靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

 『霊枢』口問篇に:
黄帝曰:人之嚲者,何氣使然?
岐伯曰:胃不實則諸脉虚,諸脉虚則筋脉懈惰,筋脉懈惰,則行陰用力,氣不能復,故爲嚲。因其所在,補分肉間。
とあり、『太素』巻27十二邪では「嚲」を「撣」に作り、楊上善は「撣,土干反,牽引也。謂身體懈惰,牽引不收也」と言う。ところが『広韻』では市連切の下に「牽引」とあり、徒干切、徒案切の下では「觸也」である。「撣」字は、『太素』7首篇にも「喜樂者,撣散而不藏」と見え、そこの反切と義釈は「撣,土安反,牽引也」である。これは『霊枢』では本神篇であり、そこでは「憚」に作る。つまり:
 「嚲」字は、辞典にタで「垂れ下がる、なよなよとして力がない」である。
 「撣」字は、楊上善に従えばタンで「牽引」であり、『広韻』に従えばタンなら「觸」、牽引なら「セン」である。
 「憚」字は、辞典にタンで「おそれ、はばかる」で、また「病みつかれたさま」である。
 結局、意味としては「疲れ果てて、ぐったりとして、筋肉に力が入らない様子」なんだろうけれど、それは文脈から判断すべきことであって、古注や工具書は本当にはあてにならない。

Comments

Comment Form