分散分析:ANOVAとは | |
*分散分析には2つ以上の変数間の相違を、全体的または同時に、さらに変数を組み合わせて検討する。 *全体的な相違が認められた場合、どこに相違があるのかも検討する。 | |
↓ | すべての群を比較するのではなく、要因による効果を検定する。 従って、どの群とどの群の平均値が有意差があるかはわからない。→多重比較検定 |
↓ | 分散を分析するのではなく、分散を用いて、多群の平均値を分析する検定法である。 |
↓ | 分散分析には、要因分散分析と反復測定分散分析とがある。 |
↓ | 要因が2つ以上ある場合は、主効果だけではなく、複数の要因による交互作用を検定する。 |
↓ | 個々のデータを変動させている要因を分解し、分散分析表を作成して検定する。 |
↓ | 要因変動と誤差変動から、F値をもとめる。 |
↓ | F値は、フィッシャーのイニシャルである。 |
要因配置 |
主効果 main effect
|
交互作用 interaction |
A-B間、A-C間、B-C間で、p値=0.05としてStudent's t-testを行った場合、
「少なくとも一つが有意差あり」となる確率は、
1-(1-0.05)*(1-0.05)*(1-0.05)で計算され、p値=0.14となってしまう。
5%の危険率で検定したつもりだが、危険率が上昇し、甘く評価してしまうことになる。
←→第1種の過誤
◎ | 比較したい群が3群以上ある場合 | ||||||||||||||||||||
|
← | ANOVAの前提条件
|
分散分析は、要因で分類された群を比較する検定法。↓対応したデータに対する考慮
要因
分散分析=対応のないt検定を3群以上に拡張したもの。
=データ間に対応がない場合に行う検定。
データ間に対応がある場合でも、対応は考慮せずに行う検定。
=群間変動と群内変動のを比較する。
[要因による変動] > [誤差変動]----有意差あり!反復測定
分散分析=対応のあるt検定を3群以上に拡張したもの。
=データの対応を考慮して行う検定。↓
=同一群に加えられた、処理(反復測定要因)によって生じる変動を検定する。
[反復測定要因変動] > [実験個体誤差変動]----有意差あり!
*「対応のある・・・・検定」は、データの対応を考慮して行う検定。
*対応のあるt検定は、2群を比較するのではなく、群に加わった処理により差が生じたかを、データの対応を考慮して検定する。↓反復測定分散分析も
- 処理前の群内のデータは均一かもしれないが、個体差が大きいかもしれない。
→元々個体差が大きい場合には、処理後の個体のばらつきは、処理前のばらつきの範囲内かもしれない。
→しかし、一定量、一定方向に変化が生じた場合には、その変化量=差を比較すれば、差を検定できる 。
[処理前群の平均値] と [処理後群の平均値] の2標本t検ではない。 [(処理後の値)ー(処理前の値)]の平均値=「差」の平均値の1標本t検定 - 差を比較するので、個体差は無視できる。
- 従って「対応のないt検定」ではとらえられない変化を、「対応のないt検定」でとらえることができる。
=「対応のないt検定」は、「対応のないt検定」より有意差が出やすい。↓多重比較検定
- 1標本に加わった処理の効果を、データの対応を考慮して、経時的に評価する。
- 標本の個体差が大きく、処理の効果が小さい場合に、要因分散分析では有意差がでない場合でも、反復測定分散分析で、有意差が出る場合がある。
- 1標本中のデータがばらついていても、変化に一定の傾向があれば、反復測定分散分析で、その「差」が検出できる。
- 比較のための誤差変動は、要因分散分析のものよりも、反復測定分散分析のものは小さい。
→群内のデータのばらつきを差し引いているので、変化をとらえるとことができる。- 各群の群内のデータのばらつきが小さい場合には、2つの検定方法の差はなくなる。
---要因分散分析のほうが検出力は弱いので、多重比較検定で第1種の過誤をおかす心配はない。*「対応のあるデータ」は、単に同一個体のデータということではない。
- 反復測定分散分析後のポストホックテストとして、通常の多重比較検定は行えないということになっている。
---通常の多重比較検定は、対応したデータを配慮しない検定であるからである。
→データのばらつきが大きい場合には、対応したデータを考慮しないポストホックテストでは、差が充分検出できにくいのだろう。
→データのばらつきが小さい場合には、要因分散分析との差も小さいので、通常の多重比較検定も行っても、正しい評価かもしれない。
- StatViewの最終版では、Factorial ANOVAとRepeated measures ANOVAの多重比較検定の結果が異なる。
StatViewでは、多重比較検定でも、データの対応を考慮した計算になっているのだろうか?
