入院手続きについては、神奈川県立がんセンターのホームページをご覧ください。
当科における主な手術の入院日数と費用の目安になります。術後に合併症が生じた場合には、入院期間が長くなることがあります。入院費・治療費の負担が重くならないよう高額療養費制度というものがあります。年齢や所得によって最終的にお支払いただく費用は変わりますが、入院費用も初回から10万円以下になる可能性があります。制度に関して説明をご希望の際には担当医にお伝えいただければ、当院の相談員が対応いたします。
手術名 | 入院日数 | 費用 | 三割負担 |
結腸悪性腫瘍切除術(開腹) | 10日 | 132万円 | 40万円 |
結腸悪性腫瘍切除術(腹腔鏡下) | 10日 | 162万円 | 49万円 |
直腸切除・切断術(開腹) | 14日 | 204万円 | 62万円 |
直腸切除・切断術(腹腔鏡下、ロボット支援含む) | 14日 | 215万円 | 65万円 |
人工肛門閉鎖術(腸管切除を伴わないもの) | 7日 | 66万円 | 20万円 |
CVポート造設術 | 2日 | 26万円 | 8万円 |
当科では術後管理において、クリニカルパスを積極的に導入しています。
以下は、結腸がん手術後の一般的な経過です。
ストーマとは、消化管や尿路の疾患により腹部に造設された排泄口のことで、人工肛門や人工膀胱のことを総称してストーマといいます。ストーマは人工物を埋め込むわけではなく、自分の腸や尿管を腹部に縫いつけます。便意や尿意を感じないため、装具をつけて日常生活を過ごします。臭いはないので、装具の交換方法を身につければ、普段と変わらない生活ができます。
ストーマケアに必要な物品の購入や購入先を提案します。また排泄のケアであるストーマケアを入院中に自ら行えるように、看護師と一緒に練習していきます。
一時的ストーマは主に直腸癌に対して肛門温存した手術の際に、縫合不全などの合併症を回避し手術後の長い人生の生活の質を高くする目的で造設します。よっていずれストーマを閉鎖して、肛門から排便することになります。
一時的なストーマ造設の場合、装具代金は実費ですが、永久的なストーマ造設の場合は費用負担など社会保障制度が受けられます。
ストーマ周囲の発疹や皺・腹壁の状態により、現在の装具が使用できなくなる可能性もありますので、定期的にスキンケア外来に通ってもらいます。ストーマサイズの落ち着く3ヵ月間はひと月に1回、その後は3ヵ月~半年と外来間隔を伸ばしていきます。外来日以外でも困ったことがある際には、スキンケア外来まで電話をしてください。ストーマ管理のエキスパート(WOC)が対応いたします。
最後に、ストーマは、現在の病状に合った最善の方法であることをご理解ください。
大腸がん術後の再発は、術後3年以内に73~87%が出現し、5年を越えての再発は、全患者さんの1%以下とされています(大腸癌治療ガイドライン2019より)。
大腸がん術後は病理組織結果を考慮し、最終的な進行度(ステージ)を決定し、進行度により、3~6ヵ月に一度の通院、3~6ヵ月に一度のCT検査、1年に一度の大腸内視鏡検査で再発の有無を確認します。
経過中に再発をしてしまった場合には、精密検査を行い、手術・化学療法の適応について検討します。
食事について、絶対に摂取してはいけないものは基本的にはありません。しかし、術後のおなかの中の癒着などにより、腸の通過のあまりよくない部分ができる可能性があります。このような場合、消化の悪い食物を大量に摂取することにより通過障害を生じ、腸閉塞の原因となることがあります。逆に消化の比較的よい食物でも、一度の大量の摂取によって腸の通過障害を生じることもあるため、術後の食事の原則として、時間をかけてゆっくりと、腹八分目の摂食を心がけてください。
大腸の中でも直腸は一時的に便を溜めておく貯蔵場所の働きをしています。直腸がん術後の方は、この貯蔵場所がなくなるため、1回の排便量が少なく、1日の排便回数が多くなる傾向があり、中には便失禁を伴う方もいます。これらの症状が、手術前の健康な状態に完全に戻ることは難しいですが、時間経過とともに改善していきます。
直腸の周囲には排尿機能・性機能に関する神経があり、リンパ節郭清などの際にこれらの神経に触れてきたり、腫瘍の浸潤が認められた場合には切除が必要となることがあります。このため、直腸がん術後に排尿障害・性機能障害が生じることがあります。一時的なことがほとんどですが、中には回復までに時間を要する方や状況により回復が難しい方がいます。