紫外線とは
太陽光は、波長の長い方から42%の赤外線、52%の可視光線、6%の紫外線(UV: Ultraviolet)に分かれ、さらに紫外線は波長の長い方からUVA(400〜315nm)、UVB(315〜280nm)、UVC(280〜100nm)の3つに分けられます。ほとんどのUVCはオゾン層で吸収されて地上に届きませんが、UVBの一部とUVAは地上に届いて人体に対していろいろな影響を与えます(図1)。
図1:紫外線とは
紫外線量の変化
紫外線の強さは季節や時刻、天候や地理的条件で変化します。
年間で4月から9月に1年の約70〜80%が、日内では太陽の南中する正午をはさむ2時間(10時から14時)が強くて1日の60%程が地表に降り注ぎます。
また、紫外線量は、薄曇りの場合は快晴時の80%もありますが、雨の場合は30%程になります。地理的影響は、南に行く(緯度が低い)程強くなり、沖縄と北海道では年間の紫外線量で2倍ほどの差がみられます。反射光の影響も重要であり、砂浜は25%、新雪は80%も反射します。一方、日陰では日向の50%に、屋内では屋外の10〜20%にまで弱まります。
人体への紫外線の影響
紫外線の影響を端的に表したら「紫外線 百害あって 一利あり」となります。一利はビタミンD合成ですが、通常の食事をしていれば、一日の必要量の合成には両手の甲程の面積を15分程日光に当るか、日陰で30分過ごす程度で充分で、それ以上当てても合成量は増えません。ビタミンD不足を懸念して積極的に日光浴を推奨する必要はなく、食事で摂取するように心掛けましょう。
一方、紫外線の急性障害としてUVBによる日焼けがあります(図2)。これは、土壌中や屋外の雑菌を殺菌する効果と同じで、紫外線による細胞DNA障害によるものです。通常、夏至の頃に静岡辺りで正午頃に20分もすると日焼けが始まり、さらに浴び続けていると数時間後からサンバーン(発赤や水疱)が現れ、その数日後にはサンタン(色素沈着)を引き起こします。サンバーンになったら、まずは患部を冷たいタオルなどで冷やしましょう。痛みや炎症の程度によってはステロイド外用剤の使用が必要になりますので、皮膚科専門医療機関を受診してください。
過剰な紫外線曝露で体力低下や免疫抑制を引き起こすことも分かっています。その例として春休みの合宿、夏場のクラスマッチや全体応援などの際に口唇ヘルペスを発症する児童生徒の存在があります。さらに長期的には、シミ、しわなどの光老化や皮膚がんの発生が問題です。眼では翼状片、白内障の誘因にもなります。
特に、色白で、すぐにサンバーンを起こすがサンタンを生じにくい人は紫外線の影響を受けやすく、性別では女子より男子の方が、年齢では高齢者の方が紫外線に弱いので紫外線対策が大切です。
図2:紫外線の急性影響(日焼け)
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サンバーン(sunburn)
UVBによる反応
真っ赤になって、水ぶくれができることも
2〜3日で消える |
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サンタン(suntan)
即時型黒化:UVAによる
遅発型黒化:UVBによる |
具体的紫外線対策
子供は成長過程で未熟な状態なので、大人より環境の影響を受けやすく、屋外での活動も多いために紫外線対策が大切と考え、2011年、当会は学校生活における紫外線対策に関する日臨皮の統一見解(統一見解)を発表し、2015年9月、学校生活編に新たに保育所・幼稚園編を加えて日本小児皮膚科学会との2学会の共同見解としてホームページに発表しましたので、参考にしてください。
生涯にわたり健やかな肌を保つために、不必要に過剰な紫外線に曝露されないように時間や場所の工夫、身につける衣類や帽子の利用、サンスクリーン剤の活用を行ってください。
(鹿児島県支部 島田 辰彦)
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