住み慣れた地域でがん患者さんを支えるチームづくり 帝京がんセミナー/地域包括ケア懇話会 2019
【第1部】導入と事例提示
薬物治療を導入し在宅移行の準備を行った肺がん患者さんの事例
春山 輝亘さん(帝京大学医学部附属病院 腫瘍内科)
春山 輝亘さん
帝京大学医学部附属病院の春山です。がん終末期の在宅医療の充実を目指して、今は大学病院での修行の途中です。今回は、肺がんで薬物治療を導入した症例をご紹介いたします。
疼痛により歩行困難であった肺がん患者Aさんの事例
【当日検討された事例の概要のみ掲載しています、なお、事例は実際の患者さんの病状をもとに作成していますが、年齢や症状、社会背景などは架空のものです】
- 60歳代女性
- 脳・骨・リンパ節への転移を伴う肺がんと診断
- 分子標的治療薬による治療を開始
- 骨の痛みに伴う歩行障害に対してオピオイド(医療用麻薬)による疼痛コントロール実施
- 地域包括支援センターとケアマネジャーの支援を受け、訪問看護・在宅診療を導入し退院
- 疼痛コントロールと栄養摂取が不良となり再入院、全身状態の改善を図る
- 低栄養と全身状態の悪化が徐々に進行し、改めて積極的治療を行わず症状緩和を主体とした医療・ケアを行う方針となった
- 栄養と食事、訪問入浴、在宅医療と介護の導入を行い退院
本症例の問題点と検討課題
本症例では、治療により原発部分の縮小と腫瘍マーカー減少を認めており、治療自体の効果はあると考えられました。しかし、経過中の疼痛、低栄養など全身状態のコントロールに難渋し、数か月の経過で全身状態の悪化が進行し、積極的治療が困難となりました。
この症例について、皆さまはどのようにお考えになるでしょうか。
- 治療、看護、在宅支援導入の点からどのような関わりができるか
- 在宅の療養を実現するためにどのような支援ができるか
- 患者さんとご家族の意志決定を支えるためにどのような取り組みが求められるか
- その他、お気づきのこと
掲載日:2020年1月27日