学会誌

座談会

話者プロフィール

青松 棟吉
名古屋大学医学部附属病院総合診療科助教．長野県出身．2000年聖マリアンナ医科大学卒業．2012年Maastricht University, the Master of Health Professions Education修了．長野厚生連佐久総合病院での初期研修修了後，同院総合診療科，名古屋大学総合診療科，名古屋大学地域医療教育学講座を経て2013年より現職．

大谷 尚
名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授・副研究科長．東京都出身．筑波大学大学院博士課程教育学研究科中退．長崎大学助手，講師，名古屋大学助教授を経て現職．教育研究者・質的研究者として医学教育研究，臨床研究に関わる．質的研究方法論研究者.・質的データ分析手法SCAT 開発者として，質的研究とSCATのセミナー・ワークショップをこれまで20数回開催している．本学会医学教育マスターコース検討委員会委員，医学教育専門家育成検討委員会委員を経て現在同WGアドバイザー．長崎医療センター(2007-2009)・名古屋医療センター(2009-)・長崎大学病院(2013-)臨床研修管理委員会委員．長崎大学「大学病院連携型高度医療人養成推進事業GP」委員(2008-2013)．東京慈恵会医科大学 「プライマリケアのための臨床研究者育成プログラム」講師(2007-)．広島大学大学院医歯薬保健学研究科・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・三重大学大学院医学系研究科非常勤講師(2014-)．1991-1992，2005-2006に客員研究員としてトロント大学に滞在．

司会
西城 卓也
岐阜大学医学部医学教育開発研究センター，本誌編集委員

安川 康介*1　野村 恭子*2

要旨：
近年, 女性医師の勤務継続支援に関しては活発に議論されるようになってきたが，ジェンダー平等へ向けたより包括的な議論は不十分である．本稿では，日本の医学界におけるジェンダー不平等をめぐる現況について概観し，ジェンダー平等に向けた課題について考察する．医学界のジェンダー不平等の主な原因として，性役割分業を前提とした医師の長時間・不規則な勤務体制，女性医師の家庭と仕事の二重負担，女性に対する固定観念・偏見・差別等があげられる．女性であることが，医師として不利にならない労働環境を構築するために，ジェンダー平等へ向けた取組みが必要である．
キーワード：ジェンダー，女性医師，性役割分業，ジェンダー平等，男女共同参画

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*1 ベイラー医科大学内科・感染症科，Section of Infectious Diseases，Department of Medicine, Baylor College of Medicine
*2 帝京大学医学部衛生学公衆衛生学教室, 帝京大学女性医師・研究者支援センター，Department of hygiene and public health, Teikyo University School of Medicine, Teikyo University Support Center for Women Physicians and Researchers
受付：2013年12月2日，受理：2014年6月15日

奈良 信雄*

要旨：
国土の広いカナダでは地域医療を重要な課題であるため，実践的な医療ができる家庭医の育成を目指している．臨床実習を充実させ，医師国家試験に世界に先駆けてOCSEを導入させるなど工夫が見られる．医学部の教育はカナダ医学協議会が提唱する学修目標Objectivesに沿って行われ，かつ国家試験の出題範囲ともなっている．臨床実習の充実，医師国家試験の改革が喫緊の課題になっているわが国の医学教育に参考になる点が多い．
キーワード：カナダ医学教育

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*東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センター，Center for Education Research in Medicine and Dentistry, Tokyo Medical and Dental University
[〒113-8510　東京都文京区湯島1-5-45]
受付：2014年5月8日，受理：2014年5月23日

池山 貴也*1　椎間 優子*2　志賀 隆*3　武田 聡*4　土肥 聡*5　西崎 彰*2

要旨：
デブリーフィングは医療におけるシミュレーション教育の効果を明確かつ強固なものにするためにもっとも重要なステップである．デブリーフィングとは体験とその原因(why)を系統的に振り返って考えることである．デブリーフィング能力はトレーニングにより身につくものであり，実践とフィードバックにより向上するものである．DASH™ ハンドブックと評価表はデブリーフィングの能力を適切に評価し，さらに向上させるために作られたものである．
追加情報，評価表，連絡先は，http://www.harvardmedsim.org/dash.htmlにて入手可能である．
キーワード：デブリーフィング，フィードバック，シミュレーション

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*1 あいち小児保健医療総合センター，Aichi Children’s Health and Medical Center
[〒474-8710愛知県大府市森岡町尾坂田1番2]
*2 Children's Hospital of Philadelphia
*3 東京ベイ浦安市川医療センター，Tokyo Bay Urayasu Ichikawa Medical Center
*4 東京慈恵会医科大学，The Jikei University School of Medicine
*5 昭和大学医学部産婦人科学講座，Showa University School of Medicine
受付：2014年3月22日，受理：2014年5月23日

服部 良信*1　水野 美穂子*1　野々垣 浩二*1　小鹿 幸生*1
西尾 昌之*1　藤中 憲二*1　小西 靖彦*2　村岡 亮*3

要旨：
優れた臨床研修指導医の養成が必要で，指導医は臨床研修指導医講習会（講習会）の受講が必須である．平成25年6月の臨床研修運営委員会（委員会）で開催提案し，7月の委員会で否定された．理事長・病院長の指示で，9月の委員会で指導医のレベルの向上等を目的とした大同病院のスタッフ単独での開催を決定した．タスクホースは，チーフと院外講師を除き院内から選出し，予行会を3回，総合リハーサルを1回施行した．他の事務の協力を得て，平成26年2月に大同病院の第1回講習会を実施した．
単独開催により，臨床研修に対する意識改革ができ，受講者・タスク・事務方のレベルアップおよび良い人間関係の構築ができ，一体感が得られた．
キーワード：卒後臨床研修，臨床研修指導医，臨床研修指導医講習会

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*1 社会医療法人宏潤会大同病院臨床研修センター，Daido Hospital
[457-5811　愛知県名古屋市南区白水町9番地]
*2 京都大学大学院医学教育センター，Center for Medical Education Kyoto University
*3 国立国際医療研究センター，National Center for Global Health and Medicine
受付：2014年7月29日，受理：2014年7月31日