第39回日本がん看護学会学術集会

プログラム

指定演題

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会長講演

共に学び、共に創る
講  師
川村 三希子
(札幌市立大学 看護学部 教授)
座  長
荒尾 晴惠
(大阪大学大学院 医学系研究科 教授)
日  時 2月22日(土)9:30~10:00
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり

特別講演

PatientsからPersonへ
講  師
石垣 靖子
(北海道医療大学 名誉教授)
座  長
川村 三希子
(札幌市立大学 看護学部 教授)
日  時 2月22日(土)10:00~11:00
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 がん医療は治療法の進展、個別化医療の台頭などに伴い、複雑化・高度化し目まぐるしく変化しています。私たち看護師は、変化に対応できるよう最新の知識とエビデンスを修得し技術の向上に努めることが求められる。
一方で常に変わらないもの、それは看護の視点である。
看護の視点とは、その人をみつめるとき、生物としての人間(限りない共通性)という見方を一方にすえ、もう一方に「一人ひとり個性ある人間(限りない個別性)という見方をすえること、そしてこの両者をいついかなる時にも同時に思考していくところにある。
医療の方針決定にあたっては、生物学的な最善だけではなく、その人しか生きられない物語られるいのち(人生・生活)を尊重した決定がなされるよう、時には踏みとどまり、立ち止まる勇気が看護師には求められる。患者(patient)としてではなく、一人のかけがえのない存在(person)として、どのような状態になっても相手を遇することがケアの基盤となる。がん医療が進化・複雑化しても、がん看護を担う私たち看護師が変わらず持ち続けるべき視点についてあらためて考える機会としたい。 

教育講演

教育講演1

看護師が理解しておきたいセクシュアリティの基礎
講  師
原 ミナ汰
(NPO法人共生ネット 代表理事)
座  長
花出 正美
(がん研究会有明病院)
日  時 2月22日(土)11:15~12:15
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 セクシュアリティ(sexcuality)とは、人間の性のあり方全般を表す概念である。セクシュアリティには、生物学的性(sex)、性自認(gender identity)、性役割(gender)、性的指向(sexual orientation)といった要素がある。
多様な価値観を尊重し合う社会づくりが広がりつつある中で、医療の場において、セクシュアリティの多様性、性的マイノリティの権利や偏見に対する問題への関心は、高いとは言い難く、未着手の課題に気づけていない可能性があるのではないだろうか。
本講演では、セクシュアリティの基礎、LGBTQ やSOGIE などの多様なセクシュアリティのあり方、性的マイノリティが直面する固有の生きづらさ、強さ、また特に医療の場で当事者が直面する困難などについて概説していただく。
そして、がん医療の場において、患者やパートナーのセクシュアリティの多様性を理解し、適切な対応やケアについて考える機会としたい。

教育講演2

支持療法・緩和治療領域研究ポリシーの紹介とがん看護研究への活用
講  師
松本 禎久
(公益財団法人がん研究会 有明病院 緩和治療科 部長)
座  長
重野 朋子
(筑波大学附属病院 看護部)
日  時 2月22日(土)11:15~12:15
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 2階エンプレスホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 対象集団や治療介入、評価方法やエンドポイントを厳格に設定しやすいがん治療研究に比較し、副作用対策や生活の質等に主眼が置かれる支持療法・緩和治療領域の研究は、対象集団や評価方法、エンドポイント設定の自由度が高く、介入方法にもアウトカムにもばらつきが生じやすい。このような特性を持つ支持療法・緩和治療領域の臨床研究の推進のため、2018 年に「支持療法・緩和治療領域研究ポリシー(総論)」が国立がん研究センターから公開された。本教育講演では、同ポリシーの研究開発者を講師に招き、開発された研究ポリシーの概要と臨床研究への適用について学ぶ。同ポリシーへの理解を深めることで、介入方法や対象集団の設定、アウトカム評価にばらつきが生じやすいがん看護研究の推進や質向上に役立てたい。

