上衣芽腫 ependymoblastoma (今はない古い病名)
ependymoblastomaは,2021年以降は Embryonal tumor with multilayered rosettes ETMRと呼ぶことになりました
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ここから下は,2020年以前の古い記述です
- とても小さな子供にできる悪性腫瘍です
- 新生児から幼児期までにみられ,2歳くらいに中央値があります
- あまりにも珍しい腫瘍なので画像診断はできません
- 脳室内にも,テント上の脳室近傍あるいは脳表,脳幹部にも発生します
- かなり大きな腫瘍として発見されます
- 水頭症を併発します
- ですから元気がない,ぐったりしている,嘔吐するという症状が出ます(頭蓋内圧亢進症状)
- 年長児では麻痺などの局所脳症状で発症することがあります
- CT/MRIでは境界が明瞭な腫瘍にみえます
- 周囲に強い脳浮腫が生じることが多いです
- のう胞を含み部分的にガドリニウム増強されます
- かなり早く大きくなる腫瘍で,頭蓋内圧が高じると意識障害になることもあります
病理
- 画像では境界明瞭に見えますが,髄液播種します
- 腫瘍の周辺の髄膜や脳溝に浸潤します
- PNET類似の病理所見で,未分化な神経外胚葉細胞が密集して増殖します
- 多層性ロゼット形成 multilayered rosettes が最大の特長です
- true ependymoblastomatous rosettesと呼ばれます
- 上衣腫が血管周囲にperivascular pseudo rosettesを形成するのに対して,上衣芽腫では中心に小さな円形の管腔 small round central luminaがあります
- 細胞はこの芯から放散するように増殖します
- 核分裂像は多数です
予後
- 治療法と予後はPNETに準じて考えます
- 播種性格が強く,乳幼児のために十分な放射線治療もできません
- 手術での全摘出が生存期間の延長に寄与するとされています
- 従って予後は悪く,診断からの生存期間は,6ヶ月から1年くらいです
MRI画像の特徴
Nowak J, et al: MRI characteristics of ependymoblastoma: results from 22 centrally reviewed cases. AJNR Am J Neuroradiol 35:1996-2001, 2014
境界明瞭で大きな腫瘍であるのが特長です。T1強調画像で等信号から低信号,T2で高信号,diffusion coefficient mapで低信号,ガドリニウム増強はさまざまですが強い増強初見ではなく,周囲浮腫は伴わないことがあります。髄液播種所見がみられることがあります。
文献
- Nowak J, et al: MRI characteristics of ependymoblastoma: results from 22 centrally reviewed cases. AJNR Am J Neuroradiol 35:1996-2001, 2014
- Nowak J, et al: Systematic comparison of MRI findings in pediatric ependymoblastoma with ependymoma and CNS primitive neuroectodermal tumor not otherwise specified. Neuro Oncol 17:1157-1165, 2015