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限局性皮質異形成(FCD)の疫学・臨床像Epidemiology and Clinical findings

疫学

 
FCDがどのくらいの数の方でみつかるのか、日本国内では調査がまだ行われていません。てんかん外科学会による2005年から2011年の手術アンケート結果では、手術で切除した脳組織がFCDであると確定された事例は年間約30件でした。海外からの報告では、焦点発作を示す難治てんかんの方でFCDが見つかる割合は5〜40%とされています。

臨床像


・てんかん発作

 FCDはてんかん発作を起こしやすい病変です。約60%の方は4歳まで、約90%の方は12歳までに発症する、子どもに多い病気です。てんかんの発病年齢はさまざまで、生まれて間もなくから発作が起こる方、60歳を超えてから発作が起こる方というように、かなりの幅があります。発病年齢が幅広い理由はよく分かっていませんが、病変の広がりが大きいほど、幼い時期での発病が多い印象はあります。
 FCDで起こるてんかん発作のほとんどは、焦点発作(部分発作)とよばれる発作です。焦点発作とは脳の一部(発作焦点)から異常な脳波活動が始まる発作で、FCDそのものから脳波の異常発作活動が起こります。焦点発作の症状は、異常な脳波活動の始まる場所によって決まります。たとえば、左腕を動かす場所(右半球の一次運動野という部位)で起これば、左腕のけいれんが起こります。発作の頻度は個人個人で異なり、毎日何度も発作がある方、月に数回程度の方などさまざまです。発作がとてもたくさん起こり、緊急入院が必要になる場合もあります。
 てんかん性スパズムとよばれる特徴的な発作が起こる方もおられます。体幹や四肢にギュッと力が入る短い発作ですが、数秒から数十秒おきに繰り返し、ある程度まとまった時間(例えば数分間)続くことが多いです。発作の多い方では、毎日数十回から数百回起こる場合があります。てんかん性スパズムはFCD 2型では少なく、1型の方が多いと報告されています。
 てんかん発作の治療には抗てんかん薬がまず使われます。しかし、FCDではくすりが効きにくい場合が多いです。一部の方ではてんかん外科手術が可能な場合がありますので、手術ができるかどうか精密検査を行ないます。詳細は、てんかん外科のページをご参照ください。

・発達への影響
 FCDの方では、成長するにつれて発達が遅れてくる方がおられます。発病年齢、てんかんを発病してからの期間、発作の頻度、FCDの部位や広さなどが関係しているようです。詳細は、発達・予後のページをご参照ください。

・その他の神経症状
 FCDの存在する部位は、異常な脳波活動が頻繁に起こっています。そのため、FCDとその周りの脳のはたらきに支障が出る場合があります。たとえば、左腕を動かす部位(右半球の一次運動野)にFCDがあると、徐々に左腕の筋力低下(麻痺)が目立ってくることがあります。見た目にははっきりしなくても、神経心理学的検査とよばれる細かい検査を行うことで、脳のはたらきに問題がみつかる場合があります。

限局性皮質異形成(FCD)研究会 限局性皮質異形成(FCD)研究会

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