腹膜播種とは

胃や腸などの臓器とお腹の壁の内側を覆っている薄い膜を腹膜といい、癌の腹膜への転移を腹膜播種といいます。癌細胞が種が播かれたようにお腹の中に散らばることから付いた名称です。
腹膜播種は胃癌においてリンパ節転移や肝転移と並んで最も頻度が高い転移の一つです。
特にスキルス胃癌では見付かった時点で腹膜播種があることも少なくありません。

 

腹膜播種ができるまで

胃がん 胃癌が胃の内側の粘膜で発生し、大きくなるにしたがって、胃の壁の深い方に入っていきます。
胃がん

胃癌が胃の壁を貫いて、胃の外側を覆う膜に露出します。

腹腔内がん細胞

癌細胞が胃の壁の表面から腹腔*の中にこぼれ落ちます。この段階で腹腔を洗った液を調べると癌細胞が見付かります(腹腔洗浄細胞診陽性)。
(*腹腔:お腹の壁で囲まれ、腹膜で覆われた空間)

腹膜播種

腹腔内の癌細胞がお腹の内側を覆う腹膜に付着して、大きくなります。このような転移のことを腹膜播種といいます。

腹膜播種の症状・合併症

・腹膜播種は、初めのうちは特に症状はなく、CTなどの検査でも見つからないことが多いです。

・腹膜播種が進行すると、お腹の中に腹水がたまったり(左)、大腸や小腸が狭くなったり(中)、尿の流れが悪くなったりする(右)ことがあります。このような合併症により腹部膨満感、腹痛、吐き気などの症状がみられることがあります。

腹水、腸管狭窄、水腎症

 

腹膜播種の治療

・腹膜播種を手術で完全に取りきることは難しく、仮に肉眼的に取りきれた場合でも術後に再発することが多いことが分かっています。そのため、腹膜播種が見つかった場合は、基本的には胃の切除は行われず、抗癌剤による治療(化学療法)が中心となります。

・一般的には、抗癌剤の点滴静脈注射や内服(飲み薬)による全身化学療法が行われています。国内の臨床試験では、生存期間中央値*は12~14か月と報告されています。
(*生存期間中央値:治療を受けた患者さんのうち、生きている患者さんが半数になるまでの期間)

・その他に、腹腔ポートを利用して抗癌剤を直接腹腔内に注入する腹腔内化学療法、温めた抗癌剤を腹腔内に注入する腹腔内温熱化学療法などの方法があります。いずれも新しい治療法ですので、臨床研究として専門施設でのみ行われています。

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