[検定→2要因で分類される多群の検定]  →[基本解説-ANOVA]

 ---2群比較の検定を繰り返してはいけない!
 =2つの要因によって生じる、多群のデータの平均値の違いを、同時に比較検定する!
  要因によって分類されるすべての群を比較するのではなく、要因による効果を比較する。
  さらに、複数の要因が組み合わさった場合の影響(交互作用)も検討する!
 →5-1対応のないデータに、繰り返しがある、2要因で分類される、多群の検定 →5-2
 →6-1対応のあるデータに、繰り返しがない、2要因で分類される、多群の検定
 →6-2対応のあるデータに、繰り返しがある、2要因で分類される、多群の検定

5-1対応のない2要因で分類される、多群の検定-1
   →parametric---Two-factor factorial ANOVA = Two-way factorial ANOVA
           :繰り返しのある2元配置分散分析法
例1) [幼若ラット(2W)]と[成ラット(8W)]に、3種類の用量のメリチン0.1M, O.5M, 1Mを投与し、10分後に皮膚温を測定した。
    1)メリチンによる皮膚温の上昇度は、齢の違いによって、異なるか?
    2)メリチンによる皮膚温の上昇度は、用量によって、異なるか?
    2)齢の違いと用量の違いによる皮膚温の上昇度に相互作用が認められるかを調べる。
2要因独立変数要因A)「齢の違い」=群間因子
用量 
幼若0.1M 度
幼若0.1M 度
幼若0.1M 度
幼若0.5M 度
幼若0.5M 度
幼若0.5M 度
幼若1.0M 度
幼若1.0M 度
幼若1.0M 度
成熟0.1M 度
成熟0.1M 度
成熟0.1M 度
成熟0.5M 度
成熟0.5M 度
成熟0.5M 度
成熟1.0M 度
成熟1.0M 度
成熟1.0M 度
独立変数要因B) 「用量の違い」=群間因子
データ従属変数「皮膚温」のデータ
多群
(カテゴリー変数)
要因A) [幼若ラット群], [成ラット群]
要因B) [0.1M群], [0.5M群], [1M群]
(ANOVAでは、2X3=6群のデータを比較するのではない。)
交互作用のある場合の多重比較検定のためには、6群を比較する。
対応なし
 =独立
同一個体のデータではない。
 要因A) [幼若ラット群], [成ラット群]は独立した群である。
 要因B) [0.1M群], [0.5M群], [1M群]は独立した群である。
帰無仮説・齢が違っても、メリチンによる皮膚温の上昇度は、同じである。
・メリチンの用量が違っても、皮膚温の上昇度は、同じである。
・[齢の違いの効果]は[用量の違いの効果]に影響しない。
要因の検定データ(従属変数)に対する処理(独立変数)の影響を検定
・要因Aの検定:[要因Aによる変動]と[誤差変動]の比較。
・要因Bの検定:[要因Bによる変動]と[誤差変動]の比較。
・交互作用の検定
 :[交互作用変動]と[誤差変動]の比較。
[全体変動]
(観測地全体のばらつき)
[要因Aによる変動]+ [要因Bによる変動] + [交互作用変動] + [誤差変動]
[因子間変動]=[要因Aによる変動]=因子A)による変動
 :「齢の違い」による皮膚温の上昇度の分散
[要因Bによる変動]=因子B)による変動
 :「用量の違い」による皮膚温の上昇度の分散
[誤差変動](同一群内に、偶然によって生じたばらつき)
ラット皮膚温の個体差
[交互作用変動][因子Aによる変動]と[因子Bによる変動]の相互作用による要因
p<有意水準
分散分析表
主効果
・齢が違うと、皮膚温の上昇度は異なる
・用量が違うと、皮膚温の上昇度は異なる
交互作用
・「齢の違い」と「用量の違い」の間に交互作用がある。
Post Hoc Test交互作用がない場合:
 要因A) [幼若ラット], [成ラット]
 要因B) [0.1M群], [0.5M群], [1M群]
交互作用がある場合:
 [幼, 0.1M群], [幼, 0.5M群], [幼, 1M群],
 [成, 0.1M群], [成, 0.5M群], [成, 1M群]