教育講演3

がん看護に役立つ最近の緩和ケアのエビデンス:患者・家族の視点から
講  師
森田 達也
(聖隷三方原病院 緩和支持治療科 副院長)
座  長
田村 恵子
(大阪歯科大学大学院 看護学研究科開設準備室 室長)
日  時 2月23日(日)15:30~16:30
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 2023 年に講師の森田先生が出版された、「死亡直前と看取りのエビデンス 第2版」の内容より、亡くなる過程(natural dying process)を科学するという視点で沢山の論文が紹介されている。がん患者と関わる際、患者より求められている医療者の態度は何か?近年、世界中で、がん患者の関わりに関する医療者の態度、医療者の視点ではなく患者・家族の視点から問い直す視点など、大規模な研究結果が報告されている。本教育講演では、特に、深刻な病気を抱える患者や家族の経験から、がん看護に役立つ症状緩和の考え方についてご講演頂き、医療者として理解しておく事項や患者のQOL を振り返る時間とする。
今回の教育講演では、臨床実践と研究結果を通じて医療者のケアや患者・家族への配慮をご紹介頂く内容とする。最近の研究結果より、エビデンスを紹介頂き、看護師が、がん患者とどのようなに向かい合い、患者・家族に配慮していくかを学ぶ時間とする。座長として、看護実践の経験より、田村先生にケアリングや倫理的感性等、看護師の態度やふるまいについてご紹介して頂き、看護の基本を振り返る時間とする。

教育講演4

患者報告型アウトカム(PRO:Patient Report Outcome)
~患者の体験をケアに活かす~
講  師
宮下 光令
(東北大学大学院 医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野 教授)
座  長
伊藤 奈央
(岩手医科大学 看護学部 共通基盤看護学講座 准教授)
日  時 2月23日(日)9:30~10:30
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 2階エンプレスホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 近年、世界的にPRO に関する研究が多く実施されるようになり、PRO がん患者に対してもらたす利益が明らかになってきた。その一部には患者の生存期間が延長するという結果も報告されている。
本教育講演では、まずPRO とは何か、なぜPRO が注目されるようになったのか、どのようなエビデンスが報告されているかなど、PRO の概要を説明いただく。そのうえで、PRO をがん臨床でどのように看護に役立てるか、臨床での活用例を含めて最近の活用例(ePRO など)紹介いただく、PRO を使うことが形骸化、目的化しないための注意点、「患者の体験をケアに活かす」ことを中心に解説いただく。

教育講演5

がんゲノム医療の現状と今後の展望
―将来の保険適応やドラッグ・ラグ解消に向けて―
講  師
木下 一郎
(北海道大学病院 がん遺伝子診断部 教授)
座  長
村上 好恵
(慶應義塾大学 看護医療学部 教授)
日  時 2月23日(日)10:45~11:45
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 2階エンプレスホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 我が国では、がん遺伝子パネル検査が実装され、さらに将来的ながん・難病等の克服を目指し、「全ゲノム解析等実行計画」が策定されている。その事業の目的は、がんゲノム検査の成果をより早期に患者に還元し、新たな個別化医療等を実現し日常診療への導入を目指す、解析結果を研究・創薬などに活用することである。出口戦略としては、遺伝子異常に対応する保険適用薬、未承認・適応外薬の治験、治験が実施できない場合でも、先進医療や患者申出療養等として実施したうえで、将来的な保険適用を目指すことが重要である。その目標に向け、がん患者や家族、医療者やそれを支える人々の努力が実り、患者申出療養制度を活用して患者に恩恵をもたらす成果も出始めている。保険適応やドラッグ・ラグ解消に向けての取り組みを理解することで、がんゲノム医療の現状と今後の展望を看護師が知る機会としたい。

シンポジウム

シンポジウム1

地域の実情や病院の特性に合わせた在宅がん医療の様々なかたち
~北海道での取り組みをもとに、自分の地域(まち)でのあり方を考えよう~
シンポジスト
笹原 千晶
(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 患者サポートセンター 短期訪問看護室りんく管理者)
梶原 陽子
(札幌南徳洲会病院 教育師長)
島田 啓志
(国民健康保険由仁町立診療所 医長)
部川 玲子
(北見赤十字病院 看護部 緩和ケア病棟師長)
座  長
石岡 明子
(北海道大学病院 看護部 副看護部長)
廣岡 佳代
(東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科 在宅・緩和ケア看護学分野)
日  時 2月22日(土)15:30~17:00
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 近年、がん治療の選択肢は急速に増え、退院後も自宅等での生活を続けながら外来等で治療を継続する患者が増えている。しかし、住み慣れた地域において在宅緩和ケアを希望しても、その地域における医療提供体制や人的資源などの実情により、実現が難しい場合がある。これに加えて、患者や家族の高齢化や家族構成の変化、在院日数の短縮など様々な要因に伴い、治療期からの在宅へのシームレスな移行が難しく、移行の機会を逃してしまう場合もある。
このような課題に対し、限られた状況でも新しいアプローチを模索し、がん患者とその家族のニーズに応えていると考えられる。今回は、広域な北海道における在宅がん医療・がん看護の取り組みを紹介し、病院、診療所、訪問看護それぞれの立場から地域の実情や病院の特性に合わせた在宅がん医療の形について話し合い、外来・入院・在宅にわたる医療機能の分化・強化を通じた必要な医療と連携についてともに学び、ともに考える機会としたい。