「反復測定した各データ」から「コントロール値」を差し引いた「変化量」は、
個体差によるばらつきが取り除かれているので、データは独立していると考えられる。
「同一データの反復測定」→反復測定分散分析
「同一データの変化量の検定」→要因分散分析
主効果だけではなく、複数の因子に「交互作用」があるかどうかも検定する。
主効果:各要因の単独の効果
交互作用:要因が組み合わさって生じる効果---相乗作用、相殺作用
要因Aの効果が、要因Bの効果に影響するかどうか?
┏交互 作用なし --- 各群が同様に変動傾向を持つ。→→→要因ごとの多重検定 注) ┗交互 作用あり --- 各群の変動が異なる。→→→→→→すべての群の多重検定 ┣相乗作用 --- 右上がりまたは右下がりの度合いが群によって異なる。 ┗相殺作用 --- 右上がりの群と右下がり群が存在する。 注)交互作用がない場合には、他の要因によって分類される群と比較する必要が生じない。
|
|
群を分ける因子factor:
独立変数 independent variable
測定された値:
従属変数 dependent variable
要因:factor 水準:
被験者間要因:between-subjects factor
被験者内要因:within-subject factor
ブロック内要因:within-block factor
固定効果:fixed effect
変量効果:random effect
F値= [要因変動]の平均平方和
--------------------
[誤差変動]の平均平方和
One-factor factorial ANOVA
自由度 平方和 平均平方和 F値 p値 ラムダ 検出力 [要因A] ・ ・ VA VA/VR
・ ・ ・ ←要因Aのp値 残差 ・ ・ VR
Two factor factorial ANOVA
自由度 平方和 平均平方和 F値 p値 ラムダ 検出力 [要因A] ・ ・ VA VA/VR
・ ・ ・ ←要因Aのp値 [要因B] ・ ・ VB VB/VR
・ ・ ・ ←要因Bのp値 [要因A]*[要因B] ・ ・ VA-B VA-B/VR
・ ・ ・ ←交互作用のp値 残差 ・ ・ VR
One -factor repeatd measures ANOVA
自由度 平方和 平均平方和 F値 p値 ラムダ 検出力 [対照] ・ ・ VR1 カテゴリー[反復測定因子B] ・ ・ VB VB/VR2
・ ・ ・ ←反復測定のp値 カテゴリー[反復測定因子B]*[対照(群)] ・ ・ VR2
Two-factor repeatd measures ANOVA
自由度 平方和 平均平方和 F値 p値 ラムダ 検出力 [群間因子A] ・ ・ VA VA/VR1
・ ・ ・ ←群間のp値 [対照(群)] ・ ・ VR1 カテゴリー[反復測定因子B] ・ ・ VB VB/VR2
・ ・ ・ ←反復測定のp値 カテゴリー[反復測定因子B]*[群間要因A] ・ ・ VB-A VB-A/VR2
・ ・ ・ ←交互作用のp値 カテゴリー[反復測定因子B]*[対照(群)] ・ ・ VR2
要因分散分析 反復測定分散分析 2要因 要因A) 群間因子 群間因子 要因B) 群間因子 反復測定因子 [全体変動]
観測値全体の
ばらつき[群間変動]
+ [群内変動][個体間変動]
+ [実験個体変動][要因A変動]+ [要因B変動]
+ [交互作用変動] + [誤差変動][個体間変動]
+ [実験個体要因変動] + [実験個体誤差変動]+ [交互作用変動][要因A変動] [要因A変動]
(One factorの場合は[群間変動])[個体間変動] [要因B変動] [要因B変動] [実験個体要因変動]=[反復測定変動] 要因A)のための
[誤差変動][群内変動]=[誤差変動] [実験個体誤差変動] 要因B)のための
[誤差変動][群内変動]=[誤差変動] [実験個体変動]ー[実験個体誤差変動] 交互作用変動のための
[誤差変動][群内変動]=[誤差変動] [実験個体変動]ー[実験個体誤差変動]
データ
|
基本統計量
|
自由度 | 平方和 | 平均平方 | F値 | p値 | ラムダ | 検出力 | ||
時間経過 | 2 | 56 | 28 | 6 |
| 12 | 0.746 | |
残差 | 9 | 42 | 4.667 |
時間経過 =群間変動 | 自由度 | =[群数]-1 | 3-1=2 |
