研究法 │組織ー固定│
      →Stoc solution-固定液

固定:組織成分をできるだけ生体時の状態に保つように,組織を迅速に殺し,硬化,保存すること

美しい組織切片を作るために、充分な固定が重要である。
 灌流固定
  ↓
 後固定


ラットの灌流固定    迅速に行うことが重要!
  1. 過量の麻酔薬で動物を深麻酔する。

  2. 傷つけずに、迅速に心臓を露呈するためには、切開は思い切って、気持ちより広めに!
     正中切開をする方法をよく見かけるが、私が教えてもらった方法は、まず横隔膜の下、正中部を横切って10cmぐらい、はさみ1)で、胸部を切開して、胸腔に入った後、左右の肋軟骨の部分を、心臓が拍動しているのが、広い視野で見えるように、頭部方向へと切り進み、前胸壁を上方に翻転して、鉗子で固定しておく。

  3. 拍動している心臓の各部位の位置関係をしっかり確認する。心尖部、左心室、右心耳、上大動脈。

  4. 心尖部から左心室に灌流用注射針を挿入し、注射針が抜けないように、無鈎鉗子で固定する。
     注射針は上行大動脈まで入れても良いが、左心室内でも充分。左心室壁にぶち当たっていない位置でとどめると、心臓を傷つける心配がない。その位置で充分、灌流液は抵抗なく、上大動脈へと流れる。脳だけしっかり固定したい場合は、下大動脈などを縛っても良い。

  5. 送液ポンプの速度を遅くして、生理食塩水あるいは、PBSを流し始める。

  6. 右心耳に小さな切開を入れ、血液が出てくるのを確認した後、送液ポンプの速度を速める。血流より少し早めがベストらしい。

  7. 体を横位にし、手足を充分伸ばすと、灌流液が脳まで行きやすいとアドバイスを受けたことがある。

  8. PBSを200cc程度、あるいは、血液が洗い流され、灌流されてできた液が透明になってきたら、固定液を灌流する。
     固定液が入ると、手足が伸展する。伸展していない場合は、液は適切に灌流されていない可能性がある。

  9. 固定液200cc程度、あるいは、体が硬くなったら、ただちに組織を取り出し、固定液に入れて、冷暗所で保存する。

  10. 凍結切片を作成する場合は、sucrose液に置換。


1)肋軟骨は柔らかいので、それほどはさみを痛めないが、料理用はさみを使うと便利。

参考
  • 神戸大 脳科学講座 神経発生学分野 灌流固定
  • 東大 核内情報研究分野灌流固定法 
  • 医科歯科?灌流固定法 -pdf
  • 筑波大  凍結切片作製法

    Pain Relief