判決文では明確に定義されていないが、検察論告(厚生労働省の判断)と、その主張を大筋で認めた札幌地裁判決を理解し、救急救命士の病院実習の法的
位置づけを明らかにするためには、次のように考える必要がある。
つまり、歯科医師が歯科医療における知識と技術の向上を目的として医科患者
を対象とする訓練は「研修」ではなく「実習」ととらえる必要がある。
この立場に立てば歯科医師による「医科研修」では有資格者と無資格者の取り
扱いを明確に区別していないことになる。歯科医師による「医科研修」は
法的には許容されないのであって名実ともに「医科実習」とすべきであったいえる。
医科研修は行為の主体が研修者自身にあるために無資格者がこれを行うことは
できないが、医科実習(行為の主体となる医師は当然にその場にいて直接指導
しなくてはならない)であれば合法的に可能であると考えることができる。
救急救命士の病院実習もこれと同様に捉えれば(というよりも、そのように捉
えられているはずだが)法改正は不要であり、専門家集団の見解表明とそれ
に基づく行政裁量によって充分に対応が可能であると考えられる。
とすれば、
すなわち、「無資格者による資格取得前もしくは資格取得を目的としない(他資格の
研鑽に資する)訓練」を法的に可能にするための「法律」が現に存在しているわけで
ある。
無論、この「修練」は法の主旨としては hands on 研修が行われる事が目的とされて
おり、上記の定義から言えば「実習」に当たる。
であれば、この特例法がわざわざ制定されている事を考えると、実習についての厚
生労働省医政局医事課の「お墨付き」は逆に全く無力であると考えられる。まして、今
回の判決が確定すれば、医師法第17条について公訴に持ち込むか否かを決めるとい
う医事課の裁量は温存されますが、通知・通達などによって特例を認めるという裁量
権は全く奪われてしまう事になるのではないか。
2)患者として研修に協力していただく患者さん納得してもらうには
(ロ)指導体制
(ハ)その他
参考ウェブ1-a. 市立札幌病院事件判決が意味するもの
【意見1】 法改正などを行わずに医師以外の職種の、病院での研修、実習は可能
研修:有資格者による資格取得後の研鑽
→行為の主体は実施者本人
=研修者の能力向上に伴って指導監督の程度を緩めることが可能
(通信による遠隔指導なども認められる)
修練:有資格者と同等の知識と技能を有していると厚生労働大臣によって認定
された無資格者による、資格取得を目的としない(他資格に資するため
の)研鑽
→行為の主体は実施者本人
=実習者の能力にかかわらず常に指導者による実地指導監督が必要
(通信による遠隔指導などは認められない)
(*意見2-2にある「修練」はここに位置づけされる)
実習:無資格者による資格取得前もしくは資格取得を目的としない(他資格に
資するための)訓練
→行為の主体は指導者であり、実施者は手足に過ぎない
=実習者の能力にかかわらず常に指導者による実地指導監督が必要
(通信による遠隔指導などは認められない)
【意見2】 医師以外の職種の、病院での研修、実習は今後、法改正などを行わずには不可能
(医師のもとで行っても医行為は違法である上に、本事例の多くは医師の立ち会いなしに行われた。)
| (趣旨)
|第一条 この法律は、医療に関する知識及び技能の修得を目的として本邦に入国した
|外国医師又は外国歯科医師が医業又は歯科医業を行うことができるように、医師法(
|昭和二十三年法律第二百一号)第十七条及び歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二
|号)第十七条の特例等を定めるものとする。
日本では外国人医師あるいは歯科医師が国内で医業に従事するためには、国家試験
を受験し、合格する事が原則だ。つまり、本来、法は外国での医師資格は日本国内
では無資格に等しいと定めているが、これについての特例法が上記になる。1-b. 改善すべき項目はなかったか?
(見学では1&2のみでよいと思われる。ただし救急研修では事実上困難)1-c. 行政に対し是正してほしいと考えるポイント
2.救命士研修について考えないといけないポイント
(この件については厚労省指導課もやる気であることを表明しておられるとのこと)。