神奈川県立がんセンター 大腸外科
〒241-8515 神奈川県横浜市旭区中尾2-3-2
TEL:045-520-2222 FAX:045-520-2022

医療関係者の方へ


1.近隣・近県の病院の先生方へ

患者さんをご紹介ください

当大腸外科では、部長 塩澤 学をはじめとする経験豊富な外科スタッフが、大腸がんの外科治療を行っております。 ご紹介いただいた患者さんは、初診から入院、手術、術後の外来フォローまで、スタッフ外科医が責任をもって対応いたします。また、紹介された患者さんの速やかな治療開始を常に心がけております。

抗がん剤専門医の所属する腫瘍内科、消化器内科とともに連携してチーム医療を推進しておりますので、どのようなケースでもご相談いただければ対処いたします。

当科では、大腸がんの根治性を最も重要視しているところですが、さらに術後のQOLも考慮し、個々の患者さんのニーズに応えるべくバランスのよい治療を心がけております(テーラーメイド治療)。

低侵襲手術として腹腔鏡手術、機能温存手術として肛門括約筋温存手術(永久人工肛門の回避)や自律神経温存手術、一般病院では切除困難な症例に対する根治を求めた拡大手術など先端医療を提供しております。

また、進行、再発大腸がんに対する化学療法を選択する際の参考検査として抗がん剤感受性試験および治療関連遺伝子検索を実施しております。大腸外科にて大腸がんを手術した際に生のがん細胞を採取してどの抗がん剤がより効果をもたらすかについて検索したり、がん細胞のall ras検査はもちろんのことBRAF,PIC3CAなど一般の病院ではできない専門病院ならではの治療関連の検査を受けることができます(注意:他院での手術症例検体ではできないものになります)。

大腸がんは手術治療が基本的なものですが、特に進行がんに関しては、外科医、腫瘍内科医、消化器内科医、放射線腫瘍医のチーム医療が必要となることも少なくありません。当科では定期的にチームでのカンファランスを行い、患者さんにとって最良の治療は何かを考慮して治療を行っております。

当院では、大腸がん治療に関して消化器内科、消化器外科大腸、腫瘍内科のいずれの科にご紹介いただいても対応いたします。病状によっては外科に直接ご相談いただいても結構です。

手術の待ち時間の平均は、当科受診から0~2週を目標としております。 また、腸閉塞の合併や高度進行がんなど緊急を要する患者さんについては、直接大腸外科にご紹介いただけますと、可能な限り早期入院・早期手術とさせていただきます。

ぜひ、先生の大切な患者さんを神奈川県立がんセンターにご紹介ください。


2.レジデント募集

神奈川県立がんセンターでは毎年レジデントの受け入れを行っています。2年間の研修期間を原則としていますが、希望(選考)により3年間までの研修が可能です。

また、神奈川県立がんセンターは日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会の認定施設でもあるため、当院での在籍期間はこれら学会の専門医取得の際の研修期間となります。

詳細は神奈川県立がんセンターのホームページをご参照ください。

2年間の研修期間のうち、研修期間に応じて、担当医として、手術および外来診療に携わることができます。

レジデントの声

内山 護

レジデント 内山 護

私が神奈川県立がんセンターにレジデントとして在籍していた2018年からの2年間について、自身の体験と感想を述べさせて頂きます。

・手術に関して

私は初期臨床研修終了後、市中病院などで6年間にわたり一般外科診療を行ない、その中で大腸癌手術の執刀経験100例ほどありましたが、まず専門施設の手術のクォリティの高さに驚きました。膜構造に沿ってミリ単位で鋭的に剥離を進めていく繊細な手術、炎症や高度な浸潤を伴った腫瘍に対するダイナミックな拡大手術、出血がほぼ無く白と黄色だけ術野のなかで解剖構造が明瞭に写しだされていく綺麗な腹腔鏡手術などを見て、外科手術手技の奥深さを再認識しました。そして大腸外科では、大腸のみならず転移浸潤臓器に対する手術(肝切除や子宮卵巣切除、骨盤内臓全摘術)なども自科で行なっており、多岐にわたる手術手技が学べました。

また、主に技術認定医の取得を目指す若手の手術ビデオを全員で供覧しディスカッションする「ビデオカンファ」も毎週開催されており、自分の手術ビデオを見ながら技術認定の審査ポイントを突いた非常に手厚い指導を受ける事ができました。 さらに年に複数回、塩澤部長の主催で国内の著名な大腸外科の先生をお招きして少人数で手術手技に関するディスカッションができる貴重な勉強会が開催され、常により精度の高い手術手技について議論したり、学会やセミナーなどでは聞けないようなお話なども伺うことができます。

執刀機会は、難易度や経験年数などによって割り振られますが、若手はレジデントであっても申請資格を満たしていれば技術認定医取得のための症例を平等に当ててもらえるので、技術認定取得にはとても恵まれた環境だと思います。研修が進むと進行直腸癌などの高難度症例の執刀の機会も多くあります。

・化学療法、臨床試験への参加

毎週行われるカンファレンスは、単にガイドラインに沿ってマニュアル的に治療するのではなく、ガイドラインのベースとなる臨床試験データや最新の臨床試験の結果などを正確に把握し、患者さん自身の背景も考慮した上で、最適な治療は何か、を考えるとても貴重なトレーニングの場でした。複雑な大腸癌の化学療法についての理解がかなり深まり、また、実際に国内外の臨床試験に多く参加しているため、新しい治療や検査などの研究開発に携わっている充実感があります。

