1■対応のない2群の比較検定---独立した2群のデータに有意差があるか?(---棒グラフが適)
┏正規性を示し、かつ等分散-----Student t-test:スチューデントのt検定←----parametric ┣正規性を示すが、等分散でなくても良い-----Welch's t test:ウェルチのt検定 ┗正規分布、等分散でなくても良い-----Mann-Whitney's U test:マン・ホイットニ検定←----non-parametric
=Wilcoxon rank sum test(注:Wilcoxon signed rank testではない。)
◎ t-test---帰無仮説が正しいと仮定した場合に、統計量がt分布に従うことを利用する統計学的検定法の総称である。 ◎ Student t-test スチューデントのt検定---平均値を比較して検定する。
- 正規性を示し、かつ等分散であるデータの対応のない2群の比較検定
- William Sealy Gosset(1876/6/13〜1937/10/16, 英国の統計学者、醸造技術者)が雇用者であるギネスビール社に本名使用を許されずに、Student というペンネームで最初の論文を発表した(1908年)ことから、Student t-testと呼ばれる。
- Studentのt分布にしたがう値がt値で、自由度(独立変数の数)を考慮してtという統計値を採用した。Gossetは実名を出したくなかったので、後に、Sir Ronald Aylmer Fisher(1890/2/17〜1962/7/29, 英国の統計学者、進化生物学者、遺伝学者)が分布を定式化したときに使った t の文字から、t 分布と呼ばれるようになった。
◎ Welch's t test:ウェルチのt検定---平均値を比較して検定する。
- 2標本t検定と同様に平均値の差の検定方法
- スチューデントのt検定の改良型であり、非等分散を持つ可能性のある2つの標本に用いることが意図されている。
- Bernard Lewis Welch (1911〜1989/12/29 英国の統計学者)
- ウェルチ=アスピン検定(Welch-Aspin Test)とも呼ばれる。
- ウェルチのt検定は、ベーレンス=フィッシャー問題の近似解である。
◎ Mann-Whitney's U test---中央値を比較して検定する。 * Mann-Whitney's U testは、データの分布形態を問わずに使うことができる。
しかし、データが正規分布とみなすことができる場合は、Student t-testのほうが、有意差が出やすい。* Mann-Whitney's U testは、有意水準=5%で検定する場合は、n>4以上
有意水準=10%で検定する場合は、n>5以上* Mann-Whitney's U testで、2群とも、n<20 の場合、U値の有意点(両側確率)が表示される。
計算されたU値が有意点より小さい時、2群間に有意差があると判定する。* Mann-Whitney's U testで、「有意差あり」なら「確実に有意差がある。」
しかし、「有意差なし」でもt検定で有意差が検出されることがある。
そういう場合は、「確実に有意差なし」とは言えず、「有意差については断言できない」という判定になる。* 分布の片側に大きな飛び値があったり、正規分布より両裾の広がりが大きい分布かどうかは、ヒストグラムを描いて目で確認することが重要。
例1) 「melittin投与群」と「apamine投与群」の投与10分後の投与側平均皮膚温上昇度の比較。 例2) melittinを「オスラット」と「メスラット」への投与10分後の投与側平均皮膚温上昇度の比較。 例3) melittin投与10分後の「投与側」と「非投与側」の平均皮膚温上昇度の比較。
MEL APA 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 StatView
Student t
(列挙データ形式)
→実験データ形式
にする方が無難!
