発達・予後Growth and Prognosis

発達・予後

 FCDを有する症例全体での、発達の自然経過は明らかにはなっていません。FCDの部位、範囲、組織分類、てんかんの合併の有無などにより、種々の発達経過があると思われます。今日までに明らかになってきているのは、難治てんかんがあり、てんかん外科手術を受け、組織学的にFCDと確認された症例に関するものです。
 静岡てんかん・神経医療センターで、てんかん外科治療を受け、組織学的にFCDと診断され、合併疾患がない、てんかん発病年齢が18歳未満のFCD 82名の中で、てんかんが比較的遅く発病した遅発群62名(平均6.8歳発病)についててんかん外科治療前の知能指数(IQ)を検討したところ、次のような事実が判明しました(木村暢佑、高橋幸利、他、日本小児神経学会2011、横浜にて発表したものを改変)。てんかん発病後、発作が持続し成人期になるとIQは低下する傾向を示し、特に言語性IQ(VIQ)は統計的に有意に低下しました。低下するメカニズムは明らかではありませんが、発作の脳への影響、発作のために学校などに行けない、抗てんかん薬の影響など複合したものが想定されます。

知能指数と検査時年齢

 62例のうち静岡てんかん・神経医療センターで、てんかん外科治療を受け、組織学的にFCDと診断され、合併疾患がない、てんかん発病が3歳までの早期発病例17例について、知能指数(IQ)、発達指数(DQ)、精神年齢のてんかん外科治療後の推移を検討した研究を下記に示します。図Aに示すように外科治療で発作が抑制できると(発作(-))、発作が抑制できない場合(発作(+))に比べ有意に精神年齢が増加します。その増加速度は術前にDQ-IQが70以上を維持できていた症例で大きかったです(図B)。

てんかん外科治療後の精神年齢の変化

 以上のデータから、自然経過で知能指数(認知機能)が低下しないうちに発作を抑制し、その後の認知機能の発達をうながすことが重要です。てんかん外科治療はすべての部位のFCDに適応とはならないので、FCDに有効な抗てんかん薬が開発されることが期待されます。


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