第39回日本がん看護学会学術集会

学術集会長挨拶

令和6年能登半島地震により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 このたび、第39回日本がん看護学会学術集会を会員、関係者の皆様のご支援とご協力のもと、開催できることを心より感謝申し上げます。
 今回の学術集会のテーマは「共に学び、共に創る」といたしました。

 がんと診断された人の5年相対生存率は6割を超え、がんと付き合いながら長く生活を続けることが可能となりました。一方で、生存率の向上は、治療中、そして治療を終えた後も身体、心理、社会的な課題に直面するなど、新たな課題を抱えることも意味します。がんサバイバーが直面する様々な生活上の課題に対して、社会全体で長期的、包括的なケア基盤を創ることがよりいっそう重要となっています。

 がんサバイバーが主体性を持ち発信する時代において、私たち看護師は、パターナリスティックな価値体系(例:看護師は専門的知識・技術を提供し、患者はそれに従う)から脱却することが必要です。がんサバイバーのパートナーとして協力関係を築き、自律した個人として互いに尊重し合い、共に学び、合意した目標に向かって共に歩む関係を築くことが、これからのがん看護には求められています。

 私たちが出会うがんサバイバーは、がんの療養を通して、治療の副作用を緩和するための知恵、自分ができないことを他者に委ねる柔軟性、自らの体験を発信する勇気、がんに抗わずそして囚われずに生きようとする強い心、1日1日を大切に生きる姿勢などを多くの力を獲得していきます。がんという体験を通して逞しく新たな力を獲得したサバイバーと共に学び、共に創るという視点から、がん看護の役割を考えていきたいと思います。

 2月の札幌はまだ雪が残り寒さも厳しいですが、街の樹々は枝の先に可愛らしい冬芽をつけ、春に一気に芽吹く生命力をこの寒い冬にじっくりと蓄えています。
本学会が皆様にとって多くの学びを蓄える機会となるよう開催準備を進めております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

第39回日本がん看護学会学術集会
学術集会長 川村 三希子
札幌市立大学 看護学部 教授