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外科治療Surgery

概要

 母親の胎内で、胎児の脳が形作られる段階で何らかの異常(神経細胞の発生、増殖及び遊走の障害)がおきると、生まれてくる子どもの脳の構造(かたち)にいろいろな異常(形成異常)が生じることがあります。異常が大脳皮質の一部分に限られ、病理学的に特徴的な構造をしめす場合(病理を参照 )を限局性皮質異形成(FCD)とよびます。形成異常の神経細胞は、しばしばてんかん発作の原因(てんかん発作の焦点・発生場所)となります。おもに乳幼児から学童期に発症しますが、中学生以降あるいは成人でもてんかん発作を発症します。乳幼児ではてんかん性脳症(難治てんかんが知能・運動の発達を障害する)の状態になることもあります。

診断

限局性皮質異形成の一部は、頭部MRIで診断できますが、軽度のFCDはMRIではわからないこともあります。てんかん専門施設では、脳血流SPECT検査、ブドウ糖代謝PET、脳磁図(MEG)、長時間ビデオ脳波検査などで、脳の機能やてんかん発作焦点を詳細に検討します。(図参照)最終的な確定診断は、手術で切除した脳標本を顕微鏡で細かく調べる(病理組織検査)ことで行います。

外科治療

 てんかん発作に対しては、各種抗てんかん薬やホルモン(ACTH)療法、ケトン食療法などによる治療を行います。抗てんかん薬でてんかん発作が消失しない場合には外科的切除術を検討します。FCDが各種画像検査で同定でき、てんかん発作症状や脳波所見と発生場所が一致する場合には外科治療が行われます。抗てんかん薬で発作をおさえきれずに切除手術を受けた場合、およそ7割の患者さんではてんかん発作が消失します。発作が消失した方の一部は抗てんかん薬の服用も終了することができますが、残りの方ではてんかん発作は完全には消失しないことがあります。特に、FCDが、運動や言語に関連する重要な脳領域を巻き込んでいる場合や、左右の大脳に多発している場合には手術での根治は困難なことがあります。

限局性皮質異形成(FCD)研究会 限局性皮質異形成(FCD)研究会

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小児科学講座
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