なかなか衝撃的なタイトルの書籍で、興味深く読ませていただきました。サブタイトルが示す【科学技術立国「崩壊」の衝撃】が示すような現象の、部分部分はこれまでも少なからず報道されていましたが、新しい情報を入れつつ、踏み込んだ取材がなされていました。私の見方では、どこかの誰か個人が悪さを働いているというよりは、日本国民の全体のムードというか、時代の空気に流されていくことで、こういう状況になってきているのだろうなと思いました。
身近な例でも
この書籍の主題とは別に、身近なところでは環境が厳しくなってきています。具体的にどういう集計なのか、わかりませんが10分の1というのが実態を反映している数字であれば、相当にゆゆしき状況です。
法改正で良くなるか?
Japanese Cancer Trial Network (JCTN)ではホームページで法改正への提言を訴えています。臨床研究法の制定には、一部の研究者らの不正がきっかけとなった側面があり、(元)研究者らが他研究者らの首を絞めている構図だったりします。科学コミュニティで、プロフェッショナルとしての自浄作用がうまく機能しなかったがために、法律で締め上げられたりするわけです。
それはさておき
私自身がかつて、観察研究のページで描いた内容もあっという間に時代遅れな感じになってしまいましたので、少し補足を。
QAの改訂1
QAの改訂で変わった点ですが、旧問51では、「診療の一環として」行えば、visitや検査の回数が増えても、通常行わないような検査であっても「観察研究」にできるように読めました。この旧問51に相当する新問1-11では、そのような読み方ができない形に改められました。(図は旧新の順です)
QAの改訂2
QAの改訂で旧問59に相当する新問1-12, 1-13ではおなじみ「軽微な侵襲」という言葉が消えました。「軽微な侵襲」も、施設によっては柔軟すぎる運用をやっていたのではないかという懸念もあり厳しくしたのか?とも勘ぐってしまいます。治験のバイオマーカー研究では、普通の感覚では軽微とは言い難い検体採取が必要で、かといって、観察研究としてやるとの治験や特定臨床研究にするのとでは手間が大いに変わります。(だからと言って適当でいいはずもなく)(図は順に旧新)
visitについては、負担が少ないのであればちょっと多めになる程度なら観察研究として実施できるようです。
バイオマーカー研究の位置づけ
2019.3.31版の事例集では、治験に付随するバイオマーカーの研究は「医薬品の安全性有効性をみる」わけではないので観察研究で良いということになったようです。
チェックリスト
この辺りをまとめたホームページでは、チェックリストが提供されています。
とりあえず、アップデートはこの辺で