手術紹介

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症とは

認知症の認識が高まっている現在ですが、治療可能な認知症があります。ご存知ですか?
「認知症状」に加え「尿失禁」「歩行障害」を認め、脳のMRIやCTなどで脳の中に水(髄液ずいえき)が貯まっていることが確認されると、特発性正常圧水頭症とくはつせいせいじょうあつすいとうしょうと診断されます。これは高齢認知症患者さんの5〜10%に認められますが、本人が自覚症状を訴えまた家族の方が気づき医療機関を受診し、脳外科医の的確な判断が下され治療が行われると、症状の改善が期待されます。当院では近隣医療機関からの紹介が多く、疑い症例によっては入院して頂き、髄液排除試験やこの後行われる造影剤によるCTなどで確定診断が下されます。

治療

特発性正常圧水頭症とは、脳室のうしつ内で産生される髄液が過剰貯留された状態で、画像上脳室が拡大していることを指します。よって治療は、髄液の流れを脳室からお腹の中へ新たに作る、脳室―腹腔短絡術のうしつ―ふくくうたんらくじゅつという手術が行われますが、ほかに腰椎―腹腔短絡術ようつい―ふくくうたんらくじゅつ脳室―心房短絡術のうしつ―しんぼうたんらくじゅつも行われます。特に腰椎―腹腔短絡術は脳に直接侵襲が加わらないため、最近ではご高齢の患者さんに広く行われるようになって来ました。


水頭症のないCT

脳室が拡大している水頭症のCT

脳室―腹腔短絡術後のCT
脳室にチューブが入って
いるのが分かります

なお当院にはもの忘れセンターがありますが、特発性正常圧水頭症の患者さんの的確な診断・治療が下せるために、今後共通外来が開けるよう準備を進めております。