靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

日中友好

宮中晩餐会のメニューの一つに,中国製冷凍点心を加えてみてはどうだろう。日中友好の証として。
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なんじゃもんじゃ

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中国福建省原産で,中国各地、台湾、朝鮮半島に分布。
日本国内では,対馬と,何故だか木曽川周辺に自生。

杜鵑

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山石榴,一名山躑躅,一名杜鵑花,
杜鵑啼く時に花は撲撲たり。......
花中このもの西施に似たり,芙蓉芍薬なんぞはみんな嫫母。......
嫫母は黄帝の第四妃で伝説的な醜女。(白居易:山石榴 寄元九)

花甲寿菜単

「私の著書は古くさくて,黴が生えてゐるので今の若い人には向かないらしい」とは,青木正児『中華飲酒詩選』再版の序である。昭和三十九年の初秋である。
私は比較的若い頃から好んで読んでいる。と言っても,一番好きな文章は陶然亭であるとばらしてしまえば,単に酒徒の端くれというに過ぎない。
で,これに劣らず好きなのは,昭和二十二年二月の還暦自祝の一文である。名づけて花甲寿菜単。そこに当時の家族の様子が載っていて,「四男喬十二歳,小学生」とあるのに,つい最近まで気付かなかった。『華国風味』の著者と『中国の食譜』の編訳者が父子だったということです。

さて,その菜単の内容は:
 瑞雪鱠=大根なます 氷魚酢漬 九年母薄切
 松柏拌=壬生菜の芥子あえ
 吉旦餅=鮭と葱入りの鶏卵焼
 蓬莱鍋=魚団 干海老 貝のむき身 椎茸 豆索麺
     牛蒡 人参 春菊 里芋 酸茎
 晩霞飯=小豆飯
 梅竜餻=小豆入り青豆羊羹 干柿
 天福果=金柑 銀杏
 固歯豆=鉄蚕豆 塩打大豆
 煉金丹=雲丹 烏賊の塩辛 山葵粕漬 寒漬大根 落花生
 鸞鳳玉涎=銘酒玉鳳

よく見れば時節がら大したことはない,などと思う人が有ったら,迷陽道人からは酒徒としての及第点がいただけまい,と思う。

文明

仲間内で発生した小競り合いを宥めようとした女の子が,周辺から裏切りもの扱いされ殺すぞなどと脅されている,らしい。どこにでも,すばらしい人と恥ずかしい人たちがいる。

むべなるかな

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魔法について

例えば魔法使いが,わらじをわらじのようなビーフステーキに変えたとする。
それを饗された人は,わらじを喰ったのか,それともビーフステーキを喰ったのか。

食べた人が,別にお腹をこわしもせず,藁にもそれなりの滋養が有るとしたら,あるいはそもそも肥満気味で節食した方が良かったんだとしたら,だまされたなどと言うことは無い。口が満足しただけめっけものである。もともとわらじであったことを,ついに知らずにいるとしたら,なおさらである。
しかし,魔法使い自身はどうなんだろう。自分でわらじをわらじのようなビーフステーキに変えて,おいしくいただくというのは難しいのではあるまいか。
魔法は自分には効きにくい。名医が早死にする理由の一つである。
難儀なことである。
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一人酒盛

加納城趾の桜です。
今年は例年より1週間ほど早い。
ひとり寂しくワンカップと鯖寿司なんぞで花見をしてきました。
つまり写っているのは,アカの他人です。
曇り空で,少々寒かった。
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蠻夷無禮

『隋書』倭国伝:......大業三年,其の王タリシヒコ使を遣わして朝貢す。使者曰く,海西の菩薩天子佛法を重興すと聞く,故に遣して朝拜し,兼ねて沙門数十人来たりて仏法を学ぶ,と。其の国書に曰く,日出ずる処の天子書を日没する処の天子に致す,恙なきや,と云々。帝これを覧て悦ばず,鴻臚卿に謂いて曰く,蠻夷の無礼有るものは,またもって聞すること勿かれ,と。......

かねがね,「一つの中国」という主張にろくな説明が無いのが,不満だったんですが,つまりこういうことなんでしょうね。だから,漢族の台湾の独立を認めないのは勿論,異民族のチベットだって中国皇帝の下に在るべきなんです。でも,そうすると本心は倭国だって......。

八犬伝を二年半で読む

江戸時代の読本は,文章とともに挿絵も読まなければならない,という意見には,なるほどとは思うけれど,考えてみれば,その刊行のまどろこしさも追体験するのが望ましい。もう,私たちにはむずかしいことだろうけど。新聞雑誌の連載とか,テレビの連続ドラマの展開を,はらはらどきどきなんてことも,もはやほとんどあり得ない。
『南総里見八犬伝』は,刊行に二十八年もかかっている。そこで,後の展開を挿絵でほのめかしておくなんてことも有った。だから,熱心な読者は,それをたよりにああでもないこうでもないと,楽しむというか苦しむというか。で,そうした熱心な読者の中には,完結を待ちきれずに身まかった例が多いらしい。そりゃ二十八年ですからね。
文化十一年に肇輯,二年後に二輯,三年後に三輯,次の年に四輯,三年後に五輯,四年後に六輯,三年後に七輯,二年後に八輯の上帙,次の年に下帙,二年後に九輯の上帙,次の年に中帙,次の年に下帙の上,次の年に下帙の中,次の年に下帙の下の甲号,次の年に下帙の下の乙号の上套,次の年に下帙の下の乙号の中套,次の年に下帙の下編の上,次の年に下帙の下編の中,次の年に下帙の下編の下。
我々だって,これに則って,二十八年というわけにはいかないのなら,年を月に置き換えて,二十八ヶ月で読むなんてことは可能だろうけれど,残念ながら,筋書きのあらましはすでに知ってしまっている。はらはらどきどき,待ち遠しい,なんてことはもうできない。
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