第28回日本緩和医療学会学術大会

プログラム

2023年6月20日正午現在

日程表


プログラム一覧

特別講演

  • 特別講演1:自分の中の多様性をひらく
    演者:伊藤 亜紗(東京工業大学)
  • 特別講演2:「自分らしさ」とは何か-万能薬としての「自分らしさ」の正体
    演者:磯野 真穂(東京外国語大学)
  • 特別講演3:ホスピス緩和ケア“5つのエッセンス”ーそして自力の精神、利他の心ー
    演者:志真 泰夫(筑波メディカルセンター病院 緩和医療科)
  • 特別講演4:がん患者の精神症状緩和のあゆむべき道:「これまで」と「これから」を盟友・森田達也先生と考える
    演者:明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野)
  • 特別講演5:「孤独な最期」のつくり方~面会制限は緩和ケアをどう壊したか~
    演者:新城 拓也(しんじょう医院)
  • 特別講演6:スピリチュアルケア-対話を通して紡ぐケアリング-
    演者:田村 恵子(大阪歯科大学医療イノベーション研究推進機構)

海外招待講演

  • 海外招待講演1:How do monoamines influence pain processing and modulation
  • 海外招待講演2:Assessment and management of cancer-related fatigue
  • 海外招待講演3:Nurse-led holistic multimodal care for cancer cachexia
  • 海外招待講演4:海外における「おひとり様」の緩和ケア
  • 海外招待講演5:Palliative care for children with cancer
  • 海外招待講演6:Why Don't We Talk About End of Life?
  • 海外招待講演7:Public health in palliative care

招待講演

  • 招待講演1:がん患者の治療と仕事の両立支援
  • 招待講演2:緩和ケア従事者が知っておくべきLGBTQsの知識
  • 招待講演3:苦や死に向き合う患者・家族との対話とケア

教育講演

  • 教育講演1:オピオイドの副作用対策を見直す
  • 教育講演2:終末期の治るせん妄と治らないせん妄-その見分け方とアプローチ-
  • 教育講演3:呼吸困難に対する薬物療法を再考する
  • 教育講演4:がん患者の突出痛治療を考える
  • 教育講演5:どの職種でも明日からすぐに使える医療者教育のTips
  • 教育講演6:緩和ケア領域における向精神薬について学ぼう
  • 教育講演7:信仰を聞く 各宗教における生と死、その後の世界観
  • 教育講演8:緩和ケアにおける便秘の対応
  • 教育講演9:ここまでできる!疼痛緩和のためのIVR~その潜在的な力を知っておこう~
  • 教育講演10:患者や家族の「選ぶ」・「決める」・「納得」の裏にあるもの
  • 教育講演11:デスカンファレンスを考える

特別企画

  • APHNと日本緩和医療学会の連携の過去・現在・未来~ホスピス緩和ケアの発展とより公平なアクセスを目指して【APHN-JSPM合同セッション】

    • 日野原重明先生の呼びかけをきっかけとして、1995年にアジア太平洋ホスピス緩和ケアネットワーク(APHN)は歩み始めました。その後、アジア太平洋地域のホスピス緩和ケアの発展と公平なアクセスを目指して、APHNと日本は連携を進めてきました。APHNはアドボカシーやCapacity building、教育や研究など多岐にわたる領域で、アジア太平洋におけるホスピス緩和ケアの発展に貢献してきました。
      本特別企画では、まずAPHNの歴史と発展の経緯について柏木哲夫先生にご紹介いただきます。次にアジア太平洋での教育や共同研究について実際の活動を共有いたします。最後に、APHNのExecutive directorであるGiam氏より、アジア太平洋におけるホスピス緩和ケアのさらなる発展に向けた今後の展望や日本に期待することを伝えていただきます。
      グローバル化が進み国際協力が盛んになる中で、ホスピス緩和ケアに携わる私たち日本の専門家は、アジア太平洋の活動から学ぶことも、貢献できることもたくさんあります。本セッションを通じて、国際社会の一員として私たちに何ができるのかを皆様と共に考えられれば幸いです。

      The Asia-Pacific Hospice Palliative Care Network (APHN) was started in 1995 at the request of Dr. Shigeaki Hinohara. Since then, APHN and Japan have been collaborating to develop hospice palliative care in the Asia-Pacific region and achieve equitable access. APHN has contributed to the development of hospice palliative care in the Asia-Pacific through a wide range of activities including advocacy, capacity building, education and research.
      In this special event, Dr. Tetsuo Kashiwagi will first introduce the history and development of APHN. Next, we will share the actual activities of education and collaborative research in the Asia-Pacific. Finally, Mr. Giam, Executive Director of APHN, will talk about future perspectives for further development of hospice palliative care in the Asia-Pacific region and his expectations for Japan.
      As globalization progresses and international cooperation flourishes, we Japanese experts involved in hospice palliative care have much to learn from and contribute to activities in the Asia-Pacific region. We hope that this session will help us all think about what we can do as a member of the international community.

合同シンポジウム

  • 合同シンポジウム1:進行再発がんのAYA世代がん患者の緩和ケアを考える
    【一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会】

    • AYA世代は様々なライフイベントを経験する世代であり、がんの治療以外にも様々な心理社会的支援が求められます。支援は個別性が高く、また、利用可能なリソースは施設や地域によっても異なっています。このセッションは一般社団法人 AYAがんの医療と支援のありかた研究会との合同シンポジウムとして、最前線で活動している演者、当事者の先生方にこれまでの取り組みをご紹介いただきます。こういうことが良かった、こういうことで困った、という経験を共有いただき、がん患者のcancer journeyにおいて緩和ケアはどうあるべきかを考える機会としたいです。
  • 合同シンポジウム2:第4期がん対策推進基本計画で期待される緩和医療・サイコオンコロジー〜2024合同大会に向けて〜
    【一般社団法人 日本サイコオンコロジー学会】

    • 日本緩和医療学会、日本サイコオンコロジー学会はこれまでがん対策推進のもと厚労省委託事業における共同事業や合同学術大会の開催、普及啓発活動の連携を行い人的交流も活発に行ってきた。新型コロナ感染症による社会経済活動の変化や通常医療との両立を工夫する中2023年4月、第4期がん対策推進基本計画が改定される。両領域は「がん医療」、「がんとの共生」との両方にまたがる分野でともに支える基盤として学術研究、人材育成、教育、普及啓発、患者、市民参画の推進、デジタル化の推進があげられている。本シンポジウムでは新基本法や2024年の合同学会にむけ今後共同して取り組むテーマについて両学会及び参加者とともに討議を行う。
  • 合同シンポジウム3:生きるを支える、症状緩和
    【一般社団法人 日本乳癌学会】

    • 本シンポジウムは、日本緩和医療学会と日本乳癌学会の合同で企画したもので、日本緩和医療学会学術大会が開催されている神戸と、日本乳癌学会学術総会が開催されている横浜をonlineでつなぎ、両学会の参加者が空間を超えて議論を行う。 乳癌の治療は手術・放射線治療・薬物療法を適切に組み合わせて行っていく事になる。残念ながら再発した場合は、さらに長期間様々な問題に直面しながらPatient Journeyを歩んでいくことになる。本シンポジウムでは、乳癌患者さんのPatient Journeyの中で、「乳癌術後の疼痛緩和」「薬物療法の副作用緩和」「精神症状の緩和」という3つのテーマを扱う。いずれのテーマも日頃乳癌診療医が診療中に対応に迷うポイントであるが、最適な対応策を見いだせず困ることも多い。今回はこの3つのテーマに沿って具体例を提示し、それに対して症状緩和のプロフェッショナルである緩和ケアチームに見解を示していただき、患者さんにとって最適なケアのあり方について深く議論を行うことを予定している。
  • 合同シンポジウム4:救急・集中治療における緩和ケアチームの関わりについて考える
    【一般社団法人 日本救急医学会/一般社団法人 日本集中治療医学会/一般社団法人 日本循環器学会】

    • 救急・集中治療においては、患者の病態の重症度が高く救命困難な状況に陥ることも多いため、緩和ケアニーズは高い。欧米では本領域においても緩和ケアチームとの協働が実践されているが、わが国では緩和ケアチーム活動が救急集中治療領域に及んでいることはまだまだ少ない。救急・集中治療領域に緩和ケアチームが関わる際には一般病棟の活動とは違った視点で関わる必要があり、そのポイントを知ることで互いに協働していく可能性は広がる。本セッションでは、救急・集中治療における緩和ケアチームの関わりの可能性について検討していきたい。日本救急医学会、日本集中治療医学会からシンポジストをお招きして、それぞれの領域における課題、「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン」の改定の実際について共有いただく。また日本緩和医療学会が作成している救急・集中治療における緩和ケアチームの手引きの内容も合わせて共有し、今後のこの領域の緩和ケアの在り方と緩和ケアチームと臨床チームがどう協働していくかについて考える機会としたい。
  • 合同シンポジウム5:様々なGapを埋め「生きる」を応援するアドバンスケアプランニング
    【一般社団法人 日本乳癌学会】

