研究室について

教授挨拶

名古屋大学 国際保健医療学・公衆衛生学のホームページを訪れてくださり、ありがとうございました。これから研究者になることを目指している方、地域や国際保健の現場で公衆衛生の専門家になるための教育を受けたいと思っている方、医学部進学にあたって進路を考えている方、国際保健医療学・公衆衛生学の研究や活動のことを知りたい社会一般の方、あるいは既に本学に入学し配属する研究室(基礎医学セミナー)を検討している方などいろいろな立場、関心でご覧いただいていることと思います。これから研究者になることを目指している方には、研究の魅力、卒業生・修了者の多様な活躍の場、研究者としての心構え、毎日の生活や約束事について、公衆衛生の専門職を目指している方には修士課程公衆衛生学コースでの学びや修士論文研究について、医学部進学を目指している方には医学部で公衆衛生学を学ぶ意義や病気の予防の重要性について、社会一般の方には国際保健医療学・公衆衛生学の研究や活動を、それぞれこのホームページを通して知って頂ければと思います。

教授  八谷 寛

公衆衛生とは

「公衆衛生」を英語ではパブリックヘルス(public health)とかポピュレーションヘルス(population health)と言います。ちなみに単に衛生と言った場合はhygieneと訳すことが多く、衛生的という言葉のように環境面の清潔さや有害性の少なさを意味します。いずれにしても「公衆衛生」はパブリック(人々の)、あるいはポピュレーション(集団)の健康のことを言い、そのような「集団の健康状態」の悪化を防ぐための社会的な仕組みまでも意味しています。このような仕組みを作り、維持していくためには、集団の健康状態の変化を把握するとともに、変化を規定する要因(原因)を明らかにすること、そして悪化する要因を除去したり、逆に改善する要因を取り入れるような社会の仕組みを整えていく必要があります。公衆衛生学は、そのための方法論、法制度、人材育成など広範な内容を含む学問分野、活動領域です。
例えば、感染症や食中毒を診断した医師からの届出、感染症発生動向調査や死因統計により集団の健康状態の変化をモニタリングし、保健所や衛生研究所あるいは国立の研究機関における疫学調査で要因を明らかにすること、そして感染症であれば法律に基づいた措置、生活習慣病やがんなどの慢性疾患に対しては健診やがん検診などの予防のための制度などを行うといった社会の仕組みが公衆衛生であると言えます。
私たちは誰もが健康で文化的な生活を営む権利を有していることを日本国憲法は保障しており、そのための国の責務も規定しています。すなわち、国は医療や福祉、生活の保障を行うとともに公衆衛生の仕組みを整備し、運営していく必要があることも規定しています。公衆衛生は、生存権を保障する社会の仕組みの一つです。
なお、医師法の第一条には、「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」という医師の任務が謳われています。医師には一人一人の患者、相談者に真摯に向き合い、その生活の質の向上と幸福の追求を援助することだけでなく、健康問題の背景にある集団の健康状態の変化、社会の問題点を把握すること、その解決に取り組むことが求められていると言えます。またこのことが医学部で公衆衛生学を学ぶ理由であり目的になっていると思います。例えば、病院の中で患者が訪れるのを待って治療ができないと診断して終わるのではなく、病気の原因への対策や、早期発見の仕組みを考えたりすること、究極的にはより健康的な社会へと変革していく原動力となることが医師には求められていると言えます。 

公衆衛生学の学問としての重要性

公衆衛生は集団の健康状態の変化をとらえ、その原因を明らかにし、対策を行うものですが、その遂行には研究的視点を備えた実務者の育成が重要と言えます。公衆衛生学はそうした専門家育成教育の根幹となる学問です。また、医師法第一条で公衆衛生の向上及び増進が医師の責務であることが示されており、医学部学生にとっては、医師国家試験の最大の出題領域となっています。大学は、研究だけでなく、社会の中で公衆衛生活動を実践できる有為な人材を育成することを責務としています。

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研究室メンバー

研究室メンバー
- 教授八谷 寛
- 講師李 媛英
- 助教高田 碧
- 助教宋 澤安
- 大学院博士課程AKTER, Tahmina、洪 英在、HAMRAH, Mohammad Hassan、NUAMAR, Hanson Gabriel、福田 知里、王 爽、権藤 夏子
- 大学院修士課程史 志凌、日比野 瑞歩、杉山 怜菜、ENDALE, Baruck Tegegn、 PATHTHAMESTHRIGE, Shalini Enon Perera、西尾 七海、服部 優奈
- 客員研究者宇井 志緒利、川副 延生、GEBLEMARIAM, Lemlem Weldegrima、AL SHOAIBI, Abubakr、何 宇鵬、RAHMAN, K.M. Saif-Ur、金子 佳世、MAMUN, Razib
- 研究生佐藤 菊枝
- 事務員志賀 幾子、岩田 真佐江、植田 美帆、竹内 実穂
- 名誉教授豊嶋 英明、青山 温子

沿革

- 昭和24年公衆衛生学講座 設置
- 昭和40年医動物学講座 設置
- 平成11年大学院重点化により講座改編
- 平成11年公衆衛生学講座 → 社会生命科学講座 公衆衛生学分野・医学ネットワーク管理学分野
- 平成11年医動物学講座 (病理系より社会医学系に移管) → 社会生命科学講座 国際保健医療学分野・環境医動物学分野
- 平成16年国立大学法人化
- 平成16年環境医動物学分野を微生物・免疫学講座に移管
- 平成23年公衆衛生学分野と国際保健医療学分野を統合、医学ネットワーク管理学分野廃止
- 平成23年社会生命科学講座 国際保健医療学・公衆衛生学分野 設置

歴代教授

歴代教授
歴代教授

同門会

- 総会令和5年度総会 2023年11月12日(日)10:00~  ※終了しました
講演「2040年を見据えた医療提供体制」 内閣官房 内閣感染症危機管理統括庁 内閣審議官 鷲見学先生
- 追悼集山田信也先生追悼文集を作製しました。(2023年8月)
- 卒業生の進路藤田医科大学、UCSF(アメリカ)、Galway大学(アイルランド)、結核予防会など(2022年)
- 会員の皆様へ住所・勤務先など変更があった場合は、事務局までお知らせください。

名古屋大学 大学院医学系研究科 国際保健医療学・公衆衛生学教室 同門会事務局
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
 TEL: 052-744-2128
 FAX: 052-744-2131
 E-mail: intnl-h★med.nagoya-u.ac.jp
 (お問い合わせの際は、★を@マークに変更してお送りください。)

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