東海大学脳神経外科
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髄膜腫

1. 概要

髄膜腫は、良性脳腫瘍の中でも最も頻度の高い脳腫瘍です。脳の表面にある髄膜と呼ばれる組織の細胞から発生するもので、ほとんどのもので、腫瘍の大きくなるスピードは比較的ゆっくりしています。脳は、急速な圧迫にはあまり耐えることはできませんが、ゆっくりと進行する圧迫には、かなりの間、症状を出さずにいる場合が多く、症状が出る時点では、腫瘍はある程度の大きさになっている場合が多いようです。

2. 症状

腫瘍の起きる場所は、脳の中でもいろいろな場所に起こり、それぞれの場所によって、圧迫される脳の場所も異なりますから、起きる症状も異なります。一般的に、頭痛の症状は共通ですが、その他に、たとえば運動の中枢に圧迫が及べば、腫瘍の反対側の手足に麻痺が出ますし、視神経が圧迫されれば、視力や視野に障害が起きます。全身けいれん発作が起きて、腫瘍が見つかる場合もしばしばあります。

3. 診断

診断には、やはり、造影剤を用いたMRIの検査が最も有用です。この他に、手術前には、脳血管撮影が必要になる場合も多いでしょう。MRIでは、髄膜腫がはっきりと映しだされ、専門医がみれば容易に診断することができます。脳の圧迫の程度や、腫瘍周辺の脳の腫れなども、MRIで評価することができます。

4. 治療

治療は、基本的には、手術による摘 出ということになります。手術できれいに摘出することができれば、多くの場 合に症状はよくなります。手術の危険性は、腫瘍の場所によって異なります。 脳の深部にあるか、浅い部分か、言葉や運動などをつかさどる大事な脳の場所 に接しているか、大事な神経や血管が腫瘍の近くにあるか、などによって、術 後に合併症が起こる可能性は大きく左右されます。

当院では、豊富な経験と、手術用顕微鏡、ワークステーションによる術中ナビ ゲーション等の最新設備を備え、年間約50例の脳腫瘍の症例で、安全確実な腫瘍の摘 出を行っています。(参照)

当院での手術例
手術前 手術後