    • がん医療の現場ではアドバンスケアプランニング(ACP)の実践はまだ十分ではなく、タイミングや方法の問題、医療者間の温度差、患者―家族―医療者の認識のずれ、などの課題が指摘されている。本企画は、第37回日本がん看護学会学術集会、第31回日本乳癌学会学術総会、第28回日本緩和医療学会学術大会との3学会共同で、全国の医療者、がん患者、遺族へのアンケート調査をもとにしたオンラインプレ企画(2022年12月)と日本がん看護学会シンポジウム(2023年2月横浜)を行い、ACPにおける様々なギャップを認識し、個人や施設における課題について議論してきた。今回は、新しい試みとして、毎年開催日が重なっている乳癌学会(横浜)と緩和医療学会(神戸)の2つの会場をオンラインでつないでの合同開催となる。がん治療側と緩和医療側、大学病院と総合病院、医師・看護師と患者、と異なる立場の座長と演者が、終末期に焦点を当てたACPだけではなく、本人による意思決定が可能な時期における ACP のあり方について論じる予定である。とくに、がん治療の選択を本人の価値観を反映したものにするためにはどうしたらよいか、わが国のがん医療におけるACPの充実に向けた活発な議論の展開が期待される。
  • 合同シンポジウム6:在宅医療における専門的緩和ケアのスキルアップを考える
    【一般社団法人 日本在宅医療連合学会】

    • 在宅医療は、緩和ケアチームや緩和ケア病棟と並んで、緩和ケアの提供に欠かせない要素です。特に、自宅で過ごすことを望む進行期の患者にとって、在宅医療は重要な支えとなっています。しかし、病院とは違って限られた医療スタッフが密室でケアを行うため、痛みや苦痛の緩和に関する質の評価が難しいという課題が存在します。また、在宅医療に携わる医療者からは、複雑な緩和ケアの課題に対する困難さがあるとの声も寄せられています。 この日本在宅医療連合学会合同企画では、在宅医療に関わる緩和ケアの専門家を中心に、在宅で緩和ケアの専門的スキルを向上させ、質の高い緩和ケアを提供するための方法論を話し合います。また、参加者間で意見交換を行い、在宅医療における緩和ケアの実践や問題解決のヒントを共有します。

シンポジウム

  • シンポジウム1:患者-医療者間のコミュニケーションの充実を目指して

    • 意思決定、アドバンスケアプランニングの充実が求められるがん医療においてコミュニケーションが重要な医療技術であることは論をまちません。「がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン」が刊行され、取り組むべき方針が示されました。しかしコミュニケーションに関するエビデンスはいまだ十分ではなく今後の研究が求められています。また効果が実証されている取り組みについても、臨床現場に実装していくための工夫が必要です。本セッションではがん医療におけるコミュニケーションガイドラインの紹介と今後の方向性、さらに様々な対象、方法でのコミュニケーション技術訓練に関する実装の取り組みについて紹介、議論します。
  • シンポジウム2:高齢認知症がん患者への緩和ケア

    • 高齢化が進むとともに、認知症を有するがん患者が増加しています。 認知症担がん患者は、通常の「緩和医療・ケア」スキルだけでは対処に苦慮することが多く、緩和ケア入院基準から除外されています場合も少なくありませんが、現実的には認知機能の低下そのものではなく、いわゆるBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)が受け入れを困難にしています。 具体的には夜間不眠(結果としての昼夜逆転や夜間せん妄)、徘徊、帰宅欲求、介護抵抗、易怒・暴言・暴力、性的逸脱行動、大声などのへの医療的、ケア的な対処の困難性などですが、適切な対応(薬物療法とユマニチュードやバリデーションなどのコミュニケーションスキル、適切な身体ケア)がなされれば多くの方は穏やかになり、どこでも看取ることができると考えています。 本セッションでは長年にわたる実践家や研究者の立場から登壇いただき、認知症担がん患者のサポートのあり方について活発で包括的な意見交換を行います。参加者の今後の一助となれば幸いです。
  • シンポジウム3:緩和ケアの場で活躍する外科医のためのシンポジウム

    • 日本のがん医療の現場では様々な段階で外科医が大きな役割を果たしています。手術だけでなく、診断、化学療法、サポーティブケア、そして緩和医療でも多くの役割を担っています。そして中小の病院や地方ではその傾向がより顕著です。しかし、そのような重要な役目を果たしている外科医が本学会では減少傾向で相対的に発言が弱くなりつつあり、今後、関心の低下につながることが危惧されます。これは実臨床の現場で更なる緩和ケアの浸透や充実を図りたい本学会にとって憂うることと思われます。そのために外科と緩和医療を両立しながら活躍している3名の外科医に登壇していただき、現在の状況や想いを語って頂くことで、もっと緩和ケアの場で外科医に活躍してもらうためのきっかけとなるシンポジウムにしたいと考えています。
  • シンポジウム4:終末期がん患者のADLをあきらめない

    • 緩和ケアにおけるリハビリテーション診療の目的は「余命の長さにかかわらず、患者とその家族の要望を十分把握したうえで、その時期におけるできる限り可能な最高のADLを実現し、最高のQOL(good death)を実現すること」です。終末期がん患者のリハビリテーション診療に関わる医療職は、ときには患者や家族の要望と現実とのギャップに苦悩しながらも、患者や家族が最期のときまでできるだけQOLの高い生活がおくれるようにサポートを行っているに違いありません。それでは、生命予後の限られたがん患者と家族にとって優先度の高いADLはどういったものでしょうか? また、それに対して医療職は適切なサポートを実践できているのでしょうか? 本シンポジウムでは、終末期がん患者やその家族がgood deathを実現するために、各医療職がどのようにADLに関わりサポートを行うことができるのかについてディスカッションを深めたいと思います。
  • シンポジウム5:つぎにつなげる臨床研究〜痛みをどう評価するのか〜

    • 緩和医療・ケアの領域で臨床研究を行う際には、標準治療やアウトカムが未確立であることや対象集団の脆弱さなどについて十分に配慮しなければ、質の高い研究とはなりません。このことは、緩和医療・ケアの領域で臨床研究が進まない一つの大きな理由であると考えられます。がん疼痛に関する臨床研究においても、介入によって、どのような患者を対象とし、どの評価法を使用し、いつどのように評価するのか、そして得られた結果をどのように解釈するべきかなど、多くの研究者が悩みをもっているのが現状です。そこで、本シンポジウムでは、がん疼痛についての研究ポリシー、患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome)、Personalized Pain Goalといった新しい評価指標、実際に行われた特徴的な研究などについて専門家が解説し、参加者が明日からのがん疼痛の研究に活かせるような討論を行います。
  • シンポジウム6:緩和ケア領域で「よさそうなこと」を現場に実装していくために

    • 臨床研究というのは、最終的にその結果が実臨床に生かされてこそ成就するものです。実臨床に生かされる、というのは自分の患者、施設にだけというわけではなく自分の地域が、日本の医療が、敷いては世界全体の標準的な取り組みに影響与えるというところを目指したものになります。研究を行う際にはそこから逆算して考えるという思考が大切です。一例をあげると緩和ケアに関する研究を行う際、自分たちだけで考え小規模で行うことは今後の展開にどのようにつながるでしょうか。いや、この小規模な研究を種にして次の研究で規模感を広げていくんです、という場合にはすでに次期研究を念頭に置いている点で納得ができます。しかし多くはそのような連続性が考慮されていなかったり研究自体の内容が、実は他の先生方、患者さんからは特にニーズのないものであったりすることも多いです。今回のセッションではうまく「実臨床に生かされる」に至った研究の初期の段階ではどのようなものであったかなどを紹介しながら「成功する研究とは何か」について考えましょう。
  • シンポジウム7:社会的・人文的視点で病院・緩和ケアを見つめなおす

    • 患者や家族が、病気のことや自分のことを話したり考えたりするとき、どんな影響を受けているでしょうか。ライフヒストリー以外にも、政治や経済、都市や文化、歴史や言葉、属性や権力など、多くの要素が混ざりあって患者や家族の「ことば」になっています。それを聞く医療者も、医療者の立場で傾聴し、習慣やガイドラインをもとに記録し、医療者同士でカンファレンスし、医療や病院の枠組みのなかで患者や家族に応えていくうちに、多くの要素が混ざりあって医療の「ことば」を使うようになっています。 緩和ケアの現場でも、患者や家族のトータルペインは、医療の「ことば」で語られてしまいがちです。医療者の目線で、医学用語で、問題解決的な病院のシステムの流れのなかで、こぼれ落ちてしまうことがたくさんあります。様々な地域医療活動の目を通じて、病院の外/医療の外の視点でも緩和ケアについて議論し、より多視点的かつ自省的に緩和ケアのあり方を探求したいと思います。
  • シンポジウム8:遺族ケアの今と未来-遺族ケアガイドラインとその先-

    • ホスピス・緩和ケアでは、患者の家族や死別後の遺族もケアの対象であり、患者の生前からの家族との関わりが重要であることは周知されています。家族・遺族ケアは従来のホスピスケアプログラムのみでなく、近年はその理論、研究結果が報告され、新たな介入が紹介されています。また国内初の遺族ケアガイドラインの出版により、その内容や活用についても関心が高まっています。本セッションでは、遺族ケアの潮流と新規介入法、精神心理的苦痛の診療やケア、遺族調査から、家族・遺族ケアを検討したいと考えています。高齢多死の時代を迎えた今、大切な人を亡くす/亡くした家族・遺族のニーズに応えられるよう、遺族ケアの今を理解し、未来に向けて備えたいと思います。
  • シンポジウム9:がん治療から終末期までの、口腔トラブルの緩和ケア