シンポジウム2

がんになっても自分らしく暮らせる社会を目指して‐がん対策を患者に届けるために‐
シンポジスト
箕浦 祐子
(厚生労働省 健康・生活衛生局 がん・疾病対策課 課長補佐)
森田 佳美
(奈良県福祉医療部 医療政策局疾病対策課 課長補佐)
瀧川 千鶴子
(KKR札幌医療センター 緩和ケア内科 副院長)
橋本 久美子
(聖路加国際病院 相談支援センター/AYAサバイバーシップセンター アシスタントナースマネージャー)
座  長
關本 翌子
(国立がん研究センター中央病院 看護部 看護部長)
田中 いずみ
(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 看護部 副院長・看護部長)
日  時 2月22日(土)13:45~15:15
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 2階エンプレスホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 2023 年に策定された「第4 期がん対策推進基本計画」では、がん患者を含め国民ががんを知り、がんの克服を目指すということを目標としており、三つの柱として、「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」を、これに加え、基盤の整備として「がん研究」「人材の育成」「がん教育普及啓発」を位置づけている。これらは、高度ながん治療だけが推進されるのではない。がんになっても慌てない社会に向けて、社会全体でがんという病気に向き合い、がん患者が実際に直面する課題に届く支援が大切である。講師には、国のがん対策の現状、地域でのがん予防およびがん医療の見える化の取り組み、早期からの緩和ケアへの取り組み、AYA 世代患者などへの情報提供と支援の在り方について共有する。そして、それぞれにがん対策への課題、看護師への期待についてお話いただく。

シンポジウム3

がん看護領域での役割拡大に向けた特定行為の実践と課題
~特定行為研修が終了したがん看護領域認定看護師の役割と活用~
シンポジスト
菅野 かおり
(公益社団法人日本看護協会神戸研修センター)
川村 真紀
(社会医療法人財団 聖フランシスコ会 姫路聖マリア病院 看護部 看護副部長)
國次 葉月
(独立行政法人地域医療機能推進機構徳山中央病院 看護部 副看護部長/がん薬物療法看護特定認定看護師)
渡辺 由美
(社会医療法人恵佑会札幌病院 看護部 副院長・看護部長)
座  長
田中 いずみ
(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 看護部 副院長・看護部長)
菅野 かおり
(公益社団法人日本看護協会神戸研修センター)
日  時 2月22日(土)10:45~12:15
会  場 札幌市教育文化会館 1階大ホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 地域を含むあらゆる場で水準の高い看護実践を行えるようにするために看護師を対象とした特定行為研修制度が2015 年に発足した。また、2020 年には臨床推論力や病態判断力を強化するために特定行為研修を組み入れた新たな認定看護師教育(B 課程)が開始され、高い実践能力をもつ看護師の活躍が期待されている。
現在、がん看護分野では認定看護師が5,928 名(2022 年12 月現在)、専門看護師は1,054 名(2022 年12 月現在)が認定を受け、がん看護の現場で専門性の高い実践を行っている。さらに特定行為研修を修了しているがん看護領域の認定看護師は305 名となった。これらの認定看護師は主に「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」「精神及び神経症状に係る薬剤投与関連」「栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連」「創部ドレーン管理関連」などの特定区分を取得しており、がん患者への支援を行っている。臨床現場での特定行為の実践を紹介してもらい、がん看護分野で特定行為がどのように生かされるのか、今後の可能性について考える機会としたい。

シンポジウム4

患者-看護師関係を基盤とする患者主体の症状マネジメント
シンポジスト
荒尾 晴惠
(大阪大学大学院 医学系研究科 教授)
田墨 惠子
(大阪大学医学部附属病院 看護部 看護師長)
團塚 恵子
(北海道公立大学法人 札幌医科大学附属病院 看護部 副部長)
座  長
小島 悦子
(元札幌保健医療大学 教授)
狩野 太郎
(群馬県立県民健康科学大学 看護学部 教授)
日  時 2月23日(日)9:30~11:00
会  場 札幌市教育文化会館 1階小ホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 がんの治療は多様化し、患者が体験する症状も複雑になりマネジメントの困難性が増している。症状(Symptom)は元来その人が体験している主観的なものであり、24 時間その症状を体験している患者が、症状に対する対応がもっとも熟練しているという側面も持つ。患者が行う症状マネジメントの方略は、医療者が思いつかないような知恵と工夫が盛り込まれていることもあり、その方略は医療者の考えをはるかに超えて実にユニークな場合もあるが、それらも患者の力と捉えることができる。
このように患者の力を捉え、それを引き出すには、患者の症状体験を理解し患者から学ぶという姿勢が基盤となる。本シンポジウムでは、患者-看護師関係を基盤とした患者主体の症状マネジメントモデルを理解するとともに、このモデルを用いた症状マネジメントの実践例(放射線治療における症状マネジメントを含む)を紹介し、患者主体の症状マネジメントにおける看護師の役割を考えたい。

