は特定の期間ではありません、患者さんの成長発達に伴う切れ目のない医療を提供できるような「移行医療」に取り組みたいと考えています。

山内 淳司山内 淳司

東京薬科大学・分子神経科学研究室・教授

東京工業大学大学院生命理工学研究科を卒業。学生時代はGTPaseを中心としたシグナル伝達メカニズムを研究しました。大学院卒業後に国立小児病院小児医療研究センターでポスドクを行い、遺伝子疾患の研究を開始しました。その後、奈良先端科学技術大学院大学助手、スタンフォード大学医学部神経科学部門客員助手、国立成育医療研究センター研究所室長などを経て現職につきました。遺伝子改変マウスなどの発生工学技術と幹細胞を利用した細胞工学技術を用いることで、脱髄疾患の研究を進めるとともに、中枢神経系と末梢神経系の発生および恒常性の分子メカニズムの研究を行っております。基礎的研究ばかりですが、できる限り多く研究班に貢献したいと考えております。