5-2対応のないデータに、繰り返しがある、2要因で分類される、多群の検定
   →parametric---Two-factor factorial ANOVA = Two-way factorial ANOVA
           :繰り返しのある2元配置分散分析法
例2) [対照群(生食投与)][メリチン投与群][カプサイシン投与群][メリチンカプサイシン投与群]に分け、それぞれの薬物を投与し、投与10分後の平均皮膚温を測定した。
 メリチンカプサイシンの投与には相乗効果があるか。
☆重要---よくする間違い
 薬物の違い:[対照群(生食投与)][MEL投与群][CAP投与群][メリチンカプサイシン投与群]による「対応のない1要因で分類される多群の検定」をしてはいけない。
 →「メリチン投与の有無」で検定し、「カプサイシン投与の有無」で検定し、交互作用を調べる。
2要因独立変数要因A)「MEL投与」=群間因子
MELCAP 
-- 度
-- 度
-- 度
-- 度
+- 度
+- 度
+- 度
+- 度
-+ 度
-+ 度
-+ 度
-+ 度
++ 度
++ 度
++ 度
++ 度
独立変数要因B) 「CAP投与」=群間因子
データ従属変数「皮膚温」のデータ
多群
(カテゴリー変数)
要因A) [MEL+群], [MEL-群]
要因2) [CAP+群], [CAP-群]
(ANOVAでは、2X2=4群のデータを比較するのではない。)
交互作用のある場合の多重比較検定のためには、4群を比較する。
対応なし
 =独立
同一個体のデータではない。
 要因1) [MEL+群], [MEL-群]は独立した群である。
 要因B) [CAP+群], [CAP-群]は独立した群である。
帰無仮説・MEL投与しても、皮膚温は変わらない。
・CAP与しても、皮膚温は変わらない。
・[MEL投与の効果]は[CAP投与の効果]に影響しない。
要因の検定データ(従属変数)に対する処理(独立変数)の影響を検定
・要因Aの検定:[要因Aによる変動]と[誤差変動]の比較。
・要因Bの検定:[要因Bによる変動]と[誤差変動]の比較。
・交互作用の検定
 :[交互作用変動]と[誤差変動]の比較。
[全体変動]
(観測地全体のばらつき)
[要因Aによる変動]+ [要因Bによる変動] + [交互作用変動] + [誤差変動]
[因子間変動][要因Aによる変動]=因子A)による変動
 :「齢の違い」による皮膚温の上昇度の分散
[要因Bによる変動]=因子B)による変動
 :「用量の違い」による皮膚温の上昇度の分散
[誤差変動](同一群内に、偶然によって生じたばらつき)
ラット皮膚温の個体差
[交互作用変動][因子Aによる変動]と[因子Bによる変動]の相互作用による要因
p<有意水準
分散分析表
主効果:
・MELを投与すると、皮膚温が変化した。
・CAPを投与すると、皮膚温が変化した。
交互作用
・「MEL投与の効果」と「CAP投与の効果」に交互作用がある。
Post Hoc Test交互作用がない場合:
 要因A) [幼若ラット], [成ラット]
 要因B) [0.1M群], [0.5M群], [1M群]
交互作用がある場合:
 [MEL-, CAP-群], [MEL+, CAP-群],
 [MEL-, CAP+群], [MEL+, CAP+]
 StatView
  Two factor factrial ANOVA
 用のデータシート
 用量皮膚温
 カテゴリーカテゴリー実数
1MEL-CAP-
2MEL+CAP-
3MEL-CAP+
4MEL+CAP+
5MEL-CAP-
6MEL+CAP-
7MEL-CAP+
8MEL+M0.5
9MEL-CAP-
 
Two factor factrial ANOVA
データ
シート
実験データ形式
カテゴリー変数:MEL-, MEL+
カテゴリー変数:CAP- CAP+
解析▲分散分析
  分散分析表
  基本統計
  交互作用グラフ
解析の実行要因
すべて
有意水準
変数一覧:独立→X
用量:独立→X
皮膚温:従属→Y
  交互作用がある場合の
 多重比較検定用の
 データシート
 皮膚温
 カテゴリー実数
1MEL-, CAP-
2MEL+, CAP-
3MEL-, CAP+
4MEL+, CAP+
5MEL-, CAP-
6MEL+, CAP-
7MEL-, CAP+
8MEL-, CAP-
9MEL-, CAP-


6-1対応のあるデータに、繰り返しがない、2要因で分類される、多群の検定
 →parametric  ---Two- factor ANOVA with only one obserbation in each cell
   :繰り返しのない2元配置分散分析
例1) A〜Fの学生がP〜S先生に教えてもらった時の試験の成績は、
   1)学生の個人差が大きいか、2)先生の個人差が大きいかを検定する。


2要因要因A) 学生の個人差 要因B) 先生の個人差
多群要因A)[学生A], [B], [C], [D], [E], [F]
要因B)[P先生], [Q], [R], [S]
対応あり(=独立)例1 同一学生のデータ、同一教員のデータ
繰り返しなし[学生A , P先生]の成績は1データだけ。
例1
成績P先生Q先生R先生S先生
学生A 点 点 点 点
学生B 点 点 点 点
学生C 点 点 点 点
学生D 点 点 点 点
学生E 点 点 点 点
学生F 点 点 点 点