    • がん患者には、治療中はもとより時には治療を終えた後も終末期に至るまでのさまざまな病期で、口腔のトラブルが少なくない頻度で起こり得ます。これら口腔のトラブルは経口摂取や会話を障害し、患者のQOLの問題に直結するために予防や治療の意義は大きく、その対応の一つとして口腔ケアの重要性が注目されています。しかしがん患者に対する口腔ケアのエビデンスはいまだ十分とは言えず、またその具体的な内容も均てん化が不十分なため各施設によってまちまちで、多くの臨床現場で悩みながらケアを提供している実情があります。  本セッションでは、終末期を含め様々な病期における口腔ケアについて、国内外のガイドライン/手引きでの提唱を踏まえた実際の臨床での取り組みや工夫を講演いただき、よりよいケアについて考える機会となればと思っています。
  • シンポジウム10:私達はどのようにキャリア選択を行ってきたか

    • 近年、緩和ケアに携わる者の活躍の場が多様に広がる中で、医師や看護師が、働き方改革や結婚、出産、子育て、転居、介護などのライフイベントとどのように付き合い、自己研鑽を行い、キャリア選択を行ってきたかを示し、皆様の進路の参考にして頂くセッションです。まず、座長の藤原由佳看護師よりキャリア理論の中からキャリア・アンカー、計画された偶然性(planned happenstance)について概説致します。松本衣里医師からは僻地医療と育児と自己研鑽の継続の壁について、關本翌子看護師からはキャリアの考え方と、看護管理者としてのキャリア支援について、百武美沙医師からは海外での勤務経験から考えたキャリア選択と米国での緩和ケア専門研修の経験を基にした日本の医療者教育への提言について、それぞれの立場から自己の考えや経験を語って頂きます。なお本セッションは総合討議はございません。皆様のご参加をお待ちしております。
  • シンポジウム11:緩和ケアにおけるポリファーマシー

    • 近年では医療のさまざまな分野でポリファーマシーが問題視されるようになり、緩和ケアにおいても注目を集めています。高齢がん患者においても不適切な薬剤を減らすことで薬物有害事象を減らせることが報告されており、患者のQOL改善に繋がる可能性もあることから各施設での積極的な取り組みが望まれています。ですが、処方適正化のスクリーニングについて老年医学会や海外ガイドラインから発行されているものは終末期がん患者を対象としたものではなく、これらを対象としたスクリーニング方法の開発は不十分な現状があります。 本シンポジウムでは、ポリファーマシーに関する最新の知見や施設の取り組みを紹介しながら、緩和ケア領域でのポリファーマシーへの対応や考え方について会場ならびにWeb視聴の先生方と理解を深めていければ幸いです。
  • シンポジウム12:研究初心者のための Tips and Tricks-ヒントとコツ

    • 本シンポジウムでは、本邦の緩和ケア研究の最前線でご活躍されている4名の演者を迎え、「研究を行うためのヒントとコツ」をご共有いただきます。医師の小杉先生、看護師の升川先生、リハビリ専門職の西山先生、統計専門家の小山田先生に、ご自身の研究の実践例を通して、「研究方法などの最新の知識」と「研究の困難を乗り越える実践の技術」について、初心者にも分かりやすく解説していただく予定です。  研究を始めたばかりの初心者の方をはじめ、これから研究に取り組もうとしている方、研究に興味はあるもののハードルの高さを感じている方に向けた企画です。研究のヒントとコツをおさえ、研究に対する興味やモチベーションを高めることができる場を目指しています。質疑応答の時間を設けますので、ぜひ演者の先生に研究の悩みや思いの丈をぶつけてみてください。リサーチマインドを持つすべての職種の皆様のご参加をお待ちしています。
  • シンポジウム13:終末期ケアエビデンスUp To Date

    • 終末期ケアは、エビデンスの創出が難しい分野の一つで、他の分野と比較して明確なエビデンスが少ない領域です。しかし、近年は様々な研究が報告され、少しずつエビデンスが蓄積されつつあります。本セッションでは、若手から中堅の医師、看護師、薬剤師の方々に、近年報告されたエビデンスを中心に、役立つ内容を報告していただく予定です。参加者の方々が明日から実際に使える知識を一つでも多く吸収できるようなセッションになることを願っています。
  • シンポジウム14:腫瘍学と在宅緩和ケアの統合

    • 腫瘍学と緩和ケアの統合は患者・家族に有益をもたらし、エビデンスやプラクティスにおいても一定の進歩と成果を残しています。翻って腫瘍学と在宅ケアの統合はどうでしょうか?現代の多様かつ予測困難な時代において、在宅の場でもがんの治療中の緩和ケアやがんサポーティブケア、積極的抗がん治療の中止、そして終末期ケア、遺族ケア、さらに全てのフェーズにおけるACP、これらについて潜在的ケアニーズが高まっており、腫瘍学と在宅ケアにおける統合の必要性をひしひしと感じます。このため本シンポジウムでは、
      ①腫瘍学と在宅ケアの統合の現状はどうなっているのでしょうか?
      ②腫瘍学と在宅ケアの統合で得られる患者・家族の有益性は何でしょうか?
      ③腫瘍学と在宅ケアの統合が促進されるために何が必要でしょうか?
      という臨床的疑問について腫瘍学と在宅ケア双方に関わられる各専門家をお招きし、意見を交換し議論し合う場所にしたいと思います。
  • シンポジウム15:到死性慢性疾患患者の心理過程、病気の受容や対処行動

    • WHPCAによると、全世界で緩和ケアを必要とする患者の約7割は非悪性疾患が占めていると報告されています。わが国の緩和ケアは、悪性疾患が大多数を占めていますが、致死的な慢性疾患への介入も増えてきています。ただし、有効な介入方法についてのエビデンスはまだまだ少ないため、実際の臨床現場では試行錯誤しながら対応されているのではないでしょうか?今回のシンポジウムでは、日常生活の制限・変化等、患者・家族にも対処が求められる慢性疾患の患者について、それぞれの病気の経過、患者・家族の心理過程(病気の受容や対処に関する心理)と支援、がん患者とのケア・サポートに関する違い、などについて、致死性の慢性疾患患者(呼吸器疾患、心不全、神経疾患、腎不全)への医療・ケアの第一線で活躍されている方々から学ぶことで、非がん患者への全人的ケアについて理解を深めたいと考えています。
  • シンポジウム16:緩和ケアにも活かす公衆衛生学的観点

    • 公衆衛生と緩和ケアはどのように結びつくイメージをお持ちでしょうか?公衆衛生は、「組織的な地域社会の努力を通じて疾病を予防し、寿命を延伸し、身体的および精神的健康と、能率の増進を図る科学であり、技術である」という定義がしばしば用いられます。一般的に緩和ケアは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族」が対象です。一方で、WHOが進めるUniversal Health Coverage(すべての人およびすべての地域社会が、財政の困難に遭うことなく必要な医療保険サービスを受けられること)の中枢に緩和ケアが据えられたことで、“公衆衛生的緩和ケア”の考え方も必要になってきています。つまり、生命を脅かす病になる前に、人々の健康増進を図ることを目的として、一般市民を対象とした組織的な衛生活動・啓蒙活動が緩和ケア領域でも必要ということです。
      本シンポジウムでは“公衆衛生的緩和ケア”の概念を共有しつつ、日常臨床や研究遂行にあたっても有用な観点を、公衆衛生学修士を有する者と共有します。
  • シンポジウム17:緩和ケアが中心となった時期における消化管内視鏡/IVRの適応を考える

    • 緩和ケアが中心になった時期において、処置の身体的な負担が考慮される一方、消化管閉塞、胆道閉塞などにおいては、侵襲的な処置が患者さんの QOL の維持・向上に役立つことがあります。このセッションでは、それぞれの専門領域の医師より手技の実際や適応、限界について紹介していただき、緩和が中心になった時期でも思考停止せず「消化器系のインターベンションの適応」を考えることを学ぶ場になることを期待しています。
  • シンポジウム18:これからの在宅緩和ケアにおける研究&教育をどうしてゆくか?

