[基本解説ポストホックテストとしての多重比較検定]
  →[検定-1要因多群-2要因多群] →[ANOVA] →FDR

 多重比較の2通りの立場  
事前比較 (A priori comparisons)
  結果を分析する前に,理論的な背景などにより,比較する平均値についての仮説がある場は、
  ANOVA抜きで、多重比較を行う。
事後比較 (Post hoc comparisons)
  比較する平均値についての明確な仮説がない場合は、
  ANOVAで比較対象を決めて、多重比較を行う。

A priori-多重比較検定 ANOVA抜きで、多重比較検定!
 Post hoc -多重比較検定
┗ANOVA┳One- way┳factorial┳ー有意差なしF統計量を用いない多重比較)
 ┃ ┗ー有意差あり→→→多重比較
 
┗repeated
  measures
┳ー有意差なし
┗ー有意差あり
F統計量を用いない多重比較)
→→→多重比較
 ┗Two- way┳factorial┳交互作用なし→→→各要因ごとの多重比較
  ┃ ┗交互作用あり→→→全組み合わせの多重比較検定
  ┗repeated
  measures
┳交互作用なし
┳群間比較→→→各要因ごとの多重比較
┗群内比較(対比の検定)
   ┗交互作用あり→→→各時点間の比較

ANOVAと多重比較検定は、検定の目的が異なる。
 ANOVA---「群を分類する要因の主効果によって群に差があるか」と「複数の効果に相互作用があるか」を調べる。
  →どれか1つ以上の群間に差があることはわかるが、どの群間に差があるのかはわからない!
  →多重比較検定---多群の群間因子を比較する。
   単純に群同士を検定していくと、有意水準が乗算されていき、第1種の過誤を犯しやすくなってしまう。

(ANOVA後の)Post hoc -多重比較検定 多重比較検定は、独立した群の群間比較のための検定である。

反復因子のための多重比較検定

 多くの場合は、ANOVAで有意差があれば、多重比較検定を行う。
ANOVAで有意差が出なくても、多重比較検定で有意差が出ることがある。

ANOVAは、F統計量を用いる検定である。
 F統計量を用いる多重比較は、前もってANOVAをしなければいけない。
 ┗ANOVAで有意差が出なければ、F統計量を用いる多重比較でも、有意差は出ない。
 ANOVAで有意差が出なくても、F統計量を用いない多重比較では、有意差が出ることがある。
 ┗F統計量を用いない多重比較は、前もってANOVAをしなくても良い。
F統計量を用いる多重比較
  Scheffe, Games/Howell, Fisher PLSD
F統計量を用いない多重比較
  Dunnet, Tukey-kramer, Bonferroni/Dunn
 
 ┏ANOVA有意差あり F統計量を用いる多重比較
 ┃ F統計量を用いない多重比較
 ┃有意差なし F統計量を用いない多重比較
 ┗ANOVAをせずにF統計量を用いない多重比較
ある群間に注目する場合は、ANOVAは用いず最初から多重比較検定をすればよい。

 検定対象の組み合わせ
2群ごとの比較 : 対照群と各群との比較する検定--
Dunnet, Bonferroni/Dunn
対比較 : すべての2群同士を比較する検定---------
--
Tukey-kramer(Steel-Dwass法, Games/Howell
Fisher PLSD, Student-Newman-Keulis)
対比 : すべての対比を比較する検定------------------
(Scheffe)



  比較 ANOVA 各群のn 正規分布 分散  
対照群と各群を比較する検定
 Dunnet法
  non-parametric
2群間
比較
ANOVA
不要
制限なし 制限なし 制限なし Tukey-kramer法などと比べて、有意差が出やすい
Stat Vierの場合、比較する群は一番最後の列に書く!
すべての2群同士を比較する検定
 Tukey-Kramer法
  parametric
対比較 ANOVA
不要
制限なし 正規分布 等分散 もっとも一般的な方法:検出力が高い!
Tukey法は、各群のデータ数(n)が一致する必要があるが、
 Tukey-Kramer法は一致しなくても良い。
群が多いときは、BonferoniDunn法より有意差が出やすい
群が少ないときは、Bonferroni/Dunn法より有意差が出にくい
 Bonferroni/Dunn法
  parametric
non-parametric
2群間
比較
ANOVA
不要
一致 正規分布 等分散 多重比較検定としてほとんどの場合に使用できる。
ノンパラメトリックでも使える。
検定全体の有意水準を検定数で割ることによって、第一種の過誤を調整する方法
群が多い場合などは、有意差が出にくい
5群以上では検出力が落ちる。
 Steel-Dwass法
  non-parametric
対比較 non-para
不要
制限なし 制限なし 制限なし Tukey-Kramer法のノンパラ版
検出力が高く、有意差が出やすい
 Games-Howel
  non-parametric
対比較 non-para
必要
n>6 制限なし 制限なし 適応範囲が広く、非常に頑健性がある
有意差が出にくい
すべての対比を比較する検定
 Scheffe法
  non-parametric
対比 non-para
必要
制限なし 制限なし 制限なし n個の各群におけるすべての対比の中で、有意なものをさがす検定。
適用範囲は広く頑強があるが、有意差は出にくい。
比較したい興味のある群が限定されている場合は、
  Dunnet法やTukey-Kramer法などを使う方がよい。
 ■第一種の過誤を起こす可能性があるのであまり使わない方がよい(?)検定
 Fisher's PLSD法
  Fisher's Protected Least
  Signicicant Difference

  parametric
対比較 ANOVA
必要
一致 必要 必要 ・計算が比較的簡単。多重t統計量を用いる。
・4群以上では使用してはいけない
・有意差が出やすい
・第1種の過誤を起こす可能性があるので、ANOVAで「有意差がある」時に限って用いる。
 Student-Newman-Keuls法
  parametric
対比較 ANOVA
必要
一致 必要 必要 ・ステップワイズ法
(すべての群の平均値を、大きさの順に並び替え、差が大きい組み合わせから順に検出する手法)
・検出力の高いく、有意差が出やすい
・全体の危険率は指定した有意水準を上回るため、
 単独では使用すべきではない。


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