カドワース

(かどわーす Cudworth, Ralph)

40年以上も前に、パスモアPassmoreは、 ロックに対するカドワースの重要性に注目した。 より最近では、 スティーヴン・ダーウォルがカドワースとカントの類似点に着目することにより、 両者の関係についての問いを再燃させた。 カドワースは、間違いなく、 こうした哲学者や他の哲学者に与えたと考えられる影響のゆえに研究に値する。 しかし、彼はまた、彼自身だけを考えてみても、研究に値するのである。

---Sarah Hutton


英国の宗教家・思想家(1617-1688)。 ケンブリッジ・プラトニスト の中の代表的人物。 ケンブリッジ大学で学び、 後にはここでヘブライ語を教えたり学長をやってたりしたようだ。 クロムウェルなんかとも付き合いがあったらしい。 主著はEternal and Immutable Morality(1731)で、 なんでもこの本は彼の死後40年以上経ってから出版されたとか。 他にThe True Intellectual System of the Universe(1678) やA Treatise of Freewill (1838 これも没後に編集されたもの)などの著作もある。

プラトン的なイデア論に 影響を受けているカドワースは、主著の題名からも予想されるように、 善悪の区別は客観的な実在性を持つとし、 道徳に関する知識は数学の知識と同様に理性を通じて知られると主張した。 (要するに、生得論的認識論の立場をとった) そして、ホッブズ流の 「道徳=主権者命令説」も、 スコトゥスオッカム流の 「道徳=神の命令説」にも反対し、 いわば「道徳=神の理性説」を説いた。(05/11/99)

以上のように、カドワースは古典に詳しかったようだが、 一方でデカルトやホッブズや スピノザなど、 同時代の哲学者の著作もよく読んでいたようだ。偉い。

また、彼は主に宗教的動機から、 当時のデカルト-ホッブズ流の機械論的世界観から 帰結する決定論や、 ケンブリッジ大学で主流であったカルヴァン主義 による予定説に反対して、 意志の自由を説いたそうだ。 (05/17/99)


上の引用は以下の著作から。

Ralph Cudworth, A Treatise Concerning Eternal and Immutable Morality with A Treatise of Freewill (edited by Sarah Hutton), Cambridge University Press, 1996, pp. xxix-xxx.


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jan 28 03:15:23 JST 2000