• TOP
  • 膵臓移植について
  • 適応と選択基準

膵臓移植について

適応と選択基準

<適応基準>

日本における膵臓移植の適応基準は、移植関係学会合同委員会と膵臓移植特別委員会にて定められています。膵臓移植は膵腎同時移植、腎移植後膵臓移植、膵臓単独移植の3つに分類されます。いずれの方法もインスリン分泌がほとんどない糖尿病患者が対象となりますが、術式によって適応が少し異なります。腎不全がある方(またはすでに腎臓移植を受けている方)は、膵腎同時移植(または腎移植後膵移植)の適応となります。腎不全がない場合、膵島移植と同様に、糖尿病学会専門医等のエキスパートによる治療によっても血糖のコントロールが困難である方は、膵臓単独移植の適応となります。
膵臓移植を希望される場合は、移植希望施設を受診していただき、適応基準を満たしているか評価を受けなければいけません。以下が膵臓移植の適応基準の概要です。受診後の流れは、移植申請から登録までの流れを参照して下さい。

膵臓移植レシピエント適応基準

1.対象

膵臓移植の対象は、膵腎同時移植・腎移植後膵臓移植の対象は以下の①、膵臓単独移植の対象は以下の②に該当する者であり、かつ、該当者が居住する地域の適応検討委員会において長期間にわたる臨床データおよび臨床検査をもとに、適応ありと判定されたものとする。なお、レシピエントの評価をする際には、心血管機能と腎機能、および動脈硬化性変化(特に移植部位である腸骨動脈領域)の範囲に十分配慮する必要がある。

  • 腎不全に陥った糖尿病患者であること。臨床的に腎臓移植の適応があり、かつ内因性インスリン分泌が著しく低下しており、移植医療の十分な効能を得る上では膵腎両臓器の移植が望ましいもの。患者はすでに腎臓移植を受けていてもよいし、腎臓移植と同時に膵臓移植を受けるものでもよい。
  • 1型糖尿病患者で、日本糖尿病学会専門医によるインスリンを用いたあらゆる治療手段によっても血糖値が不安定であり、代謝コントロールが極めて困難な状態が長期にわたり持続しているもの。本例に膵臓単独移植を考慮する場合もあり得る。

2.年齢

年齢は原則として60才以下が望ましい。

3.合併症または併存症による制限
  • 糖尿病性網膜症で進行が予測される場合は、眼科的対策を優先する。
  • 活動性の感染症、活動性の肝機能障害、活動性の消化性潰瘍。
  • 悪性腫瘍
    原則として、悪性腫瘍の治療終了後少なくとも5 年を経過し、この間に再発の兆候がなく、根治していると判断される場合は禁忌としない。しかし、その予後については腫瘍の種類・病理組織型・病期によって異なるため、治療終了後5年未満の場合には、腫瘍担当の主治医の意見を受けて、移植の適応が考慮される。
  • その他
    膵臓移植地域適応検討委員会が移植治療に不適当と判断したものも対象としない。

<選択基準>

脳死下、心停止下の膵臓提供者が現れた場合、日本臓器移植ネットワークに登録されている膵臓移植希望者から移植を受ける人(レシピエント)が選択されます。日本における膵臓移植の選択基準は、公衆衛生審議会成人病難病対策部と臓器移植専門委員会にて定められています。適合条件をみたす膵または膵腎同時移植希望登録者の中から、以下の優先順位に従ってレシピエントが選択されます。

1.適合条件
  • ABO式血液型の一致又は適合
  • リンパ球交差試験(全リンパ球又はTリンパ球)陰性
2.優先順位
  • 親族
    臓器提供者が親族への優先的提供の意思を示している場合、当該親族を優先
  • 20歳未満
    臓器提供者が20歳未満の場合、選択時に20歳未満である移植希望者を優先
  • ABO式血液型
    血液型が一致するものを適合するものより優先
  • HLAの適合度
    DR座のミスマッチ数とA座及びB座のミスマッチ数により優先度を決定
  • 膵臓移植(腎移植後膵臓移植、膵単独移植)と膵腎同時移植
    ①臓器提供者から膵臓および2つの腎臓の提供があった場合には、膵腎同時移 植、腎移植後膵臓移植、膵単独移植の順に優先される。ただし、膵腎同時移植 希望者が優先されるのは、DR座の1マッチ以上のHLA型の適合がある場合に限 る。②①以外の場合には、膵腎同時移植以外の希望者については、腎移植後膵臓移 植、膵単独移植の順に優先される。
  • 待機期間
    長いものを優先
  • 搬送時間

    より短いことが見込まれるものを優先

<血液型適合の組み合わせ>

レシピエント ドナー(一致又は適合する関係)
O型 O型
A型 A型 O型
B型 B型 O型
AB型 AB型 A型 B型 O型

<HLAとは>

HLAとは、Human Leukocyte Antigen(ヒト白血球型)の略で、白血球の表面にある自己と非自己を認識するシステムを構成する膜抗原です。Class Ⅰ(A、B、各2つ)と、Class Ⅱ(DR2つ)があります。
HLAは白血球の型で、両親から遺伝的に受け継いでいます。数多くのタイプがありますが、特に移植に関与するのはHLA-A(27種類)、HLA-B(57種類)、HLA-DR(21種類)で、一人の人がそれぞれについて2つずつ、合計6種類のタイプを持っています。
たとえば、両親がHLAのA・B・DRのひとつずつを1組として合計で2組のHLAを持っていると、その子供は父親の1組と母親の1組を受け継ぐため4通りの組み合わせができます。つまり、兄弟姉妹の場合、HLAのA、B各1つずつとDRの1つの合う確率が50%、すべて合う確率が25%、まったく合わない確率が25%あります。これが他人になると1万人に1人、日本人では50人から千人に1人しかいないといわれています