■構造と機能 | │終脳 Telencephalon│ ←→伝導路/脳の基礎 参考1 |
(外側系)感覚的 | (内側系)情動・認知的 | |
大脳皮質 | 体性感覚野(s1/s2/s3) | 前頭前野ー前頭眼窩野/腹外側前頭前野/楔前部 前部帯状回/後部帯状回/島皮質/扁桃体/分界条床核/側坐核 |
大脳辺縁系 | ||
大脳基底核 | 扁桃体/分界条床核/線条体(被殻と尾状核)/視床下核/レンズ核(被殻と淡蒼球)/黒質/前脳基底部(マイネルト基底核/内側前脳束) |
→運動野/海馬/嗅球/上衣下層 | →脳室/脳梁/ブレグマ |
前頭葉 frontal lobe ←→前頭側頭型認知症 | |||
側頭葉 tempral lobe ←→側頭葉てんかん
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頭頂葉 parietal lobe | |||
後頭葉 occipital-lobe
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島葉 | |||
→辺縁葉 limbic lobe
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古くから、中心後回の損傷で、皮膚感覚や深部感覚に異常が起こることが知られていた。 | |
1874年 | Roberts Bartholow(P 1831〜1904, アメリカの神経学者)の患者は、開頭して電極を刺入しても、痛みを生じないと申告した。中心後回を感応電流で刺激すると、対側の手足の収縮と不快な異常感覚が生じることを報告した。"Experimental investigations into the functions of the human brain"(Mary Rafferty) |
1897年 | Henri Verge(1873-1930)は、中心溝周囲の病巣では要素的な感覚が保たれていても、立体覚などの複雑な感覚の障害が起こる事を示した。 |
1900年 | Eduard Hitzig(P 1838〜1907, 運動野 の発見者の一人)は、痛みの中枢が皮質下にあって、大脳皮質は痛みに関与しないと考えた。 |
1906年 | Risien RussellとSir Victor Alexander Haden Horsley(P 1857〜1916, イギリスの生理学者)は、深さ2mmに達する中心溝後壁の切除後、痛覚と温度感覚が消失した症例を経験したところから、大脳皮質の中心後回が痛みの発現に関与すると主張した。 |
1909年 | Harvey Williams Cushing (P 1869〜1939, アメリカの脳外科医)は、局所麻酔薬で開頭した患者の頭頂葉を電気刺激して、どのような感覚体験が起こるかを系統的調べた。 |
1911年 | Henry Head(P 1861〜1940, イギリスの神経学者)とGordon Morgan Holmes(P 1876〜1966年, ロン
ドン)が、中心後回病巣患者の剖検報告をし、体性感覚は基本的に保たれているが、その強さ、部位、大きさ、空間的関係、立体感覚がわからなくなることを発表した。 大脳皮質が損傷された患者のすべてが痛覚鈍麻や消失を示さなかったという臨床体験から、すべての体性感覚情報はいったん視床の外側部に達した後、二手に分かれると考えた。位置感覚と弁別的な皮膚感覚は直接大脳皮質に送られるが、痛覚、温覚、冷覚および粗大な触覚は視床内の外側部に達し、ここから視床の内側部に送られた後、そこから意識に上る。←大脳皮質は痛みに関与しない。 |
1937年 | Wilder Graves Penfield(P 1891〜1976)とEdwin Boldrey(P 1906〜1988)は163人の脳手術 患者(主として、てんかん患者)の中心前回と中心後回に電気刺激を加えると、のべ800回以上の感覚応答を引き出すことができたが、そのうち痛みが報告されたのはわずか11回であり、大脳皮質が痛覚の発現に本質的な役割を演じないと結論した。postcentral gyrus (SI)を刺激しても痛みの申告はなかった。(しかし、11回 は痛みが誘発されていたわけである。痛覚投射野は中心後回の前方部、すなわち中心溝の後壁であり、大脳皮質の外表に刺激電極を当てる方法では、刺激されなかった可能性がある。) |
Marshallは、サルの体表を触刺激して、誘発電位を記録した。Marshall, Woolsey & Bardは、サルとネコの中心後回の感覚図を作製した。正中線に近い部位:後肢、外側に向かって順次、体幹、肩、肘、前足、首、耳、顔、唇および鼻が再現されることを確認。 | |
1941年 | Edgar Douglas Adrian(P 1889〜1977, ロンドンの電気生理学者)は、ネコ頭部の体性感覚野の後方に第2次体性感覚野(somatic sensory area II, SII)があることも確認した。 |
二次体性感覚野は、サル(Woolsey 1957; Friedman, Jones & Burton 1980)やヒト(Penfield & Jasper 1954; Woolsey, Erickson & Gilson 1979)でも見つけられた。 | |
1950年代 | Vernon B. Mountcastleは、ネコやサルの一次体性感覚野の個々のニューロン活動が特定の種類の刺激によって興奮すること、そのスパイク発射が皮膚の興奮性受容野を取り巻く部位を刺激すると抑制されることを確認し、さらに円柱構成(columnar organization)を見つけた。 |
1954年 | Wilder Penfield(P 1891〜1976)とHerbert Henri Jasperはてんかん患者のprecentral gyrusを刺激すると感覚が生じることを報告し、さらに切除すると灼熱痛が緩和されることを報告した。 |
1970年代 | 微小電極を用いた研究により、一次および二次体性感覚野に、複数の感覚地図があることが確認された。 |
Hosobuchiらは、体性感覚野の皮質下に刺激電極を埋め込み、がん性疼痛の治療を行った。 |
一次体性感覚野 SI ←→運動野 |
SIの侵害受容ニューロン
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二次体性感覚野 SII |
SIIの侵害受容ニューロン
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三次体性感覚野 SIII |
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背外側前頭前野→尾状核(背外側)→淡蒼球(背側)/黒質→視床(前腹側、背内側)→背外側前頭前野 |
眼窩前頭皮質→尾状核(背外側)→淡蒼球(背側)/黒質→視床(前腹側、背内側)→眼窩前頭皮質 |
前帯状回→側坐核(腹側線状体)→淡蒼球(背側)/黒質→視床(背内側)→前帯状回 |
背外側前頭前野、前頭前野背外側部 dorsolateral prefrontal cortex:DLPFC
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腹外側前頭前野、前頭前野腹外側部 ventrolateral prefrontal cortex:vl-PFC、VLPFC | |||||
前頭眼窩野、前頭眼窩皮質、眼窩前頭皮質 orbitofrontal cortex: OFC 参考1
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内側前頭前野、前頭前皮質内側部 medial prefrontal cortex:m-PFC
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主溝領域 principal sulcus:PS ←→空間記憶/サル用WCST
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前頭極 frontal pole, frontopolar cortex |
前頭連合野 frontal association cortex ↓
