FCD(特に2型)の診断に欠かせない検査がMRIです。そのほかに、CT、脳血流検査(SPECT)、陽電子放射断層撮影(PET)などがあります。いくつかの検査を組み合わせて診断する場合もあります。
1.MRI
MRIには、T1強調、T2強調、FLAIR法などのと異なった撮り方があります。FCDII型は、T2強調画像とFLAIR法で白く(高信号に)みえます。異常な神経組織の移動を反映し、脳の深いところから表面に向けて線状に白くみえることがあり、FCDの特徴です。また,大脳の皮質(脳のしわ)がほかより厚くみえたり、皮質と白質(内側の線維が通るところ)の境界がわかりづらくなることも特徴です。
FCDIIB型は、ほぼ全例MRIで異常を示しますが、FCDIIA型では、MRIの異常は3割程度で、手術をしてはじめて診断されることもあります。FCDI型は、MRIでは異常を検出できません。FCDの診断にはFLAIR法がもっとも検出力が高いです。難治てんかんの場合はFLAIR法を含めたMRI検査を一度は受けた方が良いでしょう。
2.CT
CTはMRIよりもFCDの検出力が劣るので、大きなFCDはみつかる場合もありますが、小さいFCDの診断は難しいです。CTの利点は石灰化病変の検出ですが、FCDは石灰化をきたすことはまれなため、FCDが疑われる場合はMRIをお勧めします。
3.SPECT(スペクト)
SPECTは脳の中の血の流れ方を調べる検査です。FCDでは、てんかん発作がないときは血の流れが少なく、発作が起きると血の流れが多くなります。発作時と非発作時のSPECTをとることにより、FCDの部位がより正しくわかります。
4.PET(ペット)
FDG-PETは放射性同位元素をブドウ糖にくっつけた物質を静脈内に注射して体内での糖代謝をみる検査です。FCDでは80-90%の患者さんではてんかん発作がおきていないときには低代謝に映ります。
FCDのタイプ(型)は、手術で取り除いた病変を肉眼や顕微鏡でしらべる病理検査でおこなわれます。人の大脳皮質は神経細胞の6つの層が重なってできていますが、FCDでは神経細胞の配列が乱れています。FCDI型では皮質配列の乱れのみで異型神経細胞や風船様の細胞はみられません。FCDIIA型では異型神経細胞(dysmorphic neuron)がみられます。FCDIIB型では異型神経細胞にくわえて風船様の細胞(balloon cell)がみられます。FCDIII型では、FCDの所見に加えて、海馬硬化、脳腫瘍、血管奇形などの他の病変がみられます。
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