    • 我が国では近年、在宅医療を受ける患者が大きく増加しており、自宅で死亡する者は年間20万人を超える時代を迎えている。24時間対応の在宅医療を提供する医療機関の数は、既に1万5千を超えてきているが、歴史的にホスピスや緩和ケア病棟から緩和医療が発展してきた我が国では、在宅医療における緩和ケアの教育・研究の体制が整っているとはいえない。 ここでは、在宅医療や地域包括ケアへの教育・研究介入の経験を有するシンポジストとともに、これからの在宅診療における教育・研究をどう進めていくか議論する。
  • シンポジウム19:看護ケアの最新エビデンス UP TO DATE

    • 毎年恒例の緩和ケアに関する看護ケアの最新エビデンスを紹介するシンポジウムになります。1)身体症状に関する看護ケア、2)精神症状・心理的問題に関する看護ケア、3)看護に関連する調査研究の3つのテーマごとに、この1年間に発表された論文の研究成果を紹介します。身体症状については三重大学の角甲純先生にご担当いただきます。角甲先生は呼吸困難感の非薬物療法に関する高名な研究者であり、がん看護専門看護師でもあります。精神症状については国立看護大学校の清水陽一先生にご担当いただきます。清水先生はがん患者のレジリエンスなど心理的課題に関する研究に取り組まれており、がん看護専門看護師でもあります。調査研究については東北大学の青山真帆先生にご担当いただきます。青山先生は遺族の悲嘆・抑うつの研究に取り組まれており、J-HOPE studyなど大規模な調査研究の経験も大変に豊富です。以上の気鋭の若手研究者3名を講師に迎えます。明日の臨床で活かせるエビデンスを1つでも多く持ち帰ってください。
  • シンポジウム20:周産期の緩和ケア

    • 染色体異常を対象とした遺伝学的検査と心臓や脳・消化器などの臓器の異常を診断する形態学的検査の発展によって、より早期に、詳細に、出生前に胎児の疾患が分かるようになってきました。しかし、診断や重症度が不確実な中で、家族と医療者は、妊娠継続、出産方法、治療や出生後の生活など様々な方針を決めていく難しさがあります。 本シンポジウムでは、産科、新生児科、緩和医療科の領域間の協働事例を提供いただき、子どもと家族を支える医療・ケアのあり方についてこのシンポジウムで皆さんともに考えたいと思います。
  • シンポジウム21:YA世代の患者のACP、どこで誰とどのように過ごしたいのか―地域連携におけるポイントー

    • 成人初期(以下、YA世代)は社会に地歩を築く年代で、家庭や職場等での役割も多岐に亘り、個別性に配慮した支援が必要とされます。闘病中、YA世代の患者は、自らの選択が周囲に与える影響を気に懸け、複合的な関係性の中で調整の要を担うことが多いといえます。病状進行とともに、本人が関係調整を担いきれない部分や、家族が調整を担う割合は増していきます。限られた貴重な時間の中で、YA世代の患者自身が、どこで、誰と過ごしたいのか、その意向を的確に汲み、関係各所との連携をはかり迅速に準備を進めることが肝要となるでしょう。この時期、YA世代の患者が予後を知りたいと願っていても、家族や医療者側に予後告知を巡る葛藤が生じ、明確に伝えられ難いとも指摘されています。また、若年層への社会的資源や制度の活用について医療者も十分に把握できず、それが本人や家族の希望を実現する際の障壁ともなり得ます。多機関・多職種での調整をいかにはかっていくのか、本セッションでは病院・在宅医療の各分野の職種の目を通して課題を抽出し、検討します。
  • シンポジウム22:緩和ケア普及啓発の地域展開-行政・拠点病院・地域社会の取り組みを活かす-

    • 緩和ケア普及啓発の取り組みは、これまでも様々な場で地道に行われてきました。しかし現実として、患者・家族をはじめ社会全体への普及啓発は、いまだ道半ばの印象があります。緩和ケア普及啓発が、医療現場だけで声高に叫んでも方法論も効果も限定的にならざるを得ない現実があるのかも知れません。本シンポジウムでは、これまでの議論や医療機関の内外での地域独自の取り組みを参考にして、さらに踏み込んだ議論ができないか、と考えました。行政・拠点病院・地域社会は、創発性の高いコラボレーションによりどのような効果を目指しているのか。調査研究、行政施策、医療機関からの地域発信などの側面について、緩和ケアのエキスパートである演者から、それぞれの取り組みや課題についてお話頂き、フロアーの皆様との活発な議論とともに、地域をあげての緩和ケア普及啓発の方策について模索していければと思います。
  • シンポジウム23:緩和ケアにおける自殺と希死念慮~自殺を防ぎ、対処するために医療者は何をすべきか~

    • 緩和ケアにおいては、多くの医療者が患者の希死念慮に遭遇します。 その意図は患者によってさまざまですが、背景にある精神心理症状、特に自殺のサインや緊急性については、適切に評価し対応していくことが求められています。また、不幸にして自殺が起きてしまった場合の対処についても、医療者は知っておく必要があります。 患者の自殺は医療者が最大限防がなければならない問題ですし、昨年のがん診療拠点病院要件の改定でも院内の自殺対策が明記されていますので、本シンポジウムを通して、緩和医療に携わる医療者に必須の知識を身に着けたいと思います。
  • シンポジウム24:緩和ケアに従事する医療スタッフの精神心理的健康を維持する

    • 緩和ケアは、終末期の患者・家族のかけがけのない時間を支援するやりがいのある業務です。ただ一方では、患者や家族の苦痛に接したり、やり場のない怒りをぶつけられ、バーンアウトを経験する医療者もいます。また関係を構築した患者が亡くなっていくことが多いことから、医療者自身も悲嘆を経験します。本企画では、緩和ケアに従事する医療スタッフが経験しうる精神心理的問題について臨床面や研究面といった様々な角度から検討し、精神心理的健康の維持について考える場としたいと思います。
  • シンポジウム25:骨の悲鳴に耳を傾ける!骨を支え、希望につなぐための多職種による集学的治療

    • 骨は運動器であるため安静時痛のみならず日常動作によって強い体動時痛が生じ、患者のADLを制限する。したがって、骨転移痛は患者QOLの面で重大な問題である。例えば、下腿骨への転移は歩行を困難にし、椎体への転移は立位や座位への移行や保持を困難にする。また、骨転移の進行により、いわゆる“がん疼痛”だけでなく、二次的な骨折によるさらに強い痛みを引き起こす。したがって、骨転移痛の治療は“いかに体動時痛を緩和させるか”に集約される。体動時痛は薬物療法のみで十分に緩和することが難しい。したがって、薬物療法とともに神経ブロック療法や固定療法、手術療法、放射線療法、リハビリテーション療法の併用を検討するべきであり、多職種・診療科横断的なチーム医療が必要である。そこで、本シンポジウムでは、各領域のプロフェッショナルに骨転移痛の管理について語っていただく。
  • シンポジウム26:緩和ケアにおけるNarrative Medicineアプローチの可能性:聴く力を磨く

    • 人はその個人の物語を生きています。重い病いをもつ人々がその人なりの生を全うするためには、患者の物語に基づいて、エビデンスを個々の医療に生かすことが大切となってきます。ナラティブ・メディスンは、文学の方法を取り入れ、患者の物語を聴き、医学や医療に生じる様々な分断に橋をかけることを目指してきました。ナラティブ・メディスンにおけるエビデンスへの取り組み、聴く力を磨く方法、専門職教育への方策等について、研究・実践・教育の専門家からお話をいただいて、学びを深めたいと思います。

パネルディスカッション

  • パネルディスカッション1:がん医療・ケアにおけるPatient and Public Involvement(PPI:患者市民参画)

    • 患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)は、患者やその家族、市民の経験や視点を未来の医療やケアの推進に積極的に取り入れていく取り組みである。がん研究においては、計画、デザイン、管理、評価、普及といったすべての段階で実施可能である。医療者と患者市民のパートナーシップが、よりよい治療、安全安心で質の高い医療の発展に繋がるものと考える。第3期がん対策推進基本計画ではがん研究の中に初めて盛り込まれたが、第4期では独立した項目が設けられるなど広がりを持って動き出している。 このシンポジウムでは、患者・市民参画の国内外の現状、日本における患者参画の実際や普及の課題、真の推進のための取り組みを研究者・医療者・患者体験者の立場から発表し、今後のさらなる展望を議論していく。このシンポジウム自体が患者・市民参画の取り組みの一つであると考える。
  • パネルディスカッション2:終末期の低血糖発作への対応

    • 終末期患者の低血糖症状への対応は、病態の診断・治療・患者/家族との認識共有、ケアを提供する医療スタッフの葛藤など、全ての場面で関係する人々の医療ケアに対する価値観「どこまでする・しない?」が試される可能性をはらんでいます。今回は普段緩和ケアに関わっている医師に、低血糖の診断・治療に積極的に対応しない立場・する立場に敢えて分かれてもらい、それぞれの経験・知見と臨床的対応やその根拠・価値観を提示頂きます。 総合討論ではパネリストに看護・倫理学の専門家も交え、日常臨床ではありふれている低血糖が引き起こす、正解はないが時間経過と共に結果は出てしまう終末期の諸問題について、参加者の皆様も含めて時間いっぱいディスカッションを繰り広げ、多様な視点を学び合うセッションとしたいと思います。
  • パネルディスカッション3:複雑な社会的背景を持つ患者のACPー病院、在宅医療それぞれの立場からー

    • 昨今、少なくとも緩和ケアの領域においてはACPに対する認識が広がってきています。しかし臨床現場で具体的にどのように実践していくかには、まだまだ試行錯誤している印象があります。その中でも特に、終末期を迎える時期になった時、身寄りなく独居であったり、親族とは絶縁状態であったり、また 患者自身が他者の介入を拒絶されていたり等、複雑な社会的背景を持たれているがゆえに ACP に難渋するケースがあります。家族がいても、患者の意向を尊重した医療・ケアの提供に同意が得られず葛藤する場面もあります。それぞれに生きてこられた道のりがあることに敬意を払いながら、現実的な準備を進めていくには、時として医療の範囲を超えて後見人等の専門職種と連携し、多角的な関わりを必要とすることも少なくありません。病院、在宅医療、あるいは終末期に在宅・病院いずれかへと移行するにあたり、いつ、誰が、どのような調整が必要となるのかを現場体験をもとに検討していきます。
  • パネルディスカッション4:緩和ケアにマインドフルネスとコンパッションをどう活かすか?

