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膵臓移植について

移植成績

移植膵島が生着していると、血糖値に反応してインスリンを分泌しますので、インスリンの注射が不要となることが期待されます。移植した膵島の数が少ない場合や生着が十分でなかった場合などは、インスリン注射が必要です。しかし、この様な場合でもインスリン注射の量を減量できたり、インスリン治療による血糖値の変動幅が小さくなることにより、血糖のコントロールは容易になります。膵島移植の移植成績は年々向上しています。特に2008年、ミネソタ大学より、ATG(antithymocyte globulin;サイモグロブリン®)および可溶性TNF-alphaレセプター抗体(エタネルセプト®)を用いた新規免疫抑制プロトコールが発表され、これを採用した多施設共同臨床試験が良好な成績を収めました。現在でも、このプロトコールを基に膵島移植が行われています。
わが国では2003年に初めて臨床膵島分離が行われ、2004年に臨床膵島移植が実施されました。以降2007年までに65回の膵島分離が行われ、18名の患者さんに対して34回の膵島移植が行われています。当初は臨床研究として行われてきたわが国の膵島移植ですが、2012年よりミネソタ大学のプロトコールを参考とした多施設共同臨床試験が先進医療として開始されました。臨床試験では9例に膵島移植が実施されていますが、免疫抑制剤の調整を行った最近の5名では、全例が長期にわたり膵島が機能しており、2名でインスリンが不要となりました。この良好な成績をもとに、2020年4月より膵島移植が保険収載されています。