脳外科医 澤村豊のホームページ

様々な脳腫瘍や脳神経の病気について説明しています。

頭蓋骨膜洞 sinus pericranii

大まかなこと

  • 赤ちゃんの頭部がプクッとふくれる病気です
  • 腫瘍と勘違いされることがあります 
  • 横になるとふくれますが,起き上がるとへっこみます
  • 軟らかいもので数センチくらいです
  • 中には血液(静脈血)が入っていますが,まれに髄液(脳の中の水)が入っているものもあります
  • 横になると静脈圧や髄液圧が高くなるのでふくれるのです
  • 治療は簡単なので心配しないでもいいです
  • 静脈血が溜まっている時には,頭蓋骨に小さな孔が開いているのでそれを塞ぎます
  • 髄液が入っている時には,硬膜に小さな孔が開いているのでそれを塞ぎます

症状

 

赤ちゃんを寝かせると,頭皮の一部がプクッとふくれます 。右の例では2つの頭蓋骨膜洞があり,周囲に頭皮の単純性血管腫を伴っています。

直接穿刺による造影所見

頭蓋骨膜洞の大部分は骨膜に発生した血管腫です。下の4例はいずれも血管腫でした。

 左側は最も多い頭蓋骨内の板間静脈を介して上矢状静脈洞に血液が流入するタイプです。右側は横静脈洞に直接流入するタイプです。

板間静脈からだけ導出されて硬膜静脈洞が描出されないタイプです

治療と手術所見

  • 何もしないでも自然に治るものもあります
  • 治らないものは血管腫を摘出しますが単純で簡単な手術です

これは35年くらい前に経験した古い例です。頭皮を大きく開けすぎていますが全体像がよく見えます。骨膜と連続して血管腫があるのが観察できます。
こんなに大きく頭皮切開しなくても,血管腫の直上を直線切開すれば簡単に摘出できるものです。頭蓋骨上の孔 orficeは骨蝋で塞げます。 

 

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