平方和 | ={([群間平均]-[全平均])2の和}x各群のn | {(3-5)2+(4-5)2+(8-5)2}x4=56 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 56/2=28 | |
F値 | =[時間経過の平均平方]/[残差の平均平方] | 28/4.667=6 | |
残差 =群内変動 | 自由度 | =[群数]x(n-1) | 3x(4-1)=9 |
平方和 | =([個体の観測値]-[群平均])2の和 | {(3-3)2+(7-4)2+(11-8)2=18 {(2-3)2+(4-4)2+(6-8)2=5 {(2-3)2+(1-4)2+(6-8)2=14 {(5-3)2+(4-4)2+(9-8)2=5 18+5+14+5=42 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 42/9=4.667 |
自由度 | 平方和 | 平均平方 | F値 | p値 | ラムダ | 検出力 | ||
対照 | 3 | 30 | 10 | |||||
カテゴリー時間経過 | 2 | 56 | 28 | 14 |
| 28 | 0.958 | |
カテゴリー時間経過*対照 | 6 | 12 | 2 |
対照 =[実験個体変動] | 自由度 | =[各群のn]-1 | 4-1=3 |
平方和 | ={([群内平均]-[全平均])2の和}x群数 | {(7-5)2+(4-5)2+(3-5)2+(6-5)2}x3=30 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 30/3=10 | |
カテゴリー 時間経過 =[実験個体要因変動] | 自由度 | =[群数]-1 | 3-1=2 |
平方和 | ={([群間平均]-[全平均])2の和}x各群のn | {(3-5)2+(4-5)2+(8-5)2}x4=56 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 56/2=28 | |
F値 | =[時間経過の平均平方]/[残差の平均平方] | 28/2=14 | |
カテゴリー 時間経過 *対照 | 自由度 | =[残差の自由度]-[対照の自由度] | 9-6=3 |
平方和 | =[残差の平方和]-[対照の平方和] | 42-30=12 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 12/2=6 |
データ
|
時間
|
薬物
|
基本統計量
|
自由度 | 平方和 | 平均平方 | F値 | p値 | ラムダ | 検出力 | ||
時間 | 2 | 208 | 104 | 33.429 |
| 66.856 | 1 | |
薬物 | 1 | 24 | 24 | 7.714 |
| 7.714 | 0.755 | |
時間*薬物 | 2 | 16 | 8 | 2.571 |
| 5.143 | 0.438 | |
残差 | 18 | 56 | 3.111 |
時間 (列間変動) | 自由度 | =[時間の群数]-1 | 3-1=2 |
平方和 | ={([群間平均]-[全平均])2の和}xn | {(3-6)2+(5-6)2+(10-6)2}x8=208 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 208/2=104 | |
F値 | =[時間の平均平方]/[残差の平均平方] | 104/3.111=33.429 | |
薬物 (行間変動) | 自由度 | =[薬物の群数]-1 | 2-1=1 |
平方和 | ={([群間平均]-[全平均])2の和}xn | {(5-6)2+(7-6)2}x12=24 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 24/1=24 | |
F値 | =[時間の平均平方]/[残差の平均平方] | 24/3.111=7.714 | |
時間*薬物 | 自由度 | =([時間の群数]-1)x([薬物の群数]-1) | 2x1=2 |
平方和 | =[総変動]-[時間変動]-[薬物変動]-[誤差変動] | 304-208-24-56=16 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 16/2=8 | |
