脂肪酸代謝異常症
Point
- 脂肪酸β酸化異常症では、長時間の飢餓、長時間の運動後、感染症罹患時に症状が出現する。
- 脂肪酸β酸化異常症で、新生児期に発症する型では、代謝性脳症、肝腫大、心筋症などを示す。成人期に発症する型では、運動不耐、筋痛、有痛性筋痙縮や筋力低下を呈し、しばしばミオグロビン尿をともなう。
- 脂肪酸代謝異常症では、長時間の飢餓や長い運動を避けること、感染時の早期治療(点滴静注)により代謝の破綻を防ぐことが重要である。
- コレステロール関連疾患では、中枢神経障害や末梢神経障害が生じる。
治療可能な疾患
カルニチン回路異常症と脂肪酸β酸化異常症
全身性カルニチン欠乏症
C:飢餓や感染で発症、嘔吐、けいれん
B:AST↑、CK↑、アンモニア↑、ケトン体↓
S:遊離カルニチン↓、尿中遊離カルニチン排泄率>2.1%
治療:カルニチンの大量投与 (L-カルチン 100-400mg/kg/day)
極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症
C:嘔吐、意識障害、けいれん、筋力低下、筋痛、心筋症
B:急性期非ケトン性低血糖、CK↑、アンモニア↑、肝機能障害(AST、ALT↑)
U:急性期ミオグロビン尿、非ケトン性ジカルボン酸↑
S:アシルカルニチン分析 長鎖アシルカルニチン↑、C14:1↑、線維芽細胞 in vitro probe assay、ADADVL遺伝子解析
治療:MCTミルク、MCTオイル
グルタル酸血症2型
治療:リボフラビン反応性の症例では、CoQ10
コレステロール・胆汁酸代謝異常症
脳腱黄色腫症
C:退行、新生児期黄疸・胆汁うっ滞、小児期~弱円発症慢性下痢、若年発症白内障、腱黄色腫
B:コレスタノール↑
R:頭部MRI:両側性に小脳歯状核、脳室周囲白質、淡蒼球、皮質脊髄路に病変
治療:ケノデオキシコール酸