公開資料:

救命救急センター等での歯科医研修問題について

★この問題について、皆様のご意見をお待ちします。★

ウェブ責任者:県立新居浜病院麻酔科 越智元郎

(最終改訂:2003年11月23日)


 目 次

「松原医師と医科研修を支援する会」が発足(平成14年4月14日)

公訴事実(平成14年2月12目)

市立札幌病院救命救急センター長 松原 泉氏が起訴されました。

札幌市保健福祉局長からの疑義に対する厚生労働省医事課長の回答(医政医発第87号)

札幌市保健福祉局長からの疑義に対する厚生労働省医事課長の回答について

(2001/11/07 市立札幌病院救命救急センター 松原泉医師より)

送致事実(北海道警札幌中央署から報道各社へ):

市立札幌病院医師、歯科医師を2001年1月10日、医師法違反(医師以外の医業の禁止)の疑いで書類送検

北海道歯科医師会からの提供資料

歯科医師が専門外治療? 医師法違反の疑いで札幌地検に書類送検(日本歯科新聞 2002/01/15)

救急医療メーリングリストならびに医療改善ネットワークでの論議より(2002)

救急医療メーリングリストでの論議のまとめ(2003年5月)

資料集


札幌市保健福祉局長からの疑義に対する厚生労働省医事課長の回答について

Date: Tue, 27 Nov 2001 21:01:27 +0900
From: 松原
Subject: [eml-nc: 5525] Re: 医政医発第八七号

松原 泉@市立札幌病院(救命救急センター長)です。

 以下の厚生労働省見解が、市立札幌病院の歯科口腔外科医師の研修に対する告発 の根拠です。先日の救急医学会の救命センター長会議での厚生労働省の担当者の見 解の根拠です。今徐々に、歯科医師たちが怒り始めています。そして、時代の流 れに逆行するようなこの見解に対しては、最後まで徹底的に闘う必要があると思 っています。被告人にされる理由など全くないのですから。以下はこの見解に対 する考え方です。

札幌市保健福祉局長からの疑義に対する厚生労働省医事課長の回答について

 札幌市からの問い合わせは「歯科医師が歯科口腔外科の研修の一環として、歯 科に属さない疾患に関わる診察、点滴、採血、処置及び注射などの医行為を行 う」ことの是非について厚生労働省に疑義を紹介したものである。

 回答書では「歯科に属さない疾患に関わる医行為を業として行うことは医師法 17条に違反する。」との見解を述べ、「研修の一環」としてという大 前提に関してはいっさい触れられていない。

 この回答書が研修の一環として行われていても、たとえ医師の指導、指示下であ っても、「歯科に属さない疾患に関わる医行為に及んでいる」のであれば医師法 17条に違反するという見解であるならば、今日歯科口腔外科医の研修を担当し ている全国160カ所以上の医科麻酔科、救命救急センターでの研修は全て医師 法17条違反に相当するであろう。実際、市立札幌病院で研修を行った歯科口腔 外科医師らが被疑者として今、取り調べを受けている事実はこのことを如実に示 している。

 病院内の正規の手続きで承認された、研修としての歯科口腔外科医の麻酔研修 や救急部研修は決して「業として」行われているのではなく、指導(麻酔科、救 急)医師のもとで研修として行われているものであり、決して歯科医師の「業と して」行われているものではないのである。

 厚生労働省は札幌市の疑義に対する回答書には一切答えていない。つまり「研 修の一環」として指導医師のもと歯科口腔外科医が行うべき麻酔科や救急部での 研修の観点からの回答は一切示されていない。多くの医科麻酔科や救急部で、歯 科口腔外科医師が研修している現実にたいしても、この研修にかかわるガイドラ インなどを提示しないまま今日に至っているのである。

 曖昧にされていた歯科口腔外科医師の医科領域での研修のあり方について、厚 生労働省は明確にすることなく、医科麻酔科や救急部門の現場の熱意と善意に任 されていた問題を、いきなり法の解釈によって切り刻もうとしているのである。 今回の『事件』は、監督官庁の指導性と責任を問うことなく、現場の熱意と善意 を断罪するに等しい事件と言わざるを得ない。厚生労働省の今回の回答書は、あ まりにも、教育と研修に対する見識がなく、現場を知らない見解である。

 このままでは、我が国の救急医学教育の現場から、歯科口腔外科医師のみなら ず他の医療職種の医科での救急研修のみならず麻酔研修も含めて、教育する側の 熱意と善意は消え失せ、戦々恐々とした暗い時代が到来するしかないのである。


送致事実(北海道警札幌中央署から報道各社へ)

市立札幌病院医師、歯科医師を2001年1月10日、医師法違反(医師以外の医業の禁止)の疑いで書類送検

 被疑者Aは、札幌市中央区北11条西13丁目に所在する市立札幌病院救命救急セ ンターの医師、被疑者B、同C及びDは、同センターにおける研修歯科医であるが、

第1 A及びBは共謀の上、Bが医師の免許がないのに平成10年12月25日か ら平成11年2月14日までの間、前後6回にわたり、上記救命救急センター又は走 行中の救急車内において、歯科に属さない疾病の患者4名に対し診察、診断書作成又 は強心剤を注射するなど

第2 A及びCは共謀の上、Cが医師の免許がないのに平成11年8月31日から 平成12年1月8日までの間、前後6回にわたり、上記救命救急センターにおいて、 歯科に属さない疾病の患者6名に対し診察、診断書作成又は指示用紙を交付して看護 婦に輸液等の指示をするなどの

第3 A及びDは共謀の上、Dが医師の免許がないのに平成12年8月15日、上 記救命救急センターにおいて、歯科に属さない疾病の患者1名に対し診察した上、看 護婦に対し指示用紙を交付し、内服液の処方、調剤を指示する

医業を行ったものである。

○適用法条
平成13年6月29日改正前の
医師法違反 同法第17条(医師以外の者の医業禁止)
医師法違反 同法第31条第1項第1号(2年以下の懲役又は2万円以下の罰金)
刑法   第60条(共犯)


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