    • 仏教の「正念」「止観」を起源とするマインドフルネスは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)を皮切りに、MBCT、DBT、ACT等関連するプログラム開発を経てさまざまな臨床現場で実践されています。また、仏教における慈悲喜捨・四無量心にあたるコンパッションに焦点を当てたMSCやCFTなどのアプローチも、マインドフルネスとともに自他のケア、心理療法、学校教育にも広がりつつあります。これらのマインドフルネスとコンパッションは本質的にスピリチュアルな要素があり、緩和医療領域でも自他のケア、医療者の心理社会教育、燃え尽き予防など、救急から終末期、グリーフケアにも用いられています。 本パネルディスカッションでは、本邦の緩和ケア領域でマインドフルネスやコンパッションをどのように活かすか、がん患者/サバイバー・家族、遺族の心理ケア、がん慢性疼痛の治療、医療従事者のセルフケア、医学教育などの分野でマインドフルネスを実践している諸先生にご登壇いただき、今ここでの気づきと明日に役立つ課題を探求する機会にします。
  • パネルディスカッション5:緩和ケア×リエゾンチーム~精神疾患のある患者を支える~

    • 緩和ケアの普及に伴って、緩和医療に従事する医療スタッフが統合失調症などの精神疾患や認知症を有する患者さんを診療する機会も増えています。一方で、これらの対象患者さんは精神科リエゾンチームの対象でもあるため、緩和ケアチームとリエゾンチームの役割は一部オーバーラップしているのが現状です。 今回のパネルディスカッションでは、精神疾患を有する患者さんの緩和ケアにおいて、緩和ケアチーム、リエゾンチーム、双方の強みを生かし、患者さんの病状や特性にあわせた連携や役割分担のあり方について、様々な医療者の立場から考えてみたいと思います。精神科病床のない病院で緩和医療科に所属する医師、精神科病床のある緩和ケアチームに所属する精神科医、リエゾンチームに所属する看護師、緩和ケアチームや精神科でコンサルテーションを受ける心理職が各施設の体制・チームの機能や各職種の役割・事例などについてご紹介した後、全体討論を行います。
  • パネルディスカッション6:緩和ケアの専門性って何なの?Complexityという考え方

    • 「緩和ケアの専門性とは?」「専門的緩和ケアとは?」について理解を深めディスカッションを行うセッションである。 診断時からの緩和ケア、非がんへの緩和ケア、一般市民への緩和ケア教育・・・。緩和ケアの対象は無限に広がり、まるで「すべての人に、すべてのことをする」かのようである。結局のところ緩和ケアの専門性、我々が真に注力すべき対象とは何なのだろう?緩和ケアの専門性を論じる上で、近年耳にすることの増えた「complexity(複雑性)」という概念について、臨床現場での取り組みも踏まえて学ぶ機会としたい。  当日は最近「緩和ケアにおけるcomplexity」のレビュー論文を執筆された北海道大学の大日方裕紀先生からオーバービューをしていただき、千里中央病院の前田一石先生から現場でcomplexityと緩和ケアの専門性について感じていることやご経験についてご講演いただく。
  • パネルディスカッション7:専門家が関わっていない鎮静の安全性を高めるために緩和ケアチームができること

    • 一般病棟での治療抵抗性の苦痛に対する鎮静(以下単に鎮静)の中には、適応や使用薬剤が適切でない例があります。院内の緩和医療と臨床倫理の担い手となることの多い緩和ケアチーム(PCT)は、安全に鎮静が行われるためにはどのように関わればよいのでしょうか? このセッションでは、一般病棟での鎮静をサポートするための取り組みをPCTメンバーが紹介し、法律的・倫理的注意点を裁判例・倫理コンサルテーション例を通して法律家が解説します。それを基に会場の皆さんと悩みを共有し、演者からの応答を行う予定です。 安全性については、鎮静の適応、薬剤選択、モニタリング、病棟との役割分担、倫理的・法的理解、自己決定権やインフォームド・コンセント、などの視点から議論しますので、PCTのない施設や在宅医療でも共有できるセッションになることでしょう。それぞれの施設の実情に即した、患者・家族・医療者にとっての安全性を高めていく一助になればと思います。
  • パネルディスカッション8:緩和ケア病棟でがん以外の疾患に対応できるのか

    • 近年、緩和ケアは疾患や療養場所、そして診断されてからの時期に限定されることなく広く提供されることが求められるようになってきています。しかし、我が国の緩和ケア病棟は診療報酬上の問題から、対象疾患はがんに限定されているのが現状です。確かに、緩和ケア病棟はがんに限定されていても、その地域でのニーズには十分に答えられていないという声も聞かれます。しかし、今後、緩和ケア病棟においてがん以外の疾患に対象を拡大していくのであれば、緩和ケアの専門家としての声を予めまとめておく必要はあるのでしょう。 本パネルディスカッションでは、特に緩和ケア病棟以外の医療現場からみて、緩和ケア病棟には今後どのような機能や専門性が必要であり、何が課題として挙げられるのかについて議論を深めてみます。またその上で、緩和ケア病棟の機能を補う病院や地域の専門スタッフの役割を明らかにし、より幅の広い医療連携の在り方についても考えてみます。
  • パネルディスカッション9:ケミカルコーピングについて考える

    • 薬物依存や不適切使用についての警鐘がなされています。ケミカルコーピングについては、現在も決まった定義はありませんが実臨床の中ではしばしば問題となります。このパネルディスカッションは、ケミカルコーピングについて、多職種から異なる角度で研究、実践に関する主張を示すセッションです。それぞれ講演した上で、檀上のパネリスト同士がディスカッションをして、一つの方向性を示しますが、必ずしも結論をまとめる必要はございません。
  • パネルディスカッション10:がん薬物療法による皮膚障害のケア

    • がん薬物療法に伴う皮膚障害は、ざ瘡様皮疹や乾燥・亀裂、爪囲炎等、多様であり、ときに重症化や長期化する場合があり、患者の生活の質(QOL)に影響を及ぼすことがあります。そのため、症状を悪化させずにがん治療を継続することが必要であり、多職種で対応することが望まれます。近年、がん薬物療法においては、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の適応が拡大し、それに伴い皮膚障害の対策も注目されており、日常診療では対応に苦慮することもあります。  このパネルディスカッションでは、医師、看護師、薬剤師のシンポジストとともにICIに関連する皮膚障害を中心に事例を共有し、患者のアセスメントやケアについて、日常診療の注意点とそれぞれが果たすべき役割について紹介しディスカッションします。本セッションを通して、皆さまとがん薬物療法に伴う皮膚障害についての理解を深め、明日からの診療の一助となる機会としたいと存じます。
  • パネルディスカッション11:患者力を身体症状マネジメントにつなげる

    • 私たち医療者は患者の自立意志を尊重し、shared decision makingのもと医療を提供していく必要があります。  そこで重要になるのが、患者力であり、エンパワメントという概念です。重い現実を受け止め、そして辛い意思決定を強いられる中、その人の自己肯定感は下がり、生きる意味を見失っても不思議ではありません。結果として、医学的知識を身につけることをやめ、医療者任せになり、一度治療が始まればそれに固執するという悪循環が生じるため、これを断ち切る必要があります。それには医療者に共感的態度が求められます。  本セッションでは、身体症状をマネジメントする上で、患者の意向をどのように受け止め、関わるかによって、患者の受療行動がどのように変わるかを議論したいと思います。そこには理屈ではない、その人の本当の生き方・あり方が浮かび上がってくることでしょう。このセッションで有意義なディスカッションが展開できることを祈っています。
  • パネルディスカッション12:患者を護るあたらしい手と目:非接触型モニタリングを用いた終末期ケアへの期待と展望

    • ホスピスでは、その人らしい看取りを大切に考え、終末期の過ごし方が過度に医療化されないように心を砕いて来ました。現在でもモニターの使用に慎重な施設も多いのではないでしょうか。しかし、近年実用化されている非接触型のモニターを活用することで、患者や家族にストレスを与えることなくバイタルサインや体動をモニタリングすることができるようになりました。 このような新しいテクノロジーを活用した新しい終末期ケアの可能性について、臨床・研究の両面から展望したいと思います。
  • パネルディスカッション13:高齢者の痛みのこえを聴き生活を支える

    • 20年ぶりに痛みの定義が改訂されました。今回の改訂では高齢者ケアを意識した検討が加えられ、言葉による表出は、痛みを表すいくつかの行動の1つにすぎないこと、コミュニケーションが不可能であることは、痛みを経験している可能性を否定するものではないことなどの説明が加えられました。 高齢者は複数の痛み(慢性痛、不動の痛みなど)を抱えていますが、痛みのマネジメントが不十分である場合が多いことが指摘されています。痛みは、社会とのかかわりの減少、睡眠障害、歩行障害など多くの悪影響を及ぼすことがわかっています。今回は、学会テーマに即して、超高齢者の痛みの「こえ」を聴き、トータルペインとしてアセスメントし生活を支えるケアについて多職種で考える機会になればと願い、企画いたしました。
  • パネルディスカッション14:緩和ケアにおける適応外使用・院内製剤を考える