・病理診断科・臨床研究

2年間のうち、3ヶ月間を病理診断科で研修させていただきました。顕微鏡を覗くのは学生以来で、右も左も分からない状態でしたが、病理診断科の先生方に丁寧に指導していただき、自分で手術検体の切り出しから鏡検、病理レポートの作成までを数多くさせて頂きました。病理所見を深く理解できるようになり、一般病院ではなかなか得られない貴重な研修をさせて頂きました。また臨床研究所が併設されており、膨大な手術検体を用いて臨床研究所との共同研究も行うことができます。

大腸外科では、他院から手術適応のない進行再発大腸癌の患者さんも多くご紹介頂きますが、手術のみならず化学療法や放射線療法、臨床試験、治験など、常に情報がアップデートされる幅広い可能性の中から患者さんにとってベストな治療を選択し、あらゆる手段を用いてCureを目指すべく熱く診療にあたる姿勢にとても感銘を受けました。 大腸外科や病理診断科の先生方のみならず、CRCさんや秘書さんの多大なサポートを頂き、大腸癌に関して、顕微鏡レベルから手術・化学療法などの実臨床、臨床試験の結果から得られる新たな治療・検査の可能性など幅広く勉強する事ができ、2年間の研修で間違いなく世界観が変わったことを実感しました。

風間 慶祐

レジデント 風間 慶祐

大腸癌治療の専門的なトレーニングを目的として、私は卒後8年目に神川県立がんセンターレジデントに応募しました。すでに一般病院で一通りの外科治療・手技を学んだと思っておりましたが、がんセンターでの診療内容の質の高さに圧倒されました。

ほぼ毎日大腸癌の手術に入り、定型化された手術の助手、術者を学びます。その中で、電気メスで膜1枚を意識し剥離切開する技術、リンパ節郭清の精緻さ、直動脈1本1本にこだわる臓器血流の考え方などを徹底的に叩き込まれます。また一般市中病院では殆ど経験できない骨盤内臓器合併切除術や肝切除術も積極的に行っており、自分の術者としての幅、力量が大きく前進したことを実感できます。加えて、腹腔鏡手術においては、日本内視鏡外科学会の技術認定を有するスタッフ達に囲まれながら、非常に恵まれた環境のもと指導を受けることが出来、自身も技術認定審査に合格することが出来ました。

化学療法に関して、今や癌治療は術前・手術・術後と包括的に治療戦略を練る時代であり、従って化学療法の知識は必須と言えます。当科では入院外来問わず積極的に主治医自ら化学療法を行います。数々の臨床試験に参加しており、ガイドラインに新規収載される化学療法を含め、ほぼ全てのレジメンを経験できるといっても過言ではないでしょう。

手術、化学療法のいずれも、日本のオピニオンリーダーとされる先生方を招いての勉強会が年に数回ずつ行われます。学会の総会で座長をされるような先生方と身近に討論できる機会を得られることも、当科ならではと思います。

さらに、レジデントの特権として他科をローテートすることが出来ます。私がぜひお勧めしたいのは病理診断科での修練です。検体を自身で処理し、実際に自分の目でプレパラートを覗くことで、例えばbuddingやtumor noduleといった概念を実際に実感することが出来、病理学的な討論にも耐えうる様になります。素人同然の知識で臨んだ私にも、時間をかけて丁寧に指導してくれる熱心な病理医ばかりです。加えて、レジデントには週1日の研修日が許されており、同日を利用して臨床研究所のスタッフと共にtranslational researchを行うことも可能です。

診療のすべてに一切の妥協が許されず、修練中は絶えず自身に負荷がかかる毎日ですが、それ以上に得られるものは多く、この場では書き切ることが出来ません。癌治療という領域で自分を成長させたいと考えている先生方に、強くお勧めできる場所だと思います。

2014年度レジデント 淺利 昌大

2014年度レジデント 淺利 昌大

神奈川県立がんセンターに来て良かったと思える点はいくつもあるのですが、特に感じたものを3つあげてみます。

まず、がん治療の最新の知識を習得できることです。がん専門施設という特質上、臨床試験なども積極的に行っており、これからの治療の礎となるであろう現場に携わることになります。必然的に、患者さんにとって今何が最良な治療なのか日々勉強に追われる毎日です。

2つめに、がんの定型的な手術を学べることです。神奈川県立がんセンターの大腸外科は大腸がんの専門施設のため、手術患者さんの数も多く、日々多くの手術に参加し、指導をしていただくことで、がんの定型的な手術手技の習得をすることができました。

そして、最後に病理診断科での研修です。学生や卒後間もない初期研修のころは病理学にはあまり興味がありませんでした。しかし、再び臨床に戻った今、病理診断の重要さ、そしておもしろさというものを非常に強く感じています。実際に自分で標本の切り出しを行い、肉眼で見て、さらに顕微鏡で覗いて、診断をつけるという経験を経ると、疾患や病態に対する見方がまったく違ってきます。それまでただ言葉として見る病理結果ではどうしてもイメージしがたかったものが、実際に顕微鏡で見たときその意味を初めて理解し、霞が晴れたような感覚でした。この経験は臨床に帰った現在でも確実に役立っていると感じています。

治療に必要な知識、手術手技、病理学的理解。これらはどれも外科医にとって必要な能力ではないでしょうか。もちろん、医師に必要な能力はそれだけだとは思いませんが、神奈川県立がんセンターでは少なくともそれらを十分に身に付けることができます。そしてそれは何より、これから出会う患者さんのために必要なのではないでしょうか。ぜひ、一度神奈川県立がんセンターへいらしてみてください。



 

PAGE TOP