パネルディスカッション

パネルディスカッション1

がん患者のせん妄を理解しエビデンスを元にケアしよう
-せん妄ガイドラインを活用したがん患者へのせん妄の薬物療法・非薬物療法の実践-
パネリスト
上村 恵一
(国家公務員共済組合連合会 斗南病院 精神科・緩和ケア内科 科長)
角甲 純 
(三重大学大学院)
野村 優子
(東京都立病院機構 東京都立駒込病院 看護部 緩和ケアセンター 主任)
西田 真理
(北海道大学病院 地域医療連携福祉センター 緩和ケアチーム)
座  長
平山 さおり
(KKR札幌医療センター 師長)
林 ゑり子
(横浜市立大学大学院 医学研究科 看護学専攻)
日  時 2月22日(土)13:45~15:15
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 がん患者が苦痛に感じる症状に、せん妄が挙げられる。2020 年よりせん妄ハイリスクケア加算の算定が開始され、入院時よりせん妄発症リスクをアセスメントし、せん妄発症の予防に努めている。しかし、がん治療や療養の場では、予防できないせん妄の発症がある。本企画では、がん患者におけるせん妄ガイドライン2022 年版(大会時は2024 年度版)を精読し、がん患者におけるエビデンスを踏まえて、適切なせん妄治療やケアを理解し、実践に活かしていくことをねらいとする。
本パネルディスカッションでは、まず、精神科医の立場からせん妄について基調講義をしてもらう。そして、がん患者のせん妄症例を1症例挙げて、3 人の演者に症例のアセスメントとケア方針を各々の立場より提示しながら進めていく。角甲氏にはせん妄ガイドライン作成者の立場から、野村氏にはDELTA プログラムを用いた組織への働きかけについて、西田氏には緩和ケアチーム専従の立場でスタッフとの協働について話してもらう。全体討議では、適切なせん妄治療やケアの均てん化を図っていくための方策について検討する。

パネルディスカッション2

納得がいく意思決定のための支援 -患者のヘルスリテラシーを高める情報提供・コミュニケーション-
パネリスト
中山 和弘
(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
佐藤 こずえ
(北海道大学病院 がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー)
近藤 まゆみ
(北里大学病院 看護部)
滝澤 ひとみ
(Luxia(ラクシア) 代表/北海道がんセンター がん相談支援センター ピアサポーター)
座  長
松山 茂子
(市立札幌病院 地域連携センター 入院支援係がん相談支援センター)
佐藤 明美
(札幌医科大学附属病院 医療連携福祉センター)
日  時 2月22日(土)15:00~17:00
会  場 札幌市教育文化会館 1階大ホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 ヘルスリテラシーとは、健康情報を入手、理解、評価、活用し、生涯を通じて生活の質を維持・向上できる力であり、また情報に基づいて意思決定する力である。より良い意思決定には、十分に情報を得て、個人の価値観と一致した決定をすることが必要であり、私たち看護師は、決定した人が自己の意思決定に満足(納得)できるよう支援することが求められる。
本パネルディスカッションでは、看護情報学の立場から、ヘルスリテラシーや、ヘルスリテラシーに合わせた意思決定支援のための情報提供のあり方について概説していただく。そして、がん看護実践者、医療ソーシャルワーカーの立場からは、がん患者に対する情報提供、意思決定支援について実践を紹介していただく。がんサバイバーの立場からは、情報や意思決定に関連した体験を紹介していただく。
さらに、ディスカッションを通して、患者にとって納得がいく意思決定を支援するために、患者のヘルスリテラシーを高める情報提供・コミュニケーションについて、考える機会としたい。

