第16回オートプシー・イメージング(Ai)学会学術総会 開催記

第16回オートプシーイメージング学会学術総会大会長
筑波メディカルセンター病院 放射線技術科 専門係長 小林智哉

平成30年7月28日(土)29日(日)、つくば国際会議場大ホールにて、第16回オートプシー・イメージング(Ai)学会学術総会を開催しました。

今回の学術総会のテーマは、“We are team Ai ~Aiを担う多職種の輪~”でした。これまでにない取り組みとして、オープニングムービー上映からのオープニング講演と、一般演題の優秀演題選出を、聴衆の投票(ポイント数:座長:10, 一般:1, 学生:0.5)によって行いました。また、これまでにない大きな会場(収容数450名)で本会を開催したことも特筆すべき点であると言えます。

オープニング講演として、つくば発祥とされるAiの”事始め”を帝京平成大学(元筑波メディカルセンター病院救命救急センター長)大橋教良先生にご講演頂き、Aiの起源とその本質を知りました。特別講演は、警察庁科学警察研究所の今泉和彦先生に個人識別の最新情報をご講演頂きました。スーパーインポーズ法などは、Aiの大規模データからAI(Artificial Intelligence:人工知能)が学習して精度が増すとのことで、”AiのAI”とういう新たな展開を感じました。

一般演題は、4セッション×5演題で多種多様な20演題のご発表がありました。モダリティとしてUSからMRI、対象として動物から検体までと、バラエティに富んだ内容となり、活発な質疑が行われました。優秀演題は、セッション1『マネージメント』大曽根敏彰先生(88/195ポイント)、セッション2『個人識別』大澤阿紋先生(75/200ポイント)、セッション3『検体・死後変化』松山貴裕先生・飯塚一則先生(同率1位 37/140.5 ポイント)、セッション4『症例報告・Aiの有用性』真橋尚吾先生(56.5/146ポイント)でした。

シンポジウムは「Aiと各職種の関わり〜茨城県の輪〜」と題し、多職種の輪を題材としました。診療放射線技師の飯田訓司先生の実体験を指定症例報告とし、基調講演としてAi情報センターの山本正二先生に、Ai情報センターの立ち上げと各職種との関わりをご講演頂きました。その後、茨城県内の多職種間の関わりを、茨城県医師会から石渡勇先生に、筑波剖検センターから早川秀幸先生に、救急現場から稲葉健介先生に、診療放射線技師の立場から櫻井常男先生にご発表頂きました。飯田先生の「Aiがあって我々遺族が救われ、涙を流しながらスライドを作成しました。」という言葉に会場全体の魂の震えを感じました。ご遺族もチームの一員と考え死因究明に取り組むことが重要であり、日本のチームワークから構成された死因究明のシステムを世界に発信することは、人類社会に貢献すると再確認しました。

ランチョンセミナーは、茨城の大手企業である日立製作所の協賛で開催されました。東京大学、千葉大学、両方の法医学領域でご活躍の槙野陽介先生にご講演頂き、死後画像において頚椎損傷を評価することの重要性を学びました。

情報交換会には参加者の半分にあたる166名が参加し、密な情報交換ができました。会の中盤では私の恩師、東北大学放射線診断科の植田琢也先生率いる、ジャズ・アカペラバンド“HaMoReSo”の素晴らしいハーモーニーに酔いしれました。予想以上の参加者に十分な“おもてなし”ができず心苦しかったですが、様々な分野の先生方が情報交換しているのを拝見し、安堵しました。

「台風12号ジョンダリが発生し、日本を横断する可能性があります!」ニュースを聞いたのは開催日の3日前の事です。約1年間の準備を経てやっとの思いで事前登録者数が296名となり、少し安心していた矢先の台風予報に、危機感を覚えたのは言うまでもありません。「大きな会場を半分以上使用せずに開催か・・・」と意気消沈していましたが、会終了後の集計で参加者数329名と聞き、感謝と達成感で目頭が熱くなりました。異例の台風襲来と、Ai学会学術総会の大会長を過去最年少で市中病院の診療放射線技師が行う確率は、天文学的な数値だと思います。そのようななかで、本会を成功させるためにはチームの力が必要不可欠であり、我々は本会開催にあたり、チーム力の重要性を体現できたと自負しております。今後も死因究明の一助となるオートプシー・イメージングが、大きな輪で発展していくことを切望しております。

最後になりましたが、大会をご支援くださいました皆様、ご講演をいただいた先生方、参加してくださった皆様、運営スタッフの皆様に、心より御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

〔本会は、インナビネット(http://www.innervision.co.jp/report/usual/20180903)で取材記事が公開されています〕


第16回Ai学会総会の様子