■治療薬

│関節内注射製剤│

　関節痛の治療　←→　関節/関節痛/関節内注射法/AKA-博田法

保存的治療	安静、温熱療法、低周波治療、足底板・各種サポータや膝装具の使用、大腿四頭筋訓練
薬剤治療	関節内注入薬	ヒアルロン酸製剤
		ステロイド製剤
	外用薬・内服薬	NSAIDs
		ステロイド製剤
		リウマチ治療薬
		DMOAD
観血的治療 (手術療法)	関節鏡：滑膜切除・半月板切除・遊離体摘出・ 骨棘切除など、その他:矯正骨切り術、人工関節置換術

○ヒアルロン酸製剤　→ヒアルロン酸

　[ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注入]　←→関節内注射

• 関節液を排除した後、局所麻酔薬とヒアルロン酸ナトリウムを関節内に注入する。
• 適応：変形性膝関節症、肩関節周囲炎、関節リウマチ
• 副腎皮質ステロイドは強力な抗炎症効果を有するが、頻回投与により軟骨のプロテオグリカン合成抑制などによる軟骨変性が危惧される。高分子ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注入療法は軟骨や関節液の粘弾性を回復させ、副作用も少なく、より安全な治療法である。

　[ヒアルロン酸製剤の疼痛機序]

• 軟骨保護作用、抗炎症作用、関節内神経保護作用などが報告されている。
• グルクロン酸がそのカルボキシル基により、生理的なpH領域で陰イオン電化を有し、関節内に高分子量ヒアルロン酸を注入すれば、関節の弾力性は著明に回復する。
• 軟骨でプロテオグリカンのバックボーンとして凝集を行う。
• 加重によるクリープ変形に抗して、関節軟骨の恒常性維持の役割を持っている。
• 関節潤滑作用は、高分子量ヒアルロン酸が液体膜を維持し、液体膜潤滑、境界潤滑ともに改善される。
• ヒアルロン酸は高分子であることで抗炎症作用があり、軟骨保護に働き、低分子ではむしろ炎症や動脈硬化を引き起こす場合がある。服用したヒアルロン酸が高分子のまま吸収されることは考えにくいので、直接間接に投与しなくてはならないことが推測される。

　[副作用]

• ヒアルロン酸性剤による副作用と合併症はきわめて稀である。
• ごく稀には体質的に合わないためのショックを生じることや、肝障害を生じることもある。

　[手技上の合併症]

• 化膿性関節炎がある。液感染性疾患、感染性皮膚疾患、外傷を有する関節に対しての注入は禁忌である。
  
  

  ヒアルロン酸　←→ヒアルロン酸製剤/ヒアルロニダーゼ/プロテオグリカン　参考1/2 ヒアルロン酸は、酸性ムコ多糖（グリコサミノグリカン）の一種であるD-グルクロン酸とＮ-アセチルグルコサミンが重合したものである。 グルクロン酸とN-アセチル-D-グルコサミンからなる2糖が単純に繰り返した構造 この２つの糖は、グルコシド結合によって、直鎖状に伸張したポリアニオンとして生体中に存在する。 ヒアルロン酸はほとんどすべての組織の細胞外基質で、細胞の挙動に直接影響するいくつかの機能を含む多岐にわたった機能を有する。 眼硝子体、臍帯、関節液、皮膚、軟骨などの結合組織に多く含まれ、主として、線維芽細胞や滑膜細胞などで産生されている。 ヒアルロン酸は、関節液の主成分である。関節の内面を覆っている滑膜の細胞が、関節液とともに産生する。 関節を曲げる、関節を踏みつけて圧迫する、などの際にヒアルロン酸は、関節軟骨の表面と表面の間にできたひだ由来の間隔に挟まり、大きな分子が圧縮される。ヒアルロン酸が圧縮されることで、関節面を接触しないように押し広げるように働き、関節軟骨の表面を摩擦により擦り減るのを防いでいる。 細胞から遊離したヒアルロン酸は、血流に乗ってリンパ組織へ移動し、大部分は肝まで運ばれ代謝される。残りの一部は脾臓や腎において代謝され、分子量の小さくなったものは尿から排泄される。 細胞外基質として、様々な生理的機能を果たしている。 水平衡の維持、血漿タンパクの組織漏出の制御、関節の潤滑性の維持、細菌侵入に対する生体防御作用、関節炎症および増殖抑制作用、軟骨変性作用、軟骨修飾作用、組織癒着防止作用、関節疼痛抑制作用、変性軟骨に対する親和性、軟骨変性抑制作用、プロテオグリカンおよびグリコサミノグリカンとの相互作用、粘弾性、関節潤滑機能（液体膜潤滑および境界潤滑）

  ヒアルロニダーゼ hyaluronidase　←→ヒアルロン酸/ヒアルロン酸製剤 ヒアルロン酸を分解する酵素 ヒアルロン酸を加水分解することによって粘度が低下するが、ヒアルロン酸は間質組織の主成分であるため、組織の浸透性が増加する。そのため、体内での分散を容易にするために、薬に混ぜて服用されることがある。 生体内に広く分布している。 ヒアルロニダーゼは異なる基質特異性を有し、また、その至適pHも広い。 ヒアルロニダーゼ活性は、当初、ほ乳類精巣の抽出物から「拡散因子」として同定された。 「ヒアルロニダーゼ」という名称は1940年にKarl Meyerによってヒアルロン酸を分解する酵素を意味する語として導入された。

○disease modifying osteoarthritis drugs：DMOADs 　←→OA

• 変形性関節症：OAに対する薬物治療には、疼痛などの症状改善を目的に使用される「症候改善薬（symptom-modifying drug）」と、OAの進行を防ぐ目的で使用される「疾患修飾性OA薬（disease-modifying osteoarthritis drug：DMOAD）」がある。
• DMOADは、単に炎症を抑えるだけではなく、関節の構造自体に作用して、病気の進行を遅らせることができる薬
• OAの病態には炎症，タンパク分解酵素や活性酸素による軟骨基質の分解が深く関与していることから，炎症性サイトカイン阻害薬、MMP阻害薬、アグリカナーゼ阻害薬，細胞伝達物質であるNFκBやMAPキナーゼの阻害薬、iNOS阻害薬などがDMOADとして開発されたが，有効性，安全性から実地応用には至っていない。
• グルコサミンもその基準を満たすことがわかった。　参考1

Pain Relief