聞いたことのない病名だと思いますが、アオバアリガタハネカクシ(図1)というアリに似た虫による皮膚炎です。おもに3月から11月、特に夏場に多く見られます。この虫は刺すのではなく、虫体にペデリンという毒を持っており、この虫が、ヒトの皮膚にとまったり、払いのけたりした時に、この体液によって皮膚炎を生じます。その形が線状をしているのでこの名前があります。昼間は草むらなどの湿った場所にいますが、おもに夜間に灯火に飛来しますので、室内でも、ナイターテニスやゴルフの練習場でもやられることがあります。体液が付着してから、数時間から1日して発赤や小さな膿をもったぶつぶつが出来ます。(図2)。数日経つとただれたようになります(図3)。治療は、ステロイド外用剤が主体となりますが、きちんと治療しないと痕を残すことがあります。もし、アリに似た虫が皮膚にとまっていたら、決してつぶさないことです。体液が付いたと思ったら、すぐに洗い流して下さい。万が一目に入ったら失明する可能性もあります。
診断は、比較的特徴的な症状ですので、皮膚科専門医ならまず見ただけでわかりますが、他科の先生では分かりにくい場合もあります。早めに専門医の受診をお薦めします。
ごく普通に皆さんの周りにいる虫ですので、あなたもやられるかもしれませんので、お気をつけ下さい。
(高知県支部 玉木 宏幸)
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