巻き爪の患者さんは「先生、私カルシウムが足りなくて爪が弱いんでしょうか?」ウオノメの患者さんは「何回も通院して削ってもらったのに、まだ芯が残っていたんですよね?」外来でよく聞かれるご質問です。答えはいずれも「No!」です。主な原因は、バランスの悪い歩き方と足型に合わない靴を履く事による圧迫(外力)です。以前は年配の方に多い病気でしたが、近年は " おしゃれ " の一環で学生時代からヒールの高いパンプスやミュールなどを履くせいか、20代の女性にも珍しくはありません。本来、歩行の着地時に体重を支えるべきカカトが靴のせいで宙に浮いているために、それに代わって体重を受ける親指の付け根などにできるのが " ウオノメ " です。足型に合わない先の細い靴を履き続けるために、横方向からの圧迫で爪がわん曲してきて " 巻き爪 " になるわけです。放置することで、自然に痛い所をかばった変な歩き方になるために膝や腰にまで負担がかかって痛みが生じることになります。足の爪は歩くこと(下からの圧力)でその形を保っていますので、巻き爪で痛くて歩けないと更にわん曲してくるという悪循環にもなります。
【治療】 | 巻き爪:ガター法・フェノール焼灼法などの処置や手術
軽症では保険外でワイヤー矯正・人工爪など
ウオノメ:スピール膏などを使い適宜芯を削り取る |
【予防】 | 正しい歩き方と靴選びによる再発の予防が何よりも大切!
" おしゃれ " だけにとらわれずに足型に合った靴選び
「シューフィッター」資格を持つ店員に相談
重症では、医師の指示でインソール(医療装具)を装着
詳細は、皮膚科専門医にご相談ください。 |
いずれも、下駄や草履の時代にはなかった一種の " 文明病 " ですが、現代社会では革靴やハイヒールを手放すことはできません。でも、 " 痛い! " というのは文字通り体の悲鳴ですから、時にはその悲鳴に素直に耳を傾けましょう。放置をして骨の変形をきたす " 外反母趾 " にまで進行すると、なかなか治療は困難になります。せめて通勤時や休日には、さあスニーカーを履いて背筋を伸ばして颯爽と街を歩きましょう!
(新潟県支部 永井 透)
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