    • 緩和ケアにおいて、既存の治療薬での症状コントロールに限界がある際、院内製剤が有用である場合があります。例えば、出血コントロールのMoh’s軟膏、臭いコントロールのメトロニダゾール軟膏 外用・外用液、かゆみ止め軟膏のメントール含有レスタミンクリーム、せん妄症状緩和目的としてクエチアピン坐剤(他 坐剤がない薬剤等)、口腔内鎮痛薬のインドメタシンスプレー液などが施設 によって利用されているのではないでしょうか。 一方で、これらは適応外使用として、各施設の倫理委員会の許可の下で限定された使用であり、切れ目のないケアの観点では様々な問題があります。本企画では、これまでの院内製剤に関わる経緯、有用性や課題等について、大学、大学病院から在宅医療まで、幅広く多職種の先生方と一緒にディスカッションできればと思います。
  • パネルディスカッション15:在宅緩和ケアを活かすために必要な制度上の理解と課題-病院と地域の緩和ケア連携-

    • これまで病院における緩和ケアは制度上の後押しもあり拠点病院を中心として整備が進んできています。一方で本邦の在宅医療制度は複雑化しており、病院で通常行われる緩和ケアの提供が在宅では難しい場合も多々あります。そのような現状において、スムーズな連携や適切な緩和ケア提供のためには制度上の理解や在宅緩和ケアの現状の理解が重要です。今回病院側のスタッフにとっても必要な在宅緩和ケアの制度上の理解と課題、連携のあり方、地域での取り組みについて、病院緩和ケア医、在宅緩和ケア医、訪問看護師、地域の薬剤師に登壇していただき今後の在宅緩和ケアにおける課題について意見交換を行います。
  • パネルディスカッション16:悪性腹水、抜いちゃダメなの?

    • 悪性腹水に対する標準治療は確立していません。国際的に腹腔穿刺ドレナージが最も広く行われていますが、国内では「抜くと弱る」懸念から医療者や患者がドレナージを躊躇することがあります。その中でCART(腹水濾過濃縮再静注法:ドレナージした腹水を濾過濃縮したのちに静注して身体に戻す治療)が一定の支持を得ています。しかしCARTの有効性安全性は検証されておらず、「抜くと弱る」問題を解決できるのか未だ分かっていません。同じく腹水を体循環に戻す治療である腹腔静脈シャントは、侵襲やDICなどの有害事象があることから国際的にはほとんど行われなくなりました。また欧米では腹水ドレナージの際、毎回穿刺するのではなく、腹腔内にカテーテルを埋め込んで在宅で管理する方法が主流になってきています。このセッションでは最新のエビデンスに基づいて各治療法を解説し、現場での臨床判断に役立つ情報を提供します。さらに、今後の研究課題を見出し、さらなるエビデンスの蓄積に繋げたいと思います。
  • パネルディスカッション17:緩和ケアでの人工的栄養水分補給

    • 緩和ケア領域における人工的栄養水分補給(輸液栄養治療)はエビデンスが乏しい領域であり、有害であるとの報告がある一方で有効であるとする報告もあり、見解は定まっていません。実際のところ、人工的栄養水分補給の実施率や内容は関わる医療者や施設により大きな差があるのが現状です。また、患者や家族の理解や受け入れについても十分な配慮が必要です。そうした状況の中、本学会から「終末期癌患者に対する輸液治療のガイドライン」が刊行され、実臨床において人工的栄養水分補給を行う際に1つの指針として活用されています。 本セッションでは、人工的栄養水分補給の実臨床における治療成績のほか、倫理的側面からのアプローチや、看護ケアとしての患者や家族の心理的適応の援助、コーピングの援助などについても報告し、人工的栄養水分補給について様々な視点から議論を深めたいと思います。
  • パネルディスカッション18:せん妄存在下での疼痛緩和の困難さとその対応

    • せん妄と痛みが併存する場合の症状マネジメントにはしばしば困難を伴う。 たとえば、せん妄存在下では痛みの評価が困難となることが多い。また、強い痛みで高用量のオピオイドを要する場合や高齢者などせん妄ハイリスク症例に対する疼痛治療においても、せん妄対策と疼痛緩和のバランスやどちらを優先させるかなど葛藤や困難感を感じることも多いだろう。 本パネルディスカッションでは、臨床的に課題になることが多い「せん妄と強い痛みが併存する場面での症状マネジメント」について、様々な視点からの知識を深め日頃の対応の工夫を共有する機会としたい。
  • パネルディスカッション19:心不全の緩和ケアは普及しているのか

    • 緩和ケア診療加算の対象疾患に末期心不全が追加され、循環器疾患に対する緩和ケアの重要性は周知されてきました。循環器専門医を含めた循環器専門スタッフと緩和ケアの専門家が協働する機会も増えてきたように思います。しかし、実際の臨床では、緩和ケアチームへのコンサルテーションはまだ十分とは言えず、緩和ケア病棟で心不全患者のケアをしている施設は限定されているかと思います。心不全患者に緩和ケアを提供していくためには、我々緩和ケアの専門家には何が求められているのでしょうか?心不全の緩和ケアを実装してくための課題や解決方法について議論してみたい。
  • パネルディスカッション20:精神心理的苦痛を評価する

    • 患者・家族の精神心理的苦痛の緩和は、緩和ケア領域に従事する医療者の重要な役割の一つである。にもかかわらず、多くの医療者が精神心理的苦痛への対応を困難と感じていることが知られている。その要因の一つとして、対応の前段階である評価が適切にできていないことが挙げられる。精神心理的苦痛は数値化が難しい傾向があり、しかも抑うつ、不安、意識障害などなど抽象的な概念を念頭に置きながら評価をしていく必要があることも困難をもたらす一因であろう。一方、ある程度一般化、明確化できる部分もあり、これらを基礎知識知識として得たうえで経験を積むことで、精神心理的苦痛の評価に習熟できるのであろう。 このセッションでは、がん医療における臨床経験豊富な緩和ケア医、精神科医、精神看護専門看護師、公認心理師が登壇する。各職種のエキスパートが、どのような面接を行ってどのような情報を収集するのか、その情報を元にどのような評価を行うのか、といったことを学ぶ機会とする。
  • パネルディスカッション21:どうしようもない会陰部痛・肛門痛の治療戦略

    • 直腸がん・婦人科がんなどによる会陰部痛や肛門痛の疼痛コントロールでは、全身に影響する薬物療法のみでは眠気やせん妄などによる副作用でQOLを損ねるため、調整が難渋となることを経験するのはないでしょうか。今回、この痛みをどのように評価診断し薬物療法とともに、それ以外の治療にアプローチするのか検討したいと考えております。なかなか普段は聞けない放射線治療、Interventional Radiology (IVR)、神経ブロックに長けた4名の先生にご登壇いただき、それぞれの適応と注意点、功罪についてお話いただきます。また施設の多くは、そのような治療方法を整備されていないのが現状です。放射線・IVR・神経ブロック治療の費用、入院期間、アクセス方法、情報提供のコツを含めて、フロアの皆さまと討論・共有できればと思います。会陰・肛門領域の質の高い痛みからの解放となるよう有意義なパネルディスカッションにご期待ください。
  • パネルディスカッション22:がん悪液質のもたらす苦痛をどうマネジメントするか

    • 悪液質は、がん患者の様々なアウトカムに影響を及ぼすことが報告されてきた。また、悪液質が身体的な問題のみならず、心理・社会的な問題など、緩和ケア患者の持つ多くの苦痛に関連していることが明らかにされつつある。経口摂取量の減少や痩せなど食事や栄養状態に関連する苦痛は、緩和ケア症例を対象とした研究を通じ、“食の苦悩”としてクローズアップされるようになった。しかし、悪液質は日常診療で高頻度に遭遇する病態であるにもかかわらず、満足いく対応がされないまま、食の苦悩をはじめとする悪液質が関連する苦痛症状に悩んでいる患者・家族も少なくない。多因子によってもたらされる悪液質に対し、多職種によるマルチモーダルケアの重要性が唱えられ、緩和医療の領域においてもその重要性が認識されつつある。本パネルディスカッションでは、がん悪液質のもたらす苦痛・苦悩のマネジメントについて、4職種のパネリストと議論したい。

ワークショップ

  • ワークショップ1:オンラインセミナーのHow to

    • 新型コロナウイルス感染症の嵐に翻弄される中、わたしたちが出会った小さな光の一つにオンラインセミナー(OS)があります。感染リスクを減らすという現実的な要請を満たすために、対面形式の代替手段として否応なく始めたものに過ぎなかったOSには、場所や時間の制約を取り払い、離れたところにいる仲間とリアルタイムにコミュニケーションを取りながら学ぶことができるという大きなメリットがありました。また録画やオンデマンド配信などの付加機能を活用すれば、オンタイムでなくとも学習できるという利点もあります。一方でネットワーク環境の整備や機器のアップデートなどはもちろん、参加者の集中力やモチベーション維持や遠隔コミュニケーションの難しさを解決するには、オンライン開催を意識した適切な準備が欠かせません。OSを円滑に運営し、参加者の学習効果を高めるためには何が必要なのでしょうか。OS運営の経験がある方々に集まっていただき、そのハウツーを学ぶよい機会になればと思います。
  • ワークショップ2:緩和ケアの臨床に高流量鼻カニュラ酸素療法を活かす

