開催報告

第23回 オートプシー・イメージング(Ai)学会学術大会
大会長 飯野守男(鳥取大学医学部社会医学講座法医学分野)

 2025年8月23日(土)・24日(日)の二日間、第23回オートプシー・イメージング(Ai)学会学術大会を鳥取県米子市の米子コンベンションセンター小ホールで開催いたしました。地方での開催にもかかわらず、全国から約130名の参加者にお集まりいただき、活気ある大会となりました。ご参加いただいた皆さま、そしてご支援くださった関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

 今回のテーマは「地域に根差し世界に発信する日本のAi」です。Aiはもともと死因究明を目的に広がってきましたが、近年は研究や教育の分野でも活用が進んでいます。地域での取り組みを大切にしながら、その成果を国際的に発信していくことこそが、これからの日本のAiの使命だと考えています。

 一般演題に先立ち、本年5月に福井で行われたシンポジウム「Aiセンターが日本社会にもたらすもの」について山本正二先生(Ai情報センター)から特別報告がなされ、これまでのAi学会のあゆみ等が紹介されました。

 初日は「世界へ発信する日本のAi」をテーマに、一般演題10題とともに海外からのゲスト講演を行いました。ブータンのDawa Zangpo先生からは自国の死因究明体制や遠隔医療を活かしたAi導入の展望について、インドネシアのReyhan Firdausi先生からは新しい刑法の下でのAi導入の可能性について発表いただきました。会場からは文化や宗教背景を踏まえた質問も多く出され、国際的な視点からAiを考える貴重な時間となりました。

 二日目は「地域のAi」をテーマに、一般演題9題とパネルディスカッションを実施しました。検視官・法医学者・救急医という立場の異なる3名が登壇し、鳥取県でのAiの積極的な活用や、教育・地域啓発への応用について意見交換しました。参加者からは「鳥取のAi実施率の高さに驚いた」との声や「司法解剖の情報も臨床に還元できる方法はないか」といった要望も寄せられ、Aiの利点と課題を共有する場となりました。

 本大会では、医師だけでなく診療放射線技師や学生の参加も多く、若い世代による発表が目立ったことも大きな特色でした。Aiが次世代へと着実に受け継がれ、広がっていることを実感する大会となりました。

 また、初日終了後には情報交換会を開催し、分野や世代を越えた交流が生まれました。懇親の場には、米子出身のシンガーソングライターOri-ZURU KAORIさんをお招きし、オリジナル曲を含む歌とダンスを披露いただき、大会に花を添えて頂きました。

 今回の学会を通じて得られた知見と交流が、今後のAi研究・教育・実務のさらなる発展につながることを願っています。そして、鳥取からの発信が、日本全国へ、さらには世界へと広がっていくことを期待しています。

2025年8月25日


シンポジウム:国際社会と日本発のAi
第23回スタッフ一同
会場受付
パネルディスカッション:地方県におけるAiの役割