靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

よくわかる?黄帝内経

図解入門『よくわかる黄帝内経の基本としくみ』が出版されました。
まあ,ここに書き散らしているようなことを,オブラートにつつんで,猫なで声で言ってみたまでのことです。
ただ,ここではいわば酒席で諸肌脱ぎになっての啖呵のようなものだけど,まがりなりにも本となると,素裸で舞台にたたされたようで,なんとも落ちつかない。野次をとばされるのは,致し方ないけれど,罵倒するのは勘弁してね。演者は(薹は立っているけれど)まだ一応,カケダシ,シンジンです。

「踊りこに,お手を触れないでください。」
(語り手に,殴りかからないでください。)

予想される質問に,あらかじめ答えておきます。
Q:よくわかるのか?
A:それはあなた次第だけれど,私の他の文章よりは,分かり易いと思う。編集者に何度もしかられながら書き直しました。
Q:基本ですか?
A:自分ではこれこそが基本だと思っている。ただし,はたからみれば,基本を逸脱した内容も含まれているかも知れない。書き漏らしたことも多いでしょう。ケンカをふっかけられてもこまるけど,質問は歓迎します。あはきワールドに「難問奇答」というコーナーをもっています。他の出版社が運営するものですが,オーナーは物わかりがよさそうだから,拒否されるようなことは無いでしょう。ただし,私は陰陽五行説が嫌いですから,好きだといわれてもハアそうですか,としか応えられません。それから,もう一つ,学校の教科書と違うといわれたって,知ったことじゃありません。どうして違うのかという質問なら,まあなんとか答えられれば応えます。
Q:陰陽五行説が嫌いなんですか?
A:大嫌いです。でも,実は私の読書会にも,大好きという人がいます。別に排斥してません。私が陰陽五行説を罵っても,彼は笑って聞いてます。好きな人は好きなままでいればいい。私は,『黄帝内経』を解釈する上で,陰陽五行説をこじつけて安心,なんてことは嫌なのであって,そのこと自体には彼も異存は無いんでしょう。だからつまり,陰陽五行説をからめて文句をつけられたって応えませんよ,ということです。それはそちらで勝手にやってください。


2008年11月 1日 訂正
p24下段4行目 第八巻→第七巻
p57下段4行目 陰陽の脈の脈を→陰陽の脈を
p78上段-3行目 淳々(じゅんじゅん)→焞々(とんとん)
p108上段9行目 胸中と上肢の→上肢の一陽経脈と
p112下段-2行目 主たる内容であって→主であって
p113上段の図中の「脈口一足 二足 三足」はそれぞれ「脈口一盛 二盛 三盛」の誤り

「渾々焞々」(こんこんとんとん)を「渾々淳々」(こんこんじゅんじゅん)に誤ったのは,多分,最初の原稿が編集者のもとで,文字コードの関係で「渾々■ 々」とでもなって,返ってきたのを見て,寝ぼけ眼で「渾々淳々」と打ち返して,再度,編集者からフリガナを求められて,安易に「こんこんじゅんじゅん」としてしまったんだろうと,思います。いや,なんにせよお恥ずかしい。で,実は「焞」の字は,辞典にはトンで「輝き明るいさま」,タイで畳字にして「盛大なさま」,ソンで「占いで亀甲を焼く火」なんです。それなのに「こんこんとんとん」に正すというのは,音釈に「土渾切」とあるのと,多分「渾敦」(こんとん)の意味があるだろうということからの選択です。『太素』では「渾々淳々」のはずです。だから,フリガナさえふらなければ,特に問題はなかった。念のため。「淳」は「焞」に通じて用いられることがあります。辞典にも載っています。

Comments

神麹斎
大八木さんからのご指摘:
p109の図中の 足少陽→足少陰

田中氏からのご指摘:
p211の 邪が小腸に大腸に在るとき→邪が小腸に在るとき
2009/05/11

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