ごあいさつ

「看護の教育的関わりモデル」を開発して30年になります。熟練看護師の教育事例を患者教育研究会メンバーで検討し、良質な看護実践を抽出して概念化し、概念に定義をつけ、概念間の関係を明確にしてモデル化し、理論構築してきました。構築したモデルや構成概念は、実践への適応や有効性に関して、公開講座や学術集会の交流集会、研修会にて実践の看護師の方々にご検討いただきました。「看護の教育的関わりモデル」研修をアクションとしたアクションリサーチも3か所にて実施し、経験的検証に関しては十分あると判断しております。
 モデルの理論構築プロセスは、山場を過ぎたような印象ですが、メンバーは固定していますので、思い込みもあるかと思います。そのため、Waker & Avantの理論構築の方法論から、理論の再構築、ブラッシュアップのための概念分析を行うことにしました。
 概念分析というと、看護系学会誌に掲載されている概念分析論文では、多くの論文の定義や意味内容から属性や帰結を抽出し、それを元に概念定義をしていく手法がとられています。しかし、Waker & Avantの概念分析では、理論構築や理論の再構築を目的としていますので文献数は非常に少ないという特徴があります。構築されて間がない新概念の定義等を再検討、再構築するためのものですから、看護領域では当該理論構築者の論文のみであるかもしれません。しかし、社会学・心理学・経済分野など幅広く概念の成り立ちを探り、辞書や一般書を含めて検討するWaker & Avantの分析方法は、新たな概念・理論の構築を促すと思われます。
 Waker & Avantの概念分析方法による新概念・理論の再構築、ブラッシュアップ結果は、日本糖尿病教育・看護学会誌に順次投稿しております。掲載されましたら皆様のお目に届くと思われますが、よくある概念分析の論文ではないので四苦八苦しております。しかし、その結果にはご注目ください。

2025年5月6日
患者教育研究会代表 河口てる子

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お知らせ

日本で開発された我が「看護の教育的関わりモデル」が中範囲理論集に掲載されました!

 

慢性看護の患者教育 表紙

『看護実践に活かす中範囲理論 第3版』 単行本 – 2023/12/1
野川 道子 (著, 編集), 桑原 ゆみ (著, 編集), 神田 直樹 (著, 編集)
メヂカルフレンド社
○看護の対象者や看護師の認識変容に関する理論
26看護の教育的関わりモデル(河口てる子、井上智恵、太田美帆)pp.484-514


23年間(1994年から2017年)の研究会での成果が、1冊の本になりました!

 

慢性看護の患者教育 表紙

患者教育研究会
代表/日本赤十字北海道看護大学 学長・教授 河口てる子編
熟練看護師のプロの技見せます!
慢性看護の患者教育
患者の行動変容につながる「看護の教育的関わりモデル」
メディカ出版,2018年1月

 

更新情報

2025年5月 ホームページ更新情報

ごあいさつ、患者教育研究会の概要を更新し、活動内容を追加しました

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