F値 | =[時間の平均平方]/[残差の平均平方] | 8/3.111=2.572 | |
残差 =群内変動 | 自由度 | =[群数]x(n-1) | 6x(4-1)=18 |
平方和 | =([個体の観測値]-[群平均])2の和 | {(3-3)2+(7-4)2+(11-8)2=18 {(2-3)2+(4-4)2+(6-8)2=5 {(2-3)2+(1-4)2+(6-8)2=14 {(5-3)2+(4-4)2+(9-8)2=5 {(2-3)2+(4-6)2+(12-12)2=5 {(3-3)2+(5-6)2+(13-12)2=2 {(3-3)2+(7-6)2+(11-12)2=2 {(4-3)2+(8-6)2+(12-12)2=5 18+5+14+5+5+2+2+5=56 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 56/18=3.111 | |
総和 | 平方和 | =([個体の観測値]-[群平均])2の和 | {(3-6)2+(7-6)2+(11-6)2=35 {(2-6)2+(4-6)2+(6-6)2=20 {(2-6)2+(1-6)2+(6-6)2=41 {(5-6)2+(4-6)2+(9-6)2=14 {(2-6)2+(4-6)2+(12-6)2=56 {(3-6)2+(5-6)2+(13-6)2=59 {(3-6)2+(7-6)2+(11-6)2=35 {(4-6)2+(8-6)2+(12-6)2=44 18+5+14+5+5+2+2+5=304 |
自由度 | 平方和 | 平均平方 | F値 | p値 | ラムダ | 検出力 | ||
薬物 | 1 | 20.167 | 20.167 | 3.524 |
| 3.524 | 0.345 | |
対照(群) | 6 | 34.333 | 5.722 | |||||
カテゴリー時間 | 2 | 212.333 | 106.167 | 76.440 |
| 152.880 | 0.958 | |
カテゴリー時間*薬物 | 2 | 16.333 | 8.167 | 5.880 |
| 11.760 | 0.778 | |
カテゴリー時間*対照(群) | 12 | 16.333 | 1.389 |
薬物 | 自由度 | =[薬物の群数]-1 | 2-1=1 |
平方和 | ={([群内平均]-[全平均])2の和}x群数 | 20.167 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 20.167/1=20.167 | |
F値 | =[薬物の平均平方]/[対照(群)の平均平方] | 20.167/5.722=3.524 | |
対照(群) | 自由度 | 6 | |
平方和 | ={([群内平均]-[全平均])2の和}x群数 | 34.333 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 34.333/6=5.722 | |
カテゴリー時間 | 自由度 | =[時間の群数]-1 | 3-1=2 |
平方和 | ={([群間平均]-[全平均])2の和}x各群のn | 212.333 | |
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 212.333/2=106.167 | |
F値 | =[時間の平均平方]/[カテゴリー時間*対照(群)の平均平方] | 106.167/1.389=76.440 | |
カテゴリー時間 *薬物 | 自由度 | =([時間の群数]-1)x([薬物の群数]-1) | 2x1=2 |
平方和 | 16.333 | ||
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 16.333/2=8.167 | |
F値 | =[カテゴリー時間*薬物の平均平方] /[カテゴリー時間*対照(群)の平均平方] | 8.167/1.389=5.880 | |
カテゴリー時間 *対照(群) | 自由度 | =([時間の群数]-1)x([薬物の群数]-1) | 12 |
平方和 | 16.333 | ||
平均平方 | =[平方和]/[自由度] | 16.333/12=1.389 |
|