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頭頂連合野 parietal association cortex, parietal association area
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口唇化傾向 oral tendency (hyperorality)
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性行動の亢進 hypersexuality
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穏和化または情動反応の低下 tameness
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視覚失認あるいは精神盲 Visual Agnosia, psychic blindness ←→視覚
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1878年 | Pierre-Paul Broca(P 1824〜1880, フランスの内科医)は、ほ乳類の脳に共通する脳幹を取り巻く皮質領域(:帯状回、海馬傍回、梁下回、海馬)を大脳辺縁葉 le grande lobe limbiqueと呼んだ。 |
1949年 | Paul Donald MacLeanは、 |
1973年 | Paul Donald MacLean↑が、三位一体脳説 a hierarchy of three brains in one—a triune brain」(1973年):恒温動物の脳に3型のシステムから構成される階層性があると考えた。 ⇒詳細 td> |
帯状回 Cingulate gyrus:CG、帯状皮質 Cingulate cortex:CC
前部帯状皮質 anterior cingulate cortex:ACC、前帯状回 anterior cingulate gyrus ←→帯状回前部凝固術 参考1/2
後部帯状皮質 posterior cingulate cortex:PCC、後帯状回 posterior cingulate gyrus
脳梁膨大後部皮質、脳梁膨大後方部 retrosplenial areas, retrosplenial region |
島皮質 insula, lobus insularis, the insular cortex、島後部 retroinsula1
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前障 claustrum
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扁桃体 corpus amygdaloideum →扁桃体と痛み↓/Kluver-Bucy症候群/行動学的研究
[扁桃体と痛み]
[痛み以外の機能]
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分界条床核 bed nucleus of the stria terminalis:BST ←→分界条
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側坐核 nucleus accumbens:NAc
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行動 | →行動 |
交感神経反応 | 呼吸数、心拍数、血圧の上昇 ←→闘争・逃走反応/PAG |
神経内分泌反応 | ストレス反応として知られる副腎髄質ホルモン、副腎皮質ホルモン、ノルアドレナリンなどの分泌の変化 |
楔前部 precuneus 参考1
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貫通線維 perforant path | |||
→脳弓 | |||
→交連線維
海馬交連 commissura hippocampi ←→脳弓交連
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→苔状線維 ・・・歯状回・顆粒細胞の軸索 | |||
→シェファー側枝系 |
齧歯類の海馬の背側部 = ヒトの後部 に相当
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齧歯類の海馬の腹側部 = ヒトの海馬の前部 に相当 |
歯状回 dentate gyrus:DG
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海馬(アンモン角)Cornu Ammonis, Ammon’s horn =狭義の海馬
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嗅内野、嗅内皮質 entorhinal cortex:EC
←→海馬
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嗅周皮質 perirhinal cortex | |||||||||||||||||
海馬傍皮質 parahippocampus ←→海馬傍回
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海馬鉤 uncus of hippocampus、鉤 uncus 鉤回 Unicinate gyrus
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脳梁 corpus callosum:CC ←参考1/1
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脳弓 fornix
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直接路 direct pathway
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間接路 indirect pathway
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ハイパー直接路 hyperdirect pathwayあるいは皮質視床下核路 |
→扁桃体 | ||||||||||||||||
線条体 striatum, corpus striatum(ラテン語)
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視床下核 subthalamic nucleus:STN
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レンズ核 lentiform nucleus, lenticular nucleus
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黒質 substantia nigra ドーパミン神経系 A9 ←→黒質線条体変性症
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前脳基底部 basal forebrain ←→覚醒
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有孔質 perforated substance 参考
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前嗅核 anterior olfactory nucleus, anterior olfactory cortex |
嗅結節 olfactory tubercle |
梨状皮質 piriform cortex, piriform lobe
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→扁桃体皮質核 |
扁桃体梨状皮質移行領域 amygdalo-piriform transition area:AmPir |
→嗅内皮質 |
Pain Relief td> |