    • 呼吸困難は非がん性呼吸器疾患や進行がん患者等において頻度が高く、Quality of Life(QOL)を大きく低下させる症状の一つです。呼吸困難に対して、様々な薬物療法や非薬物療法が試みられるものの、しばしば症状緩和が不十分となることがあり、有効な治療のさらなる普及・開発が必要です。 近年、集中治療領域や急性呼吸不全の治療を目的に、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNCOT)が普及してきており、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、その認識は広まってきています。そして、HFNCOTの生理学的利点により、換気効率や酸素化能の改善をもたらすのみならず、呼吸困難を緩和する効果やQOLの改善が期待され、進行がん患者に対する適応可能性が議論されてきています。 本セッションでは、HFNCOTの呼吸器内科領域の知見や、緩和ケア病棟での使用経験、マネジメントやケアでの工夫の観点で各演者が発表します。HFNCOTを緩和ケアの臨床でどのように活かし、そして患者のQOLに貢献できるか、活発な議論ができる場としたいです。
  • ワークショップ3:がん患者に神経ブロックを適切に提供するために我々がするべきこと ~地域連携・アクセスを考える

    • 難治性のがんの痛みに対して神経ブロックや脊髄鎮痛法は質の高い鎮痛を提供し患者の QOL を高める可能性を持っています。しかしながら多くの医療機関においてこれらの治療の適応となる患者が、専門家へ繋がっていない現状があります。難治性のがんの痛みに対する神経ブロックや脊髄鎮痛法の実施状況や実施への関連要因に関する全国調査のデータも踏まえて、これらの治療をほとんど経験していない緩和医療医や医療者が持つ治療に対するバリアを論じ、実際に神経ブロックや脊髄鎮痛法の施設間連携の取り組みを行っている好事例も紹介しながら、神経ブロックや脊髄鎮痛法についての地域連携やアクセス改善についてのディスカッションを行いたいと思います。
  • ワークショップ4:苦痛を伴うケアをいつまでするか:実践者に聞いてみよう!

    • 医療現場では、「患者の苦痛の緩和がされているだろうか」「その人らしい最期をむかえるためにはどうしたらよいか」「治療やケアの選択に悩む本人、家族をどのように支え、援助すればよいか」という倫理的課題に直面することがあります。なかでも、痛みを伴う自壊腫瘍や褥瘡のケア、口腔ケアや吸引、転倒予防のための抑制など、医学的には必要ですが、患者に負担・苦痛を与える可能性のあるケアを悩みながら行うことは、私たち自身の心の負担になります。看取りが近づいた時期のケアのあり方、患者は苦痛を感じているかなどについて、様々な選択肢から最善に向けて話し合える場があるのか、患者を取り巻く家族と専門職など、すべての関係者がそれぞれの立場や価値観を尊重し、大切なことに時間と力を注いでいくための工夫・アプローチについて、老人看護専門看護師、がん看護専門看護師、在宅の医師の立場から、討議できればと考えます。
  • ワークショップ5:入院中のオピオイド自己管理へ向けた取り組み

    • オピオイド、特に速放製剤のオピオイドは自己管理したほうがスムーズな疼痛コントロールにつながると考えられますが、実施している施設は少ないのが現状です。本セッションでは、各施設のオピオイド自己管理の障壁や自己管理に向けた取り組みの工夫点などを紹介いただくとともに、患者のセルフマネジメントを高める関わりについても考えたいと思います。
      【ワークショップ内容】
      1. セッション紹介
       ・入院患者における医療用麻薬の自己管理の必要性
       ・入院患者における医療用麻薬自己管理の普及実態
      2. 3施設・3職種からの医療用麻薬自己管理の取組み事例「障壁と解決策」
      3. 医療者が患者のセルフケア能力を高めるためのアプローチ
      4. 全体討論
       ・対象患者の選定、広め方と現場の負担について
       ・自己管理を行う部門管理者への啓発、意識改革について
       ・患者と接する医療者の教育、疼痛評価について
       ・その他、フロアからの質問
  • ワークショップ6:コロナによる分断を乗り越える -つながりを取り戻すための奮闘-

    • この3年以上に及ぶコロナ禍によって、緩和ケアが大切にしてきた「ふれあい」と「つながり」が断たれてきました。病院での面会制限は、困難かつ貴重な時期の「ふれあい」を患者と家族から奪い去りました。また、「ふれあい」を優先して選択された在宅療養の場でも、医療・介護関係者の「つながり」が絶たれる事態がしばしば生じ、「こんなはずじゃなかった」というギャップに悩むことも多かったのではないかと思われます。 いつまでも「コロナ禍だから仕方がない」で済ませていて良いのでしょうか? このワークショップでは、患者と家族のふれあいとつながりを取り戻すために奮闘しているホスピス・在宅医療の実践者に登壇いただき、コロナに負けない緩和ケアのあり方を探りたいと思います。

委員会企画

  • 委員会企画1:緩和医療における診療報酬~現場の課題抽出、エビデンス構築、診療報酬化、実装までの道筋を探る~
    【健康保険・介護保険委員会】

    • 我が国は皆保険制度による公的医療が基本です。緩和領域では緩和ケア病棟加算、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア加算、がん性疼痛管理加算、外来緩和ケア加算、緩和ケア疼痛評価加算などが新設、改定され発展してきました。しかし、多くの方にとって現場での要望があったとしても、保険診療の申請、決定過程には参画できないとの認識がありませんか。 診療保険・介護保険委員会では基本方針として「開かれた議論とプロセスの透明性」「エビデンスの尊重」「行政担当部局、関連学術団体、3保連などとの緊密なコミュニケーション」を重視して取り組んできました。 本委員会企画は、上記の方針を広く会員と集い対話する重要な機会と位置付け、令和6年の医療・介護のダブル改訂にむけて緩和医療の保険診療が社会のなかで有益な医療となるために
      1)保険診療、介護保険のしくみ
      2)改訂要望、新規収載要望のために必要な他学会の取組み
      3)行政財政の視点
      4)看護の視点
      の4演者よりレビュー的講演をいただき会員は何を学び、どう行動すれば良いかをクロストークします。
  • 委員会企画2:高齢者の安全・感染管理と倫理-何を実践できるのか考えよう-
    【安全・感染委員会】

    • 近年、患者の高齢化が進む中、緩和医療において、高齢者に対する安全・感染に配慮した医療の提供や治療遂行と患者の希望が一致しないことで医療者が葛藤を覚える場面や、倫理的な面で医療現場の課題となっています。 3名の先生方に、
      ①高齢者に特徴的な脆弱性を踏まえたオピオイドの適正使用上の課題
      ②COVID-19の医療提供における終末期医療の意思決定の課題
      ③倫理的課題を含む転倒を予防するためのリハビリテーション医療の役割
      について実践的な取り組みをご紹介いただき、医療者が直面する臨床的なジレンマをどのように解決するのか、医療者はどのようなことに気を付ければよいかについて検討したいと思います。
  • 委員会企画3:日本緩和医療学会の広報活動を考える:集まれアンバサダー!
    【広報委員会】

    • 広報委員会では、緩和ケアの社会における認知度を高めること、緩和ケアにかかわる医療者を支援することを目的として、広報や普及啓発を行っています。昨年はよりわかりやすい情報発信につながるよう、学会公式サイトのリニューアルを行いました。最近ではソーシャルネットワーキングサービスやメーリングリストを活用して会員・非会員それぞれに向けた広報活動にも取り組んでいます。なかでもYouTubeの公式チャンネルを開設して、動画メディアの活用を積極的に行っています。今回の学術大会では、学会の広報や普及啓発について、今後の方向性を考えるために自由闊達に意見交換をする場を持ちたいと考えました。広報委員会メンバーの他に、緩和ケア領域のインフルエンサーとして活躍している大会アンバサダーにも登壇いただき、ディスカッションを行います。フロアの参加者からもぜひいろいろなご意見を聞かせてください。本大会のテーマ「こえを聴き、希望を支え、そして、つなげる」とも重なると考えています。
  • 委員会企画4:Advocate for Equitable Access for All: Lessons Learned, Our Efforts and Compassion through working with Developing Countries in Asia
    【国際交流委員会】

    • 「すべての人に緩和ケアを届ける:アジアの発展途上国との協力を通じて学んだ教訓と努力と思いやり」 緩和ケアへのアクセスは、すべての人々への権利であり、がんやその他の重い病いを持つ患者に対するユニバーサル・ヘルス・カバレッジの不可欠な構成要素です。しかしながら、ケアにおける尊厳、構造的差別の問題は依然として未解決のままです。本セッションでは、アジアの途上国における緩和ケアの質向上へのニーズを知り、我々が共に成長するための支援策を探索します。
      Access to palliative care is a right for all and an essential component of universal health coverage for patients with cancer and other serious illnesses. However, issues of dignity and structural discrimination in care remain unresolved. In this session, we will learn about the need to improve the quality of palliative care in developing countries in Asia and explore ways to help us thrive together.
  • 委員会企画5:緩和医療学会のネクストステージ~緩和医療学会が次の5年ですべきこと~
    【将来構想委員会】

