日本体力医学会

日本体力医学会利益相反(COI)に関する運用指針

平成26年3月31日制定

近年の科学技術の進歩に伴い、体力医学に係わる大学や研究機関、学術団体が特定の企業や営利を目的とする団体などと連携する産学連携活動が不可避の状況となっている。そのため公正な教育・研究等の責務が、産学連携活動に伴い生じる個人および団体の得る利益と衝突・相反する状態「利益相反(conflict of interest: COI)」が生じてきた。日本体力医学会は、日本医学会の定めたガイドライン等に則り、利益相反状態を適切に管理(マネジメント)するための指針(日本体力医学会における事業遂行に係る利益相反(COI)に関する指針:2013年)を定め、本学会および本学会員が国民に信頼される教育・研究活動等を行うこととした。日本体力医学会における事業遂行に係る利益相反(COI)に関する指針:2013年に則り、本学会における事業遂行に係る利益相反(COI)の運用指針を定める。

    (目的)
  • 第1条 この規則は、日本体力医学会(以下、「本学会」と略す。)が「日本体力医学会における事業遂行に係る利益相反(COI)に関する指針:2013年」(以下、「本指針」と略す。)を対象者に遵守させるにあたり、本指針の具体的な運用方法と、違反者への処置方法を示すことを目的とする。
  • (本学会発行の機関誌などでの発表)
  • 第2条 (開示の範囲)著者(筆頭著者、共同著者)が開示する義務のあるCOI状態は、投稿内容に関連する企業や営利を目的とする団体など(以下「企業や団体」という)に関わるものに限定する。
    1. (投稿時)本学会誌「体力科学」や「The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine」などに総説、原著、それに準ずる文書を投稿する際に、学術的発表内容に関係する企業や団体との投稿時から遡って3年間の利益相反関係を著者全員が公開することとする。該当する場合には「自己申告による利益相反申告書」(別紙様式1)により、定款に定める本学会事務局(以下本学会事務局と略す。)に提出する。
    2. 編集委員会は、運用の実施が本指針に沿ったものであることを検証し、会員以外の投稿者も含め、本指針に反する場合には、掲載を差し止める等の処置を講ずることができる。
    3. 自己申告が必要な金額は、第8条で規定された金額とする。
  • (学会等発表時の開示方法)
  • 第3条 (開示の範囲)著者(筆頭演者、共同演者)が開示する義務のあるCOI状態は、発表内容に関連する企業や営利を目的とする団体などに関わるものに限定する。
    1. (抄録提出時)学術集会、シンポジウム、ランチョンセミナー、および市民公開講座など、本学会が開催する集会での発表の際は、発表者は抄録提出前3年間の発表内容に関し、すべての著者の利益相反状態についてCOI状態を明らかにする。 COI状態にある場合は、抄録提出前に、演題の演者全員について利益相反申告書(別紙様式2)を学会大会事務局に申告しなければならない。地方会の利益相反状態の開示についてもこれに準じるものとする。
    2. (発表時)発表時には、発表内容に関連する企業や営利を目的とする団体などとの過去3年間に利益相反状態がある場合は、発表スライドの最初に、またポスターの末尾に内容を開示する。
    3. 自己申告が必要な金額は、第8条で規定された金額とする。
  • (役員や委員等の利益相反自己申告書の提出)
  • 第4条 役員や委員等とは、本学会の理事長、理事、監事、委員会委員長、ならびに編集委員会、倫理委員会、利益相反委員会の委員を指すものとする。
    1. (開示・公開の範囲)役員や委員等が開示・公開する義務のある利益相反状態は、本学会が行う事業に関連する企業や営利を目的とする団体などに関わるものに限定する。
    2. 本学会の役員や委員等は、役員や委員等に就任する際に、過去1年間の利益相反状態を利益相反自己申告書(別紙様式3)に記載して本学会事務局に提出する。
    3. 役員や委員等に就任した後、利益相反状態に変更が生したときは、利益相反自己申告書(別紙様式3)を速やかに提出するものとする。
  • (自己申告書の取り扱い)
  • 第5条 提出された利益相反自己申告書は、利益相反委員会で必要に応じて審議する。
    1. 利益相反委員会は、審議の結果について理事長および理事会に報告する。理事会は、重大な利益相反状態にある自己申告については、その対応について利益相反委員会に意見を付して報告する。
  • (違反者に対する措置)
  • 第6条 利益相反状態における自己申告の内容が当指針に違反する場合には、利益相反委員会は調査を行い、処分案を作成し、理事長および理事会に報告する。
  • (不服申立て)
  • 第7条 前条により処分を示された場合、その対象者は不服申立ての審査を請求することができる。不服申立ての審査請求を受けた場合には、理事長は不服申立て審査委員会(理事長の指名する本学会会員若干名により構成される)を設置し、審査を諮問する。委員長の選出は、委員の互選とする。利益相反委員は、不服申立て審査委員会の委員を兼務できない。委員会は審査請求を受けてから30日以内に委員会を開催し、審査し、その答申書を1ケ月以内に理事長に提出する。
  • (利益相反自己申告が必要な基準)
  • 第8条 本学会が行う事業に関連する企業や団体の役員、顧問職については、一つの企業や団体からの報酬額が年間100万円以上とする。
    1. 株式の保有については、一つの企業や団体についての1年間の株式による利益(配当、売却益の総額)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5パーセント以上を保有する場合とする。
    2. 企業や団体から特許権使用料については、一つの権利使用料が年間100万円以上とする。
    3. 企業や団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者に支払われた日当(講演料など)については、一つの企業や団体からの年間の講演料が合計50万円以上とする。
    4. 企業や団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については、一つの企業や団体からの年間の原稿料が合計50万円以上とする。
    5. 企業や団体が提供する研究費については、一つの企業や団体から体力医学研究(受託研究費、共同研究費など)に対して支払われた総額が年間200万円以上とする。
    6. 企業や団体が提供する奨学(奨励)寄付金については、一つの企業や団体から、申告者個人または申告者が所属する部門(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間200万円以上の場合とする。
    7. 企業や団体が提供する寄付講座に申告者らが所属している場合とする。
    8. その他、研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供については一つの企業や団体から受けた総額が年間5万円以上とする。開示すべき利益相反関係にある企業や団体などから研究経費、奨学寄付金などの提供があった場合に申告する必要がある。
  • (利益相反委員会と各種委員会等との連携)
  • 第9条 本指針運用に当たり、利益相反委員会は倫理委員会、編集委員会、総務委員会、広報委員会等各種委員会、本学会事務局および学会大会事務局と緊密に連携することとする。
  • (運用指針の変更)
  • 第10条 この運用指針は、定期的に見直しを行い、必要に応じて改正するものとする。本指針運用の改正は、理事会で承認する。
  • 附則
    1. 本指針は平成26年4月1日より施行する。
    2. 本細則は平成26年4月1日から2年間を試行期間とし、その後に完全実施する。なお指針違反者に対する措置も2年間は会員への周知期間とし、総会で議決後、当該会員に注意・勧告を行う。
    3. 現に在職している理事および委員等が、第4条の規定に基づき提出しなければならない利益相反自己申告書は、本指針運用施行後速やかに提出する。
以上
文責:総務委員長 小野寺 昇