例2
収入P先生Q先生R先生S先生
2000年 円 円 円 円
2001年 円 円 円 円
2003年 円 円 円 円
2004年 円 円 円 円
2005年 円 円 円 円
↑6-1の例  繰り返しがない↓6-2の例  繰り返しがある
2要因によって分類されたデータは、
 各セルに1つずつ配置。
2要因によって分類されたデータは、
 複数ある。
[学生A, P先生]の成績は1つだけである。[投与前, Mel群]などのデータは複数ある。

 この検定のデータは一見「One factor repeated measures ANOVA」とよく似ている。
 しかし、要因1)要因2)も独立した群間要因としている。
対応のある多群の検定の場合に「One factor repeated measures ANOVA」で検定すると、反復因子の比較の対象は、群内因子であるので、ポストホックテストとして「対比」の検定しかできない。
 しかし「Two- factor ANOVA with only one obserbation in each cell」を選択すれば、通常の多重比較検定もできる。(しかもANOVAは、多重比較検定の前に必ずしも必要ではない。)


6-2対応のあるデータに、繰り返しがある、2要因で分類される、多群の検定(=関連多群を反復測定した検定)
 →parametric--- Two- factor repeated measure ANOVA=Two- way repeated measure ANOVA
          :反復測定2元配置分散分析
例) 「melittin投与群」「apamine投与群」で、皮膚温の時間経過に、違いがあるかを検定する。
 
2要因独立変数要因A)「薬物」=群間因子
(カテゴリー変数)
薬物時間経過
投与前1分後3分後5分後10分後15分後20分後 30分後
melA 度 度  度 度 度 度  度  度
melB 度 度  度 度 度 度  度  度
melC 度 度  度 度 度 度  度  度
melD 度 度  度 度 度 度  度  度
melE 度 度  度 度 度 度  度  度
apaA 度 度  度 度 度 度  度  度
apaB 度 度  度 度 度 度  度  度
apaC 度 度  度 度 度 度  度  度
apaD 度 度  度 度 度 度  度  度
apaE 度 度  度 度 度 度  度  度
従属変数要因B)「時間経過」=群内因子
 =反復測定の因子
(コンパクト変数)
多群[投与前群], [1分後群], [3分後群],・・・
対応あり
 =関連=反復
-右表の右方向へ
従属変数に対応がある。
同一個体のデータの経時変化
 →同一個体で反復して測定した。
繰り返しあり
-右表の下方向へ
[投与前, mel群]に複数のデータがある。
他の組み合わせの群にも複数のデータがある。
帰無仮説メリチン投与後の皮膚温の変化も、アパミン投与後の皮膚温の変化も同じである。
要因の検定 ・要因Aの検定=[個体間要因(between-subject)]の検定
 :[個体間要因変動]と [実験個体誤差変動]の比較。
・要因Bの検定=[実験個体要因(within-subject)]の検定
 :[実験個体要因変動]と {[実験個体変動]ー[実験個体誤差変動]}の比較。
・交互作用の検定:[交互作用変動]と {[実験個体変動]ー[実験個体誤差変動]}の比較。
[全体変動](観測地全体のばらつき)
=[群間変動] + [群内変動]
=[個体間変動] + [実験個体変動]
=[個体間変動] + [実験個体要因変動] + [実験個体誤差変動]+ [交互作用変動]
[個体間変動
(between-subject)]
-右表の上下
=[群間変動]
[実験個体変動
(within-subject)]
-右表の左右
=[実験個体要因変動]+ [実験個体誤差変動] + [交互作用変動]
=[群内変動]
[実験個体誤差変動] 要因Aの検定の検定のための[誤差変動]
[実験個体要因変動]=[反復測定による変動]=[要因Bによる変動]
[交互作用変動]
-右表の上下:左右
=[要因Aと要因Bの交互作用による変動]
=[個体間要因と反復測定の因子の交互作用による変動]
p<有意水準
分散分析表
→薬物の違いにより皮膚温に有意差が 有
→時間経過により皮膚温に有意差が 有
→薬物の違いと時間経過に交互作用が 有 or 無
Post Hoc Test・群間因子の比較→多重比較
・群内因子の比較→対比による検定
 この検定をTwo- factor ANOVA with only one obserbation in each cellで行えば、反復因子も群間因子になるので、通常のも多重比較検定が行える。特に、各群のデータのばらつきが小さい場合には、有効。
 StatView
  Two factor
  repeated measures
  ANOVA
薬物時間
priorm1m3m5m10m15m20 m3
カテゴリー実数実数実数実数実数実数実数 実数
mel ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
mel ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
mel ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
mel ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
mel ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
apa ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
apa ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
apa ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
apa ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
apa ・ ・  ・ ・ ・ ・  ・  ・
 
 repeated measures
データシート列挙データ形式
 カテゴリー変数:mel, apa
コンパクト変数:時間
解析▲分散分析
  分散分析表
  基本統計
  交互作用グラフ
解析の実行反復
すべて
有意水準
変数一覧薬物:独立→X
時間:従属→Y


私のための統計処理