toxin mel apa 1 ・ ・ 2 ・ ・ 3 ・ ・ 4 ・ ・ 5 ・ ・ 6 ・ ・ 7 ・ ・ Student t
(実験データ形式)
toxin temp カテゴリー 実数 1 mel ・ 2 mel ・ 3 mel ・ 4 mel ・ 5 mel ・ 6 apa ・ 7 apa ・ 8 apa ・ 9 apa ・ 10 apa ・ Mann-Whitney's U
(実験データ形式)
toxin temp カテゴリー 実数 1 mel ・ 2 mel ・ 3 mel ・ 4 mel ・ 5 mel ・ 6 apa ・ 7 apa ・ 8 apa ・ 9 apa ・ 10 apa ・
Student's t Mann-Whitney's データシート 列挙データ形式
コンパクト変数実験データ形式
カテゴリー変数実験データ形式
カテゴリー変数解析 2群の比較
(対応なし)2群の比較
(対応なし)ノンパラメトリック
分析解析の実行 t検定
(対応なし)
平均値の差:0
両側t検定
(対応なし)
平均値の差:0
両側Mann-Whitney
U検定変数一覧 ▲toxin:
選択→G
Category for
選択→Xtoxin:
選択→G
temp:
選択→Xtoxin:
選択→G
temp:
選択→X
* Student's t検定のデータシートは、列挙データ形式と実験データ形式を選べる。
しかも列挙データ形式では、コンパクト変数にする。
( [3群以上の比較]では、対応のあるRepeated measures ANOVAでコンパクト変数とする。
[2群比較]では、対応のあるPaired t-testではなく、対応のないStudent's t検定でコンパクト変数とする。)
混乱を避けるためには、
対応のない2群の検定---実験データ形式、
対応のない2群の検定---列挙データ形式 と使い分けた方が無難かもしれない。
2■対応のある2群の検定 ---同一個体の2種類の観測値を比較検定!
あるいはマッチングさせた個体の観測値の差(---折れ線グラフが適)→解説 ---同一個体に、ある刺激による変化(=差)に有意差があるか?
→parametric--- Paired t-test:対応のあるt検定(1標本t検定) →non-parametric--- Wilcoxon signed-rank test:ウィルコクサン符号付順位検定
◎ Paired t-test---対応するデータの差の平均値が0からどの程度偏っているかを検定する方法である。
「平均値の差」ではなく、「差の平均値」=変化量が同じかどうかを検定する。* Paired t-testは、頑強性がある。
nが多いときには、「対応するデータの差が正規分布」でなくても、使うことができる。
極端な値や離散値であり、明らかに前提条件(正規分布に従う連続変数)から離れている場合を除いて、問題が生じることは少ない。* Wilcoxon signed-rank testは、データの分布形態を問わずに使うことができる。
しかし、データが正規分布みなすことができる場合は、Paired t-testのほうが、有意差が出やすい。* Wilcoxon signed-rank testは、有意水準=5%で検定する場合は、n>6以上
有意水準=10%で検定する場合は、n>8以上* Wilcoxon signed-rank testで、「有意差あり」なら「確実に有意差がある。」
しかし、「有意差なし」でもt検定で有意差が検出されることがある。
そういう場合は、「確実に有意差なし」とは言えず、「有意差については断言できない」という判定になる。* 分布の片側に大きな飛び値があったり、正規分布より両裾の広がりが大きい分布かどうかは、ヒストグラムを描いて目で確認することが重要。
例1) 「melittin投与前」と「melittin投与10分後」の投与側の平均皮膚温の比較
*動物、被検者群の背景因子(性別、齢、体重、正常か異常かなど)に差がないことが前提。
before after 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 度 StatView
┌Paired t-test
└ Wilcoxonの符号付順位検定
before after 1 ・ ・ 2 ・ ・ 3 ・ ・ 4 ・ ・ 5 ・ ・ 6 ・ ・ 7 ・ ・
Paired t-test Wilcoxonの符号付順位検定 データシート 列挙データ形式 列挙データ形式
有意水準5%で検定する時:n>6
有意水準10%で検定する時:n>8解析 2郡の比較(対応あり) ノンパラメトリック分析 解析の実行 t検定(対応あり)
仮説平均値の差:0
両側Wilcoxonの符号付順位検定 変数一覧 before:選択→X
after :選択→Xbefore:選択→X
after:選択→X
|