天府下五寸
- 医論異論
- by shenquzhai
- 2006/05/18
実は「大禁二十五,在天府下五寸」は、『太素』では、気穴の羅列を「凡三百六十五穴,鍼之所由行也」と締めくくり、三種の輸穴の所在を「水輸在諸分,熱輸在氣穴,寒熱輸在兩骸厭中二穴」と説明したあとに、改めて大禁について述べるという位置に在る。「二十五」の意味が良く分からないが、大禁は二十五有って、それは口伝であるけれども、一番大事な「天府下五寸」だけには注意を喚起しておく、というつもりかも知れない。
何れにせよ、鍼刺に際してこれだけは危ないと注意するとしたら、「心臓には刺すな」というのは最も切実な一件だろう。とすると、天府も必ずしも現在の天府穴でなくて腋中かも知れない。本輸篇の「腋内動脈手太陰也,名曰天府」には、むしろそのような気配が有る。その下というのが臂の側にではなくて、脇肋の側だとすれば、天府の下五寸はおおむね心臓に相当するだろう。骨度篇では腋から季肋までが二尺だけれど、季肋から髀枢が六寸というのだから、季肋を相当に下方に取っている。また『甲乙』では腋の下三寸が淵液、淵液の下三寸が大包である。大包は脾の大絡で、脾の大絡とは実際には心尖搏動のことだろうともいわれている。
何れにせよ、鍼刺に際してこれだけは危ないと注意するとしたら、「心臓には刺すな」というのは最も切実な一件だろう。とすると、天府も必ずしも現在の天府穴でなくて腋中かも知れない。本輸篇の「腋内動脈手太陰也,名曰天府」には、むしろそのような気配が有る。その下というのが臂の側にではなくて、脇肋の側だとすれば、天府の下五寸はおおむね心臓に相当するだろう。骨度篇では腋から季肋までが二尺だけれど、季肋から髀枢が六寸というのだから、季肋を相当に下方に取っている。また『甲乙』では腋の下三寸が淵液、淵液の下三寸が大包である。大包は脾の大絡で、脾の大絡とは実際には心尖搏動のことだろうともいわれている。
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