妊婦のアドヒアランスを推進する冷え症改善支援モデルの開発
JSPS 科研費16H05589の助成を受けて行った研究です。(H28年~H31年)
研究の概要:
冷え症は、わが国の妊婦の約7割に存在する異常分娩のリスクファクターで、その改善が焦眉の課題です。研究代表者らは先行研究にて、妊婦の日常生活行動の変容と継続が有意に冷え症改善につながる一方で、妊婦単独での継続は難しいことを推定いたしました。したがって、冷え症改善支援において妊婦のアドヒアランスを促進することが必須であると考えました。アドヒアランスとは、「患者自身が積極的に治療に参加し、治療方針を自己決定すること」であり、患者が主体的に関わることは治療成功の鍵であるとされています。そして、妊婦のアドヒアランスの促進で重要なことは、助産師と妊婦の協同ならびに妊婦自らが実施内容を決定することです。そのため、本研究ではまず、妊婦のアドヒアランス促進を主軸に
- 冷え症改善の統合セルフケアプログラムの開発を行う
- 1.の内容を組み入れた冷え症改善支援モデル「冷Yale」の開発を行う
- モデルの実施群と対照群の2群比較による検証と構築
それらを通して、より効果的かつエビデンスに基づいた、統合的な冷え症改善対策の普及を目指します。
研究目的
①着想に至った経緯
冷え症はアジア系民族に特有の概念で、妊婦にとってはハイリスクの一因となっています。異常分娩回避のため、冷え症改善は喫緊の課題であります。しかし、多くの産科施設では、助産師は冷え症改善にむけたケアを実施しているものの、実践知が基盤であることが多く、エビデンス基づいた一貫性のあるケアは実施することは難しい現状があります。
研究代表者らは、一貫して先駆的かつ系統的に妊婦の冷え症の研究を、2008年度から9年間にわたり構築してきました。冷え症改善においては、妊婦が継続してセルフケアする事が要になります。しかし、日々の生活の中でセルフケアを継続することが困難であると訴える妊婦が多くいることが分かりました。また、冷え症改善パックは「運動、保温、つぼ押し」の3つのセルフケアに限局されており、その実施は受動的であったことから、セルフケア内容の紹介のみでは、行動変容には結びつかず、行動変容を即すため助産師が「ケアを共に創る」事が必要であると分かりました。
以上より、一時的な変化ではなく、習慣化し生活に根ざすためにも、冷え症改善の統合セルフケアプログラムを開発し、そのプログラムを基に、「助産師が妊婦のアドヒアランスを促進させる支援モデル『冷Yale』の開発・実施」をすることといたしました。
②本研究の目的
妊婦の効果的な冷え症改善のため、冷え症改善の統合セルケアフプログラムを開発し、その統合セルフケアプログラムを基盤として妊婦のアドヒアランスを促進する支援モデルを構築し、助産師が支援する郡と、通常ケア郡との2郡比較により、継続的かつ効果的な支援モデル「冷Yale」が妊婦の冷え症を改善するかを検証することを目的とします。
研究プログラム
4年間の研究計画
基盤となる先行研究
- 「Researchmap」をご参照ください。
http://researchmap.jp/7000003080