パネルディスカッション3

がん患者へのアピアランスケア:誰もがケアを受けられる社会に向けて
パネリスト
高田 美香
(青森県立中央病院 看護部外来看護班 上席看護専門官)
三井 里美
(AYA世代患者会アヤキタ!会員/北海道札幌養護学校 白桜高等学園)
吉尾 和代
(HAIR&MAKE SALON 8(ヘアメイクサロン ハチ) 代表)
藤間 勝子
(国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター センター長)
座  長
阿部 恭子
(東京医療保健大学 千葉看護学部 教授)
納谷 さくら
(医療法人東札幌病院 東棟4階病棟 看護課長)
日  時 2月23日(日)9:30~11:30
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 アピアランスケアは、従来、がん薬物療法中の脱毛や皮膚トラブル、乳房切除術後の乳房の変形・喪失といった、治療中の有害事象や手術治療後の容姿のケアに主眼をおいてきた。近年、腫瘍の発生する部位、例えば、皮膚がん、耳下腺がん、歯肉がん、頭頚部がんなどの外見の変化などもケアの対象となり、アピアランスケアとしてのサポートが求められる癌腫が増えている。
また、アピアランスケアが提供される場も広がっており、医療機関での外来通院治療室やがん相談支援センター、アピアランスケア相談のほか、がん患者をサポートする団体での支援活動など多岐にわたる。
本パネルディスカッションでは、アピアランスケアを提供している医療者や団体の関係者と当事者によるディスカッションをとおして、アピアランスケアのトピックや、がん患者が使用できるリソース、助成に関する新制度など、様々な視点から、誰もがケアを受けられる社会に向けてダイナミックな変化を考えていく。

パネルディスカッション4

高齢がん患者の薬物療法の選択と倫理的課題
~それって過小治療?過大治療?~
パネリスト
岩永 一郎
(札幌厚生病院 化学療法内科 主任部長)
吉岡 佐知子
(松江市立病院 総合支援センター 副院長、総合支援センター長)
山谷 淳子
(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 看護部 外来2 看護師長)
杉田 智子
(ファミリー・ホスピス株式会社 ファミリー・ホスピス京都北山ハウス 施設長)
座  長
坂井 さゆり
(新潟大学大学院 保健学研究科 教授)
小野 聡子
(札幌医科大学附属病院 医療連携福祉センター 副センター長)
日  時 2月23日(日)13:15~15:15
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 3階ボールルーム(ABC)
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 医療の進歩伴い、ゲノム医療、免疫チェックポイント阻害剤の発達など、より低侵襲の抗がん治療を含むがん治療の選択肢が増え、高齢者がん患者においても、抗がん治療の継続ができるようになった。しかし、がんの進行や抗がん治療の有害事象の出現、体力低下や経口摂取量の減少は、不応性悪液質状態に移行することもあり、生活機能に影響を及ぼす。このように、治療の選択肢が増えている中、高齢がん患者の治療選択を、QOLの点から検討すると、その治療選択が患者にとって益であるか、害であるか、延命と身体的苦痛の出現、生活状況、長い人生により育まれた価値観により、その利益の考えが異なる。このパネルディスカッションでは、各々の立場よりがん治療の選択、治療を中止する時期、がん治療の段階における高齢がん患者の意思決定支援、ACP の関わりについて検討する。

パネルディスカッション5

がんと性のことを語り合う -あなたはがん患者さんやご家族の問いかけに応えられますか?-
パネリスト
渡邊 知映
(昭和大学 保健医療学部 教授)
高橋 都
(NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク/岩手医科大学/東京慈恵会医科大学 代表理事、客員教授)
松田 夕香
(北海道公立大学法人札幌医科大学附属病院 看護部 副看護師長)
岸田 徹
(NPO法人がんノート)
座  長
高野 純子
(一般財団法人同友会 藤沢湘南台病院 緩和ケア病棟 副師長)
佐藤 一樹
(名古屋大学大学院 医学系研究科 総合保健学専攻 教授)
日  時 2月23日(日)13:15~15:15
会  場 グランドメルキュール札幌大通公園 2階エンプレスホール
開催方法 現地+ライブ配信、後日オンデマンド配信あり
企画意図 がんの進行や治療は、恋愛、結婚、性生活・妊娠・出産といった性機能や生殖機能などに影響を与えることがある。がん患者・パートナーが相談しにくいと感じる不安や悩みの一つが性に関することであり、医療者からも話しにくいテーマの一つと言えるだろう。
看護師および医師の立場から、がん治療による性生活への影響と対処法、性に関する悩みを抱えるがん患者・パートナーへの支援について概説する。
看護実践者の立場から、性に関する悩みを打ち明けられた時の対応について共有する。
がんサバイバーの視点からは、がん患者・パートナーが直面する性に関する悩みについて、どのような支援が有用かを共有していただく。
がんと性に関することを語り合い、がん患者・パートナーが直面する性に関する悩みについて理解を深め、看護師として何ができるのかを一緒に考え、学ぶ機会としたい。