    • 緩和医療学会では理事改選に合わせて次の5年間の学会の進むべき方向性を決めるための理事会ワークショップを開催しています。そこでのプロダクトを元に将来構想委員会では、以下の緩和医療学会の5項目ネクストプラン(骨太方針)を作成しました。
      1. 心不全を含め、特に非がん領域のステークホルダーと緩和ケアに関する意見を交換できるような関係づくりを構築すること
      2. 緩和ケアに関する卒前教育に対して学会として公式なアクション起こすこと
      3. 緩和ケアに関する社会から求められている緩和ケアに課題に対する日本緩和医療学会としての公式Statementを作成すること
      4. 緩和ケアが普及・啓発されていることのメリットについて社会に提示すること
      5. 緩和ケアに関する教育や研修を通じて社会に還元できる具体的な目標を設定すること
      本企画では、がん患者会、将来構想委員会、看護職、非がん領域の代表者からそのビジョンや課題についてプレゼンしていただき、総合討論にて会場参加者を交えその具体的な方向性のヒントを得ることを目的としています。
  • 委員会企画6:医師のためのキャリアパス座談会
    【教育・研修委員会】

    • 緩和ケアについてもっと学びたい...キャリアアップしたい...でも、そのための道筋が見えてこない...そういった悩みを抱える医師は少なくありません。このセッションでは、小グループに分かれて、それぞれの先生方の悩みや課題を具体的に伺いながら、今後のキャリアについて一緒に考えていきます。情報交換だけでなく、人脈作りにもお役立てください。
  • 委員会企画7:緩和系研究でグラントを取るコツ
    【学術委員会】

    • 緩和医療の臨床現場では、個々の患者さんの意向や価値観に沿った対応が重視されるものの、何らかの医療行為を実践する際は、それらが有益であるとの科学的根拠(エビデンス)が不可欠であることは言うまでもありません。しかし、本学会が発刊しているガイドラインからも分かるように、この領域では十分なエビデンスがないまま実践されている医療が多数存在します。質の高いエビデンスを生み出すには、質の高い臨床研究による検討が必要ですが、臨床研究法などの影響で近年の臨床研究には何かとお金がかかります。厳しい審査を経て研究費(グラント)を獲得するには、どのような準備や工夫が必要なのでしょうか。本セッションでは、情熱と知識を持って緩和系研究のグラントを獲得してきた多職種の研究者からそのノウハウをご教授いただきます。
  • 委員会企画8:専門医・認定医フォーラム どう変わる?専門医制度
    【専門医認定委員会、専門医育成・教育委員会】

    • 2024年より緩和医療専門医・認定医制度が改訂されます。改訂の概要と新制度によって何が変わるのかを概説し、さらに日本専門医機構のサブスペシャルティ領域認定・承認に関する現状を報告します。 その上で、今後学会としてどのような専門医を育成・教育していくのか、研修認定施設・研修関連施設・新設される指導医には何が求められるのか、これから緩和医療を目指す若手へのキャリアパスをどのように示していくのかなど広く意見をいただくことを目的とします。
  • 委員会企画9:緩和ケアを語り聴き癒しあおう~緩和ケアに携わる看護師のための悩み・相談ブース~
    【教育・研修委員会】

    • 【目的】緩和ケアに携わる看護師が、緩和ケアの魅力や悩みを他の看護師やエキスパートナースと共に語り合うことを通して、キャリアパスを考えるあるいは緩和ケア・エンドオブライフ(EOL)ケアの実践を高めるための仲間づくり、学びのきっかけづくりができる場を作ること
      【概要】様々な場で緩和ケアに携わる看護師は、日頃の実践を通して緩和ケアの魅力や悩みを感じたり、もっと専門的に学びたいと自身のキャリア(認定看護師・専門看護師・大学院進学など)を考えたりすることがあると思われる。本企画では、
      《緩和ケアの魅力を語り合おう 田村恵子先生》
      《緩和ケアの悩みを相談しよう 岡山幸子先生》
      《エキスパートのキャリアパスを聞いてみよう 林ゑり子先生》
      《緩和ケア・EOLケアの教育を考えよう 西山みどり先生》
      の4つのブースを設置し、各ブーステーマに関連の深いエキスパートと関心のある者同士が自由にリラクッスして語り合える場となるキャリアカフェ(飲食なし)を提供する。
  • 委員会企画10:治療抵抗性の苦痛と鎮静の手引き2023年版 改訂のポイント
    【ガイドライン統括委員会】

    • 治療抵抗性の苦痛と鎮静の手引きは、2023年度版として5年ぶりに改訂されました。今回の改訂では今井員長を中心とした多くの鎮静ガイドライン改訂WPG員の努力によって、合意に基づく推奨とフローチャートを明示することにより、より実践的で現場において役に立つ情報が盛り込まれています。特に、治療抵抗性の苦痛と判断するための要点がまとめられ、臨床現場で活用しやすい難治性苦痛に対する治療アルゴリズムの作成に力が注がれています。また、実証的な研究の結果が整理され、系統的なレビューによってわかっていることがより明確に示されています。そして、法的検討にも力が入れられ、現場での鎮静の施行において臨床家が抱く、法的なもやもや感が少しでも軽減するような法的知識が提供されています。本委員会企画では、各演者より要点について述べていただき、まだ議論がまとまっていない問題点や今後それらを解決するための課題について共有し、今後の学会で取り組む方向性を話し合えたらと考えています。
  • 委員会企画12:男女共同参画推進と緩和医療従事者のワーク&ライフバランス~日本緩和医療学会での取り組み~
    【総務・財務委員会】

    • 2024年4月には医師にも働き方改革法が適応となる。単に健康管理という側面だけでなく、医療者の教育、地域医療、チーム医療の担い手の医療職とのタスクシフト、シェアと連動した医療の本質的な課題である。また当会事務局職員においても緩和医療の担い手の会員医療者と協働した業務遂行と時間管理、業務管理、健康管理は密接に連動している。 本シンポジウムでは、緩和医療における男女共同参画、働き方改革、ワーク&ライフバランスの現状と課題について、各臨床現場、職種での取り組みについて医師、看護管理者の立場から、日本緩和医療学会の取り組み、国の労働政策について顧問社労士からについて報告し、緩和医療の担い手の医療者、学会事務局職員について世代を超えた近未来の男女共同参画の在り方、働き方改革、ワーク&ライフバランスについてみんなが燃えつきないで幸せで健康に働き、緩和医療を持続的に提供できるにはどうすればよいかを議論したいと考える。

PAL

  • PAL1:がん医療・ケアにおけるPatient and Public Involvement(患者市民参画) をPAL目線でさらに深めよう
  • PAL2:緩和ケアの課題と今後への期待~第4期がん対策推進基本計画から考える~
  • PAL3:PAL退院前模擬カンファレンス~治療とケアのゴールを話し合ってみよう~

交流集会

  • 交流集会1:終末期の家族支援 ~親を亡くす子どもに対して私たちは何ができるのだろう ~ Part2
  • 交流集会2:がん悪液質で苦しむ患者と家族への多職種でのホリスティックマルチモーダルケアの開発 -医療者の教育と患者と家族の教育-
  • 交流集会3:はじめて触れる哲学~哲学チックな自分を見つけよう~
  • 交流集会4:俳句を詠んでみよう・ふたたび「悲嘆を詠む」
  • 交流集会5:緩和ケアやACPに関わる司法書士・ライフプランナーと話してみませんか?~実例を交えて~
  • 交流集会6:緩和ケアと効率重視の日常業務。双方を主張するスタッフ同志の衝突の本質とその打開策について ―燃え尽きて辞める前にすること
  • 交流集会7:緩和ケア研修会の「がん患者等への支援」でがん体験者の講演を効果的な学びに繋げるには
  • 交流集会8:がんの療養中の方とその家族に向けて今後の見通しを話し合うために現状確認ツールIMADOKOを使って話してみたその経験をシェアしよう! ~一般市民として・看護師として・医師として~
  • 交流集会9:緩和ケア×ベンチャー 繋がって変わる、未来の緩和医療
  • 交流集会10:コンパッション都市実現に向けて、私たちは何ができるのか? ~ユニバーサル・ホスピスマインドを社会実装する可能性を探ろう~
  • 交流集会11:患者力がリアルワールドACPのキーワード!!
  • 交流集会12:多職種協働が変える骨転移患者の人生 ~骨転移患者が最期まで「自分らしく生きる」を支える治療・ケアを考えよう~
  • 交流集会13:輸血依存患者の終末期における意思決定支援 ~血液悪性腫瘍を中心に~
  • 交流集会14:『ナラティブ・メディスン』の実践体験と情報交流の場
  • 交流集会15:地域における小児緩和ケアの今と未来を話し合おう!
  • 交流集会16:緩和領域において、より良いリハビリテーションを提供するために我々にできることとは
  • 交流集会17:ACPを病院や地域で広めるためのコツってありますか?(PART II)〜ACPのためのチームビルディングとは〜
  • 交流集会18:積極的治療を離れる現実を前に、医療枠を超えた意思決定支援の可能性を探る~体験者に力を借りた症例(ビデオ鑑賞)で考える~
  • 交流集会19:臨床宗教師と医療者との